「30代の貯金と投資の割合ってどのくらいなの?」
「貯金や投資はどのようにするのが良いの?」
このように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、30代の貯金と投資の割合や、おすすめの資産形成について紹介しています。
貯金や投資をしたいと考えている人にとって有益な情報を記載していますので、是非最後までご覧ください。
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30代にとっておすすめの貯金や投資方法については後述しますが、まずは30代の人がどれだけ貯金や投資をできているのかを把握しておきましょう。
必ずしも周りに合わせる必要はありませんが、これから貯金や投資を始めたいと考えている人にとって平均値などは一つの目安となります。
30代の金融資産保有額や、手取り収入と資産保有額に分けて見ていきましょう。
まずは30代の金融資産保有額を紹介します。
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、30代の金融資産非保有世帯を含む金融資産保有額ごとの割合は以下の通りです。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答、非保有 | |
30代 | 39.3% | 10.9% | 15.6% | 34.2% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
回答者972名のうち、30代で金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の15.6%、平均値が599万円、中央値が130万円という結果となりました。
また、30代の金融資産保有世帯のみに限定した場合は、金融資産保有額ごとの割合は以下の通りです。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答 | |
30代 | 56.4% | 15.6% | 22.3% | 5.8% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
金融資産をすでに保有している回答者678名のうち、30代で金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の22.3%、平均値が874万円、中央値が315万円という結果となりました。
参考までに、20代と40代についても確認してみましょう。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答、非保有 | |
20代 | 47.3% | 6.2% | 2.2% | 44.3% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
20代の回答者720名のうち、金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の2.2%、平均値が151万円、中央値が10万円という結果となりました。
20代では独身者も多く、家族のための資産形成を考えている割合が少ないため、30代と比較すると金融資産保有額が低いものと考えられます。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答、非保有 | |
40代 | 31.5% | 12.9% | 21.4% | 34.3% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
40代の回答者1,376名のうち、金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の21.4%、平均値が811万円、中央値が180万円という結果となりました。
30代から資産形成を始めることで、複利の効果が働き40代で資産が増えることや、収入が上がり入金力が上がることが40代で1,000万円を超えている世帯が多い要因と考えられます。
次に30代の手取り収入と貯金の割合を紹介します。
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、30代の手取り収入に対する貯金の割合は以下の通りです。
~10% | 10~20% | 20~30% | 30%~ | |
30代 | 44.4% | 25.0% | 13.6% | 17.0% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
※「~10%」の中には「貯蓄なし」の人も含まれています。
回答者464名のうち、30代の手取り収入から貯金できている割合で最も多かったのは10%未満という結果となりました。
例えば、年間の手取り収入が500万円の人が10%貯金をする場合、年間の貯金額は50万円となります。
30代から貯金や投資をする目的には以下の4つが挙げられます。
順番に見ていきましょう。
30代から貯金や投資をする1つ目の目的は、万が一に備えることです。
病気やケガをした際など、収入を確保できなくなった時のために貯金をしておくことが大切です。
日本では、高額療養費制度や医療費の3割負担など医療費制度が充実していますが、万が一の時にはカバーしきれないこともあります。
