「50代の貯金と投資の割合ってどのくらいなの?」
「貯金や投資はどのようにするのが良いの?」
このように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、50代の貯金と投資の割合や、おすすめの資産運用について紹介します。
貯金や投資をしたいと考えている人にとって有益な情報を記載していますので、是非最後までご覧ください。
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50代にとっておすすめの貯金や投資方法については後述しますが、まずは50代の人がどれだけ貯金や投資をできているのかを把握しておきましょう。
必ずしも周りに合わせる必要はありませんが、これから貯金や投資を始めたいと考えている人にとって平均値などは一つの目安となります。
50代の金融資産保有額や、手取り収入と資産保有額に分けて見ていきましょう。
まずは50代の金融資産保有額を紹介します。
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和5年)」によると、50代の金融資産非保有世帯を含む金融資産保有額ごとの割合は以下の通りです。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答、非保有 | |
50代 | 26.8% | 10.8% | 27.8% | 34.5% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
回答者1,390名のうち、50代で金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の27.8%、平均値が1,212万円、中央値が200万円という結果となりました。
また、50代の金融資産保有世帯のみに限定した場合は、金融資産保有額ごとの割合は以下の通りです。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答 | |
50代 | 38.7% | 15.4% | 39.9% | 6.0% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
金融資産をすでに保有している回答者969名のうち、50代で金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の39.9%、平均値が1,773万円、中央値が700万円という結果となりました。
参考までに、40代と60代についても確認してみましょう。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答、非保有 | |
40代 | 31.5% | 12.9% | 21.4% | 34.3% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
40代の回答者1,376名のうち、金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の21.4%、平均値が811万円、中央値が180万円という結果となりました。
50代になると子どもが独立する世帯が増え、早くに住宅を購入した人は住宅ローンの返済を終え、貯金や投資に多くの資金を回せているのでしょう。
40代と50代を比較すると金融資産保有額が1,000万円を超えている世帯が多いのは、上記のような要因が考えられます。
~500万円 | 500万円~1,000万円 | 1,000万円~ | 無回答、非保有 | |
60代 | 20.5% | 11.7% | 40.0% | 27.9% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」
60代の回答者1,445名のうち、金融資産保有額が1,000万円を超えている割合は全体の40.0%、平均値が1,862万円、中央値が530万円という結果となりました。
50代から資産形成を始めることで、複利の効果が働き60代で資産が増えることや、収入が上がり入金力が上がることが60代で1,000万円を超えている世帯が多い要因と考えられます。
次に50代の手取り収入と貯金の割合を紹介します。
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、50代の手取り収入に対する貯金の割合は以下の通りです。
~10% | 10~20% | 20~30% | 30%~ | |
50代 | 47.7 | 27.4 | 10.8 | 14.3 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
※「~10%」の中には「貯蓄なし」の人も含まれています。
回答者773名のうち、50代の手取り収入から貯金できている割合で最も多かったのは10%未満という結果となりました。
例えば、年間の手取り収入が750万円の人が10%貯金をする場合、年間の貯金額は75万円となります。
50代になると、定年退職後のお金が気になる人も多いでしょう。
老後に必要なお金は、その人の生活スタイルや健康状態、住居や所得などによって異なります。
日本では、国民年金や厚生年金などの年金制度がありますが、現状では年金受給額が少なく、貯金や投資によって自分で老後資金を準備する必要があります。
