土地をすでに持っている場合、どうやって注文住宅を建てたらよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。土地がある状態で注文住宅を建てるときは、土地を購入しないため、費用を抑えられるメリットがあります。
この記事では、土地があるときに注文住宅を建てる流れと注意点を解説します。理想のマイホーム実現に向けて、計画的に進めていきましょう。
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まずは、土地がすでにある状態で注文住宅を建てる場合、いくらかかるのかを見ていきましょう。
住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」の結果によると、土地付き注文住宅の平均価格は年々高騰しています。
物件の種類 | 2022年の物件の平均価格 | 2023年の物件の平均価格 |
土地あり注文住宅 | 4,694万円 | 4,903万円 |
建売住宅 | 3,719万円 | 3,603万円 |
中古戸建 | 2,704万円 | 2,536万円 |
引用:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」
「2023年度 フラット35利用者調査」
家だけではなく、土地も自分の財産になるため、ほかの物件よりも高額になる傾向があります。また、注文住宅の場合はオプションなどの細部にこだわると、最初に決めた予算よりオーバーしやすくなります。
そのため、あらかじめ予算を低めに見積もっておくとよいでしょう。
所有している土地で注文住宅を建てる場合、土地を探す必要がありません。そのため、流れに沿って家づくりをスムーズに進めることができます。
では、所有している土地で注文住宅を建てるときの簡単な流れを見ていきましょう。
ステップ1.予算を決める
ステップ2.住みたい家のイメージを考える
ステップ3.依頼する建築会社を選ぶ
ステップ4.間取りプランの提案と見積もりを依頼する
ステップ5.仮契約・申し込みをする
ステップ6.工事請負契約をする
ステップ7.着工する
ステップ8.完成・引渡しをする
それぞれ詳しく解説します。
まずは、収入や貯蓄、借入可能額を整理して予算を決めましょう。予算を決める目安として、年収の3〜5倍が無理のない返済がしやすい価格帯です。
次に、予算をかける場所の優先順位を付けましょう。建築会社や金融機関と相談して、現実的かつ無理のない予算設定をしましょう。
おおよその予算を決めたら、住みたい家のイメージを考えましょう。資料やWebサイトなどを見ながら、家の外観のデザインや広さ、部屋数や間取りなどの希望を決めておくとスムーズです。
もし、具体的なイメージが決められない場合は、依頼を考えている建築会社の建築実例や施工実績を見て、好みのデザインをピックアップしておきましょう。
次に、依頼する建築会社を選びましょう。ハウスメーカーや工務店、設計事務所などがあるため、特徴をチェックして自分に合った建築会社をピックアップしていきます。
ハウスメーカーは、安定した品質の家を建てられる点がメリットです。ただし、自由度が低くコストがやや高めなので注意しましょう。
工務店は、低コストで自由にデザインを決められる点が特徴です。しかし、保証やアフターサービスが不十分な業者もいるため、良質な業者を見極める必要があります。
設計事務所は、デザイン性が高い家を実現できます。その分、センスが問われることから、自分に合った設計士を探す必要があるため、依頼までに時間がかかる可能性があるでしょう。
依頼する建築会社を絞ったら、デザインや間取りの相談をしましょう。建築会社によって提案内容が異なるため、自分に合わないと感じたら、複数社を比較することをおすすめします。
また、建売住宅と異なり、注文住宅は住みたい家を実現できます。「建売住宅でもよかったかもしれない」と後悔しないためにも、自分の理想とする家のイメージがある場合、しっかりと伝えることも大切です。
おおよそのイメージが決まったら、見積もりを依頼しましょう。見積書には、工事費用やプラン、諸経費などが記載されています。複数の建築会社と比較している場合は、建築会社によって記載されていない費用もあるため、内訳を確認しておきましょう。
依頼する建築会社を決めたら、仮契約をします。仮契約時に申込金が必要な建築会社もあるため、費用を用意しておきましょう。また、この時点で住宅ローンの事前審査も同時に進めていきます。もし、事前審査に落ちた場合は、住宅ローンを借り入れできないため注意が必要です。
仮契約を締結したら、よりデザインや間取りを細かく決めていきます。土地がすでにある場合、その土地が法的にどれくらいの大きさの住宅を建てられるかを調査し、結果を建物内容や見積もりに反映させるため、確認しておきましょう。
仮契約後は、工事請負契約をします。工事請負契約を締結したら、建築会社や設計者と話し合いながらデザインや間取りの最終決定をしましょう。