そのため、貯金や投資をして資産を増やしておくことで、万が一の時に備えることができます。
30代から貯金や投資をする2つ目の目的は、老後の備えです。
長期的な視点で見れば、老後の生活に備えるために貯金や投資をすることはとても重要です。
定年退職後は年金生活となり収入が減少することが予想されます。
30代から老後の準備をしておくことで、複利の効果を最大限に活かした資産形成が可能です。
30代から貯金や投資をする3つ目の目的は、子どもの教育費用のための備えです。
30代では結婚や出産をしている家庭も多いでしょう。
人生の三大支出と言われている教育費に備えるためにも、30代から計画的に貯金や投資をすることが大切です。
30代から貯金や投資をする4つ目の目的は、自己成長のためです。
投資をすることで株式や不動産投資などについて知見を広げることができます。
自分が購入している商品の将来性や、より良い商品を探すためにビジネスや金融についての勉強もするでしょう。
そのため、貯金や投資をすることで自己成長を図れます。
30代から投資を始める場合、次のようなメリットがあります。
30代から投資を始める最大のメリットの一つが、長期投資による複利効果を得られる点です。複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで元本が雪だるま式に増えていく仕組み。
例えば、元本100万円を年利1%で複利運用すると、1年目の利益1万円が元本に加わり、2年目には101万円に対してさらに1%の利益がつきます。こうして年々増えた利益が次の利益を生むため、運用期間が長ければ長いほど資産は加速度的に増加していくのです。
30代から投資を始めると、老後までの長期にわたって投資を続けられるため、複利効果を最大限に活用できます。たとえ月々の投資額が小さくても、時間と複利を味方にすることで、最終的には大きな資産形成が可能に。
複利の恩恵を最大化するため、早めに投資を始め、長期間の積立投資に取り組むことを検討してみましょう。
損失が出てもリカバリーしやすいこともメリットの一つです。30代はまだ働ける期間が長く、投資において多少の損失が出たとしても、勤労収入や再投資によって損失を取り戻す時間的な余裕があります。
また、30代のうちから投資を始めることで、失敗を学びとして成長することができ、より成功につながる経験を積むチャンスが増えるのです。
リカバリーのしやすさと経験の積み重ねができる30代は、積極的な投資を考えるのに適した年代といえます。
30代が貯金や投資を始める際のポイントは以下の4つです。
順番に見ていきましょう。
30代が貯金や投資を始める際の1つ目のポイントは、現在の貯金や投資状況を把握することです。
現在の状況を把握することで、収入と支出のバランスを確認し、どの程度貯金ができるか、また投資に回せるお金があるのかを明確にすることが大切です。
毎月の収支だけではなく、資産や借入なども含めて細かく確認する必要があるでしょう。
30代が貯金や投資を始める際の2つ目のポイントは、貯金や投資にいくら充当できるか考えることです。
毎月の収支や借入などを確認し、ライフプランなども考慮したうえで貯金や投資にいくら充当できるかを考える必要があります。
例えば、老後のことだけを考慮して貯金や投資をしていても、目先の生活費を支払えなくなってしまっては意味がありません。
緊急時のための貯金を除いた金額で投資を始めるのが理想的です。
30代が貯金や投資を始める際の3つ目のポイントは、目標や目的を明確にすることです。
目標を明確にすることで具体的な行動を起こすことができます。
例えば、将来の子供の教育費用やマイホームの購入資金、老後どのような生活をしたいのかなどを具体的に考えることで、投資の方向性や期間を決めやすくなります。
目標や目的を明確に設定し、それらに向けて計画的に貯金や投資を行いましょう。
30代が貯金や投資を始める際の4つ目のポイントは、長期的な視点を持つことです。
投資は、短期的な値動きに惑わされず、長期的な視点で考えることが重要です。
株式投資などのリスクのある商品に投資する場合、一時的な下落があっても焦らず、長期的な視点を持って資産形成することで失敗するリスクを軽減できるでしょう。
30代から貯金や投資を始める際の注意点は以下の4つです。
順番に見ていきましょう。
30代から貯金や投資を始める際の1つ目の注意点は、リスクについて理解することです。
投資にはリスクがつきものなので、投資をする場合には自分のリスク許容度に応じた運用方法を選択する必要があります。
また、投資の種類やリスク分散など、投資に関する知識を身につけておくことも大切です。
30代から貯金や投資を始める際の2つ目の注意点は、集中型投資をすることです。
先述した通り、投資にはリスクがつきものであるため、リスク分散をすることが大切です。
例えば、株式と債券、不動産に分散させて投資をすることが挙げられます。
また、日本の預金口座に貯金しながら米国株式に投資をすることも一つのリスク分散と言えるでしょう。
30代から貯金や投資を始める際の3つ目の注意点は、手数料が高い商品を選ぶことです。
投資信託やETFを購入する場合は、20年や30年など長期的な目線で投資をすることが多いでしょう。
そのため、手数料が高い商品を選んでしまうと得られる利益が減ることになります。
長期目線で行う投資の場合には、特に注意しておきましょう。