安心して老後を暮らすためにはいくら貯金しておく必要があるのでしょうか。
総務省が発表している「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上の夫婦世帯と単身世帯の家計収支は以下の通りです。
実収入 | 可処分所得 | 消費支出 | 差し引き | |
夫婦世帯 | 246,237円 | 214,426円 | 236,696円 | ▲22,270円 |
単身世帯 | 134,915円 | 122,559円 | 143,139円 | ▲20,580円 |
参照:総務省
65歳以上の夫婦世帯、単身世帯ともに、消費支出が可処分所得を上回っていることが分かります。
つまり、65歳から100歳まで生きる場合には、300万円以上の貯金が必要となります。
ただし、これは最低限の生活をするための費用であるため、趣味や娯楽など老後にやりたいことがある場合には、更に貯金が必要になるでしょう。
50代から貯金や投資をする目的には以下の4つが挙げられます。
順番に見ていきましょう。
50代から貯金や投資をする1つ目の目的は、医療費の準備です。
病気やケガをした際など、収入を確保できなくなった時のために貯金をしておくことが大切です。
日本では、高額療養費制度や医療費の3割負担など医療費制度が充実していますが、万が一の時にはカバーしきれないこともあります。
また、年齢が上がると病気やケガをする確率が上がるため、貯金や投資をして資産を増やしておくことで、万が一の時に備えることができます。
50代から貯金や投資をする2つ目の目的は、老後の備えです。
長期的な視点で見れば、老後の生活に備えるために貯金や投資をすることはとても重要です。
定年退職後は年金生活となり収入が減少することが予想されます。
50代から老後の準備をしておくことで、複利の効果を最大限に活かした資産形成が可能です。
50代から貯金や投資をする3つ目の目的は、子どもの教育費用のための備えです。
50代になると、子供が大学生になる世帯も多いでしょう。
文部科学省の調査によると、大学や大学院の授業料は以下の通りです。
授業料 | 入学料 | 施設設備費 | |
私立大学 | 約96万円 | 約24万円 | 約17万円 |
私立短期大学 | 約73万円 | 約24万円 | 約16万円 |
私立高等専門学校 | 約78万円 | 約25万円 | 約10万円 |
博士前期課程 | 約80万円 | 約20万円 | 約8万円 |
博士後期課程 | 約60万円 | 約19万円 | 約5万円 |
専門職学位課程 | 約107万円 | 約19万円 | 約6万円 |
参照:文部科学省
人生の三大支出と言われている教育費に備えるためにも、50代からでも計画的に貯金や投資をすることが大切です。
50代から貯金や投資をする4つ目の目的は、子どもに財産を残すことです。
計画的に貯金や投資をしておくことで、将来的に子どもに財産を残すことができます。
株式投資や不動産投資をしている場合には資産を残すことができ、住宅ローンの完済をしていれば返済のない自宅を残すことができます。
50代が貯金や投資を始める際のポイントは以下の5つです。
順番に見ていきましょう。
50代が貯金や投資を始める際の1つ目のポイントは、目的や目標を明確にすることです。
50代からの場合は「とにかくお金を増やしたい」という考えで資産形成をすると、リスクの高い投資商品を購入してしまう可能性があります。
老後の生活に向けて自分がどれだけのお金が必要になるのかを逆算して、適切な方法で貯金や投資をすることが大切です。
50代が貯金や投資を始める際の2つ目のポイントは、焦らずに資産運用することです。
20代や30代から資産運用をしている人と比較すると、運用期間が短く「時間がない」と考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、知識がないまま多額の資金を信用取引などのハイリスクな手法を選択すると、結果的に大きな損失を被る可能性があります。
50代からでも十分に資産形成ができる手法もあるため、焦らず預金を確保しながら、余剰資金で資産形成を図りましょう。
50代が貯金や投資を始める際の3つ目のポイントは、家計の収支を把握することです。
50代になれば住宅ローンを完済し、その分貯金や投資にお金を回すことができれば、資産形成は加速します。
しかし、家計の収支を把握せずに無駄遣いをしてしまえば、老後資金を準備できなくなります。
そのため、まずは家計の収支を把握し、老後資金に向けてどれだけの資金を貯金できるのかを確認しておきましょう。
50代が貯金や投資を始める際の4つ目のポイントは、しっかり情報収集することです。
若い世代と比較すると資金力がある50代の人は、投資の話を聞く機会もあるでしょう。
世の中には様々な投資商品があり、担当の営業マンから言われるがまま購入してしまうと投資に失敗する可能性もあります。
50代にもなると、大きな損失を被ってしまった場合に挽回することが難しくなるため、インターネットやセミナーなどを活用しながら常に情報収集を心がけておきましょう。
50代が貯金や投資を始める際の5つ目のポイントは、複利を最大限活用することです。
先述した通り、50代になると「時間がない」と考える人も多くなるでしょう。
しかし、定年までは10年や15年と十分に複利を活用するだけの期間があります。
複利の効果を最大限に活用することで、資産形成を加速させることができるでしょう。