同時に、住宅ローンの本審査も進めていきます。本審査に通ったら借り入れができるので、住宅ローンの契約をしましょう。
デザインや間取りが決定したら、工事が始まります。着工に入る前は、近隣トラブルを避けるために、あいさつをすることが一般的です。工事請負業者によっては、近隣住民へのあいさつを代わりにしてくれる場合もあるため、確認しておきましょう。
また、工事中は見学ができるため、進捗状況の確認や要望通りのデザインになっているかも確認しておくことがおすすめです。
家が完成したら、いよいよ入居になります。立会人と要望通りの仕上がりになっているかを確認しましょう。
もし、イメージと異なる場合は早めに伝えて対応してもらう必要があります。引渡し後に不備を指摘すると、追加費用が発生する場合があるため、見落としがないように隅々まで確認しましょう。
所有している土地で注文住宅を建てる場合は、ほかの物件より費用が高額になる傾向があります。そのため、見積もりの時点で予算オーバーだと感じるケースも少なくありません。
費用が気になる場合は、土地ありならではのメリットを活かしつつ、全体のコストを効率よく抑える方法を知ることが大切です。
ここからは、土地がある状態の注文住宅の費用を抑える方法を解説します。
ローコスト住宅とは、設計や仕様をシンプルにし、建築コストを削減した住宅のことです。無駄を省いた効率的な間取りや標準仕様の設備を採用して費用を抑える工夫がされています。
また、建築会社が決めたデザインを選ぶことで設計や施工が効率化され、一般的な注文住宅よりもコストの削減が可能です。ただし、低価格を重視するあまり、耐久性や住み心地を犠牲にしないよう、信頼できる業者としっかり相談するようにしましょう。
注文住宅は、設計が複雑になるほど建築に必要な材料や工法が増え、費用が高額になります。そのため、正方形や長方形などのシンプルな形状や間取りなどを選ぶことで費用を抑えられます。
また、吹き抜けや複雑な屋根形状、装飾性の高いデザインを避けると、家のメンテナンスが容易になります。そうすると、将来的な維持費の削減にもつながるでしょう。
予算が不安な場合は、シンプルで効率的な設計を取り入れる方法も検討しましょう。
所有している土地で注文住宅を建てるときは、地盤調査や名義変更などの手続きが必要になるケースがあります。手続きの漏れがあると、トラブルにつながるため注意しましょう。
では、所有している土地で注文住宅を建てるときの注意点を解説します。安心して住める注文住宅を建てるためにも事前にしっかり確認しておきましょう。
注文住宅を建てる前に地盤調査をしましょう。地盤が弱いと、万が一災害が起きたときに沈下事故や家の傾き、基礎や壁に亀裂やひび割れが発生するなど、家に甚大な被害を及ぼすリスクがあります。
地盤調査で地盤改良が必要だと判断された場合には、改良工事をしなければいけません。改良工事には費用が発生するため、あらかじめ地盤の改良工事を想定したうえで予算を考えるようにしましょう。
親や親戚から相続した土地で家を建てる場合、相続税がかかるため注意しましょう。また、相続した土地の所有者は、登記上で被相続人になっています。自分以外の場合はそのまま利用できないため、名義変更の登記をする必要があります。
いずれにせよ、相続税や名義変更の費用がかかるため、予算に含めておきましょう。ただし、相続税は遺産総額が基礎控除額を超えない限りかかりません。そのため、土地の評価額によっては相続税がかからないケースもあるため、司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
家づくりは大きな買い物のため、信頼できる建築会社を選ぶかどうかで、完成する家の質や満足度が大きく変わります。複数の会社に相談して見積もりを比較し、それぞれの得意分野や実績を確認しましょう。
口コミや評判を調べたり、過去の施工事例を見たりなどして、見極める必要があります。また、対応が丁寧であるか、希望や質問に的確に応じてくれるかも大切なポイントです。
契約してしまうとキャンセルができなくなるため、失敗しないためにも、契約を急がずにじっくりと建築会社を選びましょう。
敷地条件とは、敷地に対して建てられる建物の面積の割合です。土地の大きさによって割合が定められており、この割合を超えた家は建てられません。
また、同時に日当たりや風通し、ライフラインは通っているかなども確認する必要があります。条件が悪い土地の場合、要望通りの設計が難しい可能性があるため注意しましょう。
敷地条件の確認は、地盤調査と同時に進めておくとスムーズです。デザインや間取りを決定してから修正すると時間がかかってしまうため、早めに確認しておきましょう。
注文住宅は、一から家のデザインや間取りを設計するため時間がかかります。スムーズに進めるためにも、計画段階から設計や施工、引越しまでの流れを把握して、ポイントごとに適切な準備をしておくことをおすすめします。
この記事で解説した流れや注意点を参考にしながら、理想のマイホームを手に入れましょう。
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