土地を所有していない状態から注文住宅を建てる場合、土地探しと家の設計が必要になるため、工程が多く発生します。そのため、流れを把握しておかなければ、思った以上に時間がかかり、家づくりがうまくいかない可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、土地探しから注文住宅を建てるまでの流れを解説します。また、土地が見つからない場合の対処法や、費用を抑えるポイントも合わせて紹介するので参考にしてください。
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「土地を持っていないと注文住宅は建てられないのでは? 」と心配する方も多いかと思います。しかし、土地を持っていなくても、新たに土地を購入して注文住宅を建てることは可能です。
多くの建築会社では、土地探しから家づくりまでをトータルでサポートしており、希望の地域や条件に合った土地を提案してくれます。また、土地と建物をセットでローンを組むことが可能なため、資金計画を立てやすい点もポイントです。
そのため、土地を持っていなくても、注文住宅を諦めることなく理想の住まいを手に入れられます。
土地がない状態から注文住宅を建てる場合、立地を決めたり、土地探しをしたりと多くの工程が発生します。そのため、家づくりから引き渡しまで、約1年の期間を考えて余裕を持っておくとよいでしょう。
それでは、土地がない状態から注文住宅を建てるときの流れを詳しく解説します。初めての方でも安心して家づくりを始められるよう、まずは簡単な流れを確認しておきましょう。
ステップ1.どこに住むか立地を決める
ステップ2.土地と住宅の予算を決める
ステップ3.住みたい家をイメージする
ステップ4. 依頼する建築会社の候補を決める
ステップ5.土地を決める
ステップ6.住宅の設計プランと見積もりを依頼する
ステップ7.土地と住宅の仮契約・申し込みをする
ステップ8.工事請負契約を結び住宅ローンの本審査を受ける
ステップ9.着工する
ステップ10. 完了検査・引き渡しをする
それぞれ詳しく解説します。
まずは、どこに住むか立地を決めましょう。家を建てる場所は、通勤・通学の利便性や周辺環境、治安、交通の便などを考えながら選ぶことをおすすめします。
また、買い物施設や医療機関、公共施設などの生活インフラが充実しているかも確認しておきましょう。不動産会社や建築会社に相談する前に、希望条件を決めておくと、土地探しがスムーズに進みます。
土地がない状態から注文住宅を建てる場合、土地を購入する必要もあるため、土地と住宅の予算をそれぞれ考えておく必要があります。
一般的に、土地と建物の予算配分は以下が目安です。
土地 | 全体予算の25%~30%が目安 |
建物 | 全体予算の70%~75%が目安 |
あくまで目安ですが、土地にお金をかけすぎると、内装やデザインなどの予算を削らなくてはなりません。反対に、住宅にお金をかけすぎると、希望の立地に立てられなくなるため、バランスが大切です。
住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」の結果では、2023年の土地付き注文住宅の平均価格は4,903万円でした。平均的な注文住宅を建てる場合、土地は1,300万円程度、建物は3,500万円程度の予算で考えるとよいでしょう。
ただし、立地によっても土地の価格が異なるため、予算が決まったら希望する立地でどれくらいの大きさの家が建てられるのかを調べ、予算を調整しておく必要があります。
土地と建物の予算を決めたら、家族の人数やライフスタイルに合わせて、間取りや部屋数、キッチンやバスルームなどの設備の希望を明確にしましょう。特に思いつかない場合は、建築会社の一括資料請求を利用したり、住宅展示場などに足を運んで、好みの家の傾向をイメージすることがおすすめです。
また、日当たりや風通しを意識した設計や、エコ性能・耐震性などの性能面も含めて考えると、より理想の住まいを具体化できます。
イメージが決まった状態で建築会社や設計士に相談すると、設計がスムーズに進むため、事前に考えておきましょう。
予算と住みたい家のイメージが決まったら、依頼する建築会社の候補を決めます。建築会社は、設計の自由度や建築の品質、費用に大きく影響を与えるため、慎重に選びましょう。
まずは、口コミや評判、施工実績を調べ、自分たちの希望や条件に合った会社をいくつかピックアップします。その後、相談会などに参加して各会社の対応や提案力を比較し、信頼できる会社を絞り込んでいきましょう。
多くの建築会社は土地探しからサポートしてくれるため、建てたい家のイメージや希望する立地条件をもとに住みたい土地を一緒に探していきましょう。日当たりや地形、周辺環境、交通アクセスなどが問題ないかを確認します。
また、建築可能な条件や法的制約も事前にチェックしなければいけません。土地を購入してから希望の家が建てられないとわかると、失敗してしまいます。予算を踏まえたうえで、見つかった土地が理想の家づくりに適しているか、建築会社と一緒に確認しましょう。
土地探しと同時に、建築会社に家族構成やライフスタイル、予算やデザインの好みなどを伝えて、設計プランを作成してもらいましょう。間取りや設備、性能面の希望を具体的に伝えることで、自分たちのイメージに合った提案を得られやすくなります。
また、設計プランだけではなく、その内容に基づいた見積もりを確認して、予算に合致しているかをチェックします。提案内容や見積もりに納得できない場合は、複数の会社に依頼して比較することをおすすめします。
選んだ土地と建築会社が確定したら、土地と住宅を仮契約として申し込みます。仮契約は、本契約前に内容を最終確認し、計画を調整するために必ずしなければいけません。