30代から貯金や投資を始める際の4つ目の注意点は、入金力を高める努力をしないことです。
直近でマイホームを購入するなど多額の資金を使う予定がある人は難しいかもしれませんが、入金力を高めることで資産形成は加速します。
具体的には固定費の見直しや副業をして収入を増やすことで余剰資金が生まれ、入金力を高めることができるでしょう。
30代におすすめの資産形成について、以下の4つを紹介します。
順番に見ていきましょう。
30代におすすめの資産形成の1つ目は、財形貯蓄制度です。
財形貯蓄制度とは、毎月の給与から一定額を天引きして会社が提携する銀行に送金する制度のことで、この制度を導入している会社でのみ利用できます。
毎月の給与から天引きされるため、貯金をする際に手間がかかりません。
財形貯蓄制度は一般財形貯蓄と財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄に分けられます。
一般財形貯蓄の場合は年齢制限もなく利用できますが、財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄が受けられる税制上の優遇が受けられません。
また、会社によっては福利厚生の中に財形貯蓄制度の奨励金制度が設けられている場合もあるため、まずは会社の制度を確認してみましょう。
30代におすすめの資産形成の2つ目は、NISA(少額投資非課税制度)です。
NISAとは、株式や投資信託の配当金や分配金、値上がりで得られた売却益が非課税となる制度。
「つみたて投資枠」(年間120万円)と「成長枠投資」(年間240万円)の2つの枠があり、生涯を通じて非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)まで投資できます。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
非課税保有期間 | 無制限 | |
制度(口座開設期間) | 恒久化 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額(総枠) | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等 |
対象年齢 | 18歳以上 |
参照:金融庁
NISAの制度を利用せずに株式投資や投資信託などを運用した場合、運用益に対して20.315%の税金が課税されることになります。
NISAの場合は18歳以上から始めることができ、いつでも解約ができる制度なので効率よく資産を増やしたい人におすすめの制度と言えるでしょう。
このNISAの制度を利用することで複利で資金を運用することになりますが、年利5%で毎月4万円を運用すると以下のようになります。
4年 | 8年 | 10年 | 20年 | |
元本 | 192万円 | 384万円 | 480万円 | 960万円 |
運用益 | 約20万円 | 約87万円 | 約141万円 | 約684万円 |
参照:金融庁
長期間運用することで複利の効果を最大限に得ることができるため、資産の最大化を図る場合には財形貯蓄制度よりも効果的と言えるでしょう。
30代におすすめの資産形成の3つ目は、iDeCoです。
iDeCoとは個人型確定拠出年金とも呼ばれ、毎月掛金を拠出して老後資金のために自分で年金を作る制度です。
NISAの制度と同様に運用益が非課税になり、毎月の掛金が全額所得控除になることもiDeCoを利用するメリットです。
例えば、毎月23,000円拠出している場合には276,000円が所得から差し引かれて所得税や住民税が計算されるため、節税効果も大きい制度と言えます。
ただし、iDeCoは老後に備えることに特化した制度のため、60歳まで現金化することができない点は注意点として覚えておきましょう。
運用益のシミュレーションは先ほど紹介したNISAと同様になりますが、所得控除が受けられる分、老後資金の備えとしてはNISAよりも効率的に資産を増やせるでしょう。
毎月の拠出金額の上限額は以下のように加入者によって異なります。
毎月の拠出額上限 | |
自営業者 | 68,000円 |
会社員 | 23,000円 |
会社員(確定拠出年金以外の企業年金がある場合) | 12,000円 |
公務員 | 12,000円 |
専業主婦 | 23,000円 |
参照:金融庁
30代におすすめの資産形成の4つ目は、貯蓄型保険です。
貯蓄型保険は、死亡や高度障害になった際のリスクに備えながら貯蓄ができる制度です。
毎月保険料として支払うことで、満期保険金や解約返戻金としてお金が戻ってきます。
これまで紹介した制度と異なるのは、生命保険としての機能も持ち合わせているため、死亡や高度障害などになった際の保障も受けられます。
30代になって結婚や出産をした人は、ライフプランに合わせて学資保険などを検討しても良いでしょう。
ただし、貯蓄型の保険は掛け捨て型よりも割高になる傾向にあることは注意点として覚えておきましょう。
今回の記事では、30代の貯金と投資の割合や、おすすめの資産形成について紹介しました。
30代の手取り収入から貯金できている割合で最も多いのが10%未満であることがわかりました。
しかし、様々な制度を活用することで効率よく資産を増やすことができます。
まずは自分のライフプランに合った貯金や投資方法を見つけるためにも、お金のプロに相談してみましょう。