仮契約の段階で、土地の価格や建築費用、契約条件などを確認し、不明点があれば建築会社や不動産会社に相談しましょう。また、契約後の変更やキャンセルが可能な範囲も確認しておくと安心です。
購入した土地に家を建てるため、工事請負契約をします。工事請負契約とは、建築会社と締結する、住宅の建築工事に関する正式な契約のことです。設計プランや見積もり内容を確認して、問題がなければ契約を結び、同時に住宅ローンの本審査を進めます。
住宅ローンの本審査では、土地と建物の契約内容や費用、収入証明などの書類を提出し、金融機関から住宅ローンを借り入れできるかを判断されます。契約条件やローンの内容をしっかり確認して、無理のない返済計画を立てておきましょう。
工事請負契約を結び、住宅ローンの本審査に通過したら、土地の地盤調査や整地作業が始まります。
地盤に問題がなければ、工事が始まります。建築会社が設計図に基づいて作業を進めるため、事前にプランや仕様の最終確認を済ませておきましょう。
また、工事中には進捗状況を定期的に確認し、不明点や変更点があれば、早めに建築会社に相談しましょう。現場を訪れることで、着工の様子を実感でき、完成後のイメージもより具体的になります。
工事終了後は、建築基準法に基づいた完了検査がおこなわれ、建物が法律や設計通りに建てられているかを確認します。完了検査をクリアしたら、建築会社と立ち会い、設備や仕上がりに問題がないかを確認します。
もし、傷や不具合があれば、引き渡し前に修正を依頼しておきましょう。すべてに納得できたら鍵が引き渡され、正式に自分の家となり、理想の住まいで新しい生活がスタートします。
土地がない状態から注文住宅を建てる場合、土地探しに難航してしまう方は意外と多いものです。もし、住みたい場所に理想の土地が見つからない場合でも、注文住宅を諦める必要はありません。
ここからは、土地探しが難しい場合の対処法や選択肢を解説します。
住みたい場所に土地が見つからない場合、建築会社だけではなく、地元の不動産会社に問い合わせてみましょう。
地元の不動産会社は、その地域の土地情報や市場動向に詳しく、一般には出回っていない未公開物件や売却予定の土地情報を持っている場合があります。
住みたいエリアの条件や希望を具体的に伝えることで、条件に合った土地を効率的に探してくれるため、自分では見つけられなかった土地に出合う可能性もあるでしょう。
住宅展示場や地域が開催している相談会に参加すると、未公開の物件や今後販売予定の土地の情報を得られる可能性があります。地域の不動産会社や建築会社が土地情報を提供しているため、土地探しの選択肢が増えるでしょう。
また、住みたいエリアに関する情報を直接確認できるため、地域の環境や利便性などへの理解が深まり、条件に合った土地を明確化しやすい点もメリットです。
どうしても住みたい場所に土地が見つからない場合は、希望するエリアにある中古住宅を購入し、その建物を解体して新しく注文住宅を建てる方法もあります。
特に、人気のあるエリアでは土地単体での販売が少ないため、中古住宅を含めた選択肢を検討すれば、土地の候補が広がるでしょう。
ただし、解体費用や建築制限など追加の費用や制約があるため、事前に費用や条件の確認が大切です。また、購入前に地盤や法的条件を調査し、再建築が可能かも聞いておきましょう。
注文住宅は、理想を追求するあまり、当初より予算オーバーしてしまう方も少なくありません。注文住宅の費用を抑えるためにも、土地探しや建築計画の工夫をしましょう。
ここからは、予算内で理想の家を実現するためのポイントを解説します。予算内で満足度の高い家づくりをするためにも、参考にしてみてください。
建築条件付き土地とは、指定された建築会社で家を建てることが条件となった土地です。土地と建物を同じ会社、または提携先の会社に依頼することで土地価格を抑えて購入できます。
また、建築会社の指定だけではなく、建築請負契約を結ぶまでの期間が設定されているケースも多く、一般的には土地購入から3カ月以内とされています。この期間に家の内装や設備などのプランを決める必要があるため、長期的に家づくりをしたいと考えている方は注意しましょう。
セミオーダー住宅とは、用意された基本プランをベースに、間取りや設備、デザインの一部を自分の好みに合わせて変更できる住宅です。
フルオーダー住宅とは異なり、完全な自由設計ではないため、設計や建築コストを大幅に抑えられます。また、標準仕様の設備や建材を使用すれば費用をさらに削減できるでしょう。
一定の個性やこだわりを反映しながら費用を抑えたい方は、セミオーダー住宅も検討するとよいでしょう。
土地の価格はエリアによって大きく異なるため、予算が合わない場合は家を建てるエリアを考え直しましょう。都市部や人気の高いエリアでは地価が高くなりますが、郊外や地方では比較的安価な土地が見つかる場合が多いです。
住みたい地域の条件を整理し、利便性や通勤・通学の距離、周辺環境などを総合的に判断して選び、コストパフォーマンスのよい土地を見つけましょう。また、再開発予定のエリアや隠れた穴場を選べば、将来的な価値向上も期待できます。
土地を所有していない状態で注文住宅を建てる場合、土地探しから設計、建築まで多くの工程があるため、流れを把握しておくことでスムーズに進められます。
もし、土地探しや予算配分に迷ったら専門家のアドバイスを活用することもおすすめです。この記事で紹介したポイントを参考に、計画的に家づくりを進めていきましょう。
弊社では、住宅購入前後に特化したお金の相談を承っております。「注文住宅の購入予算はどれくらい必要? 」「土地の予算はいくらが適切? 」など、お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。