50代から貯金や投資を始める際の注意点は以下の4つです。
順番に見ていきましょう。
50代から貯金や投資を始める際の1つ目の注意点は、リスクについて理解することです。
投資にはリスクがつきものなので、投資をする場合には自分のリスク許容度に応じた運用方法を選択する必要があります。
また、投資の種類やリスク分散など、投資に関する知識を身につけておくことも大切です。
50代から貯金や投資を始める際の2つ目の注意点は、集中型投資をしないことです。
先述した通り、投資にはリスクがつきものであるため、リスク分散をすることが大切です。
例えば、株式と債券、不動産に分散させて投資をすることが挙げられます。
また、日本の預金口座に貯金しながら米国株式に投資をすることも一つのリスク分散と言えるでしょう。
50代から貯金や投資を始める際の3つ目の注意点は、手数料が高い商品を選ばないです。
投資信託やETFを購入する場合は、20年や30年など長期的な目線で投資をすることが多いでしょう。
そのため、手数料が高い商品を選んでしまうと得られる利益が減ることになります。
長期目線で行う投資の場合には、特に注意しておきましょう。
50代から貯金や投資を始める際の4つ目の注意点は、貯金と投資のバランスを考えることです。
貯金と投資のバランスを考えることは、将来の安定的な資産形成のために非常に重要です。
貯金は緊急時のための備えや、将来の大きな支出のための貯蓄などに適していますが、投資は将来の資産形成のために資金を増やすための手段であると言えます。
緊急時のための貯金をしながら、余剰資金で投資をするようにしましょう。
50代におすすめの資産運用について、以下の4つを紹介します。
順番に見ていきましょう。
50代におすすめの資産運用の1つ目は、NISA(少額投資非課税制度)です。
NISAとは、株式や投資信託の配当金や分配金、値上がりで得られた売却益が非課税となる制度。
「つみたて投資枠」(年間120万円)と「成長枠投資」(年間240万円)の2つの枠があり、生涯を通じて非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)まで投資できます。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
非課税保有期間 | 無制限 | |
制度(口座開設期間) | 恒久化 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額(総枠) | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) | |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等 |
対象年齢 | 18歳以上 |
参照:金融庁
NISAの制度を利用せずに株式投資や投資信託などを運用した場合、運用益に対して20.315%の税金が課税されることになります。
NISAの場合は18歳以上から始めることができ、いつでも解約ができる制度なので効率よく資産を増やしたい人におすすめの制度と言えるでしょう。
このNISAの制度を利用することで複利で資金を運用することになりますが、年利5%で年間75万円を運用すると以下のようになります。
4年 | 8年 | 10年 | 20年 | |
元本 | 300万円 | 600万円 | 750万円 | 1,500万円 |
運用益 | 約31万円 | 約135万円 | 約220万円 | 約1,069万円 |
参照:金融庁
長期間運用することで複利の効果を最大限に得ることができるため、資産の最大化を図る場合には財形貯蓄制度よりも効果的と言えるでしょう。
50代におすすめの資産運用の2つ目は、iDeCoです。
iDeCoとは個人型確定拠出年金とも呼ばれ、毎月掛金を拠出して老後資金のために自分で年金を作る制度です。
NISAの制度と同様に運用益が非課税になり、毎月の掛金が全額所得控除になることもiDeCoを利用するメリットです。
例えば、毎月23,000円拠出している場合には276,000円が所得から差し引かれて所得税や住民税が計算されるため、節税効果も大きい制度と言えます。
ただし、iDeCoは老後に備えることに特化した制度のため、60歳まで現金化することができない点は注意点として覚えておきましょう。
運用益のシミュレーションは先ほど紹介したNISAと同様になりますが、所得控除が受けられる分、老後資金の備えとしてはNISAよりも効率的に資産を増やせるでしょう。
毎月の拠出金額の上限額は以下のように加入者によって異なります。
毎月の拠出額上限 | |
自営業者 | 68,000円 |
会社員 | 23,000円 |
会社員(確定拠出年金以外の企業年金がある場合) | 12,000円 |
公務員 | 12,000円 |
専業主婦 | 23,000円 |
参照:金融庁
50代におすすめの資産運用の3つ目は、債券です。
債券とは、国や企業が発行する債券を購入し、一定期間後に元本と利息を返済してもらう金融商品のことです。
債券は国や企業が資金を必要としている場合に発行されるもので、発行元によって債券の種類が異なります。
債券の種類は以下の通りです。
具体例 | |
国債 | 個人向け国債、新窓販国債、利付国債 |
社債、外国債券 | 事業債、円建外債(サムライ債)、外貨建債、二重通貨建債(デュアル・カレンシー債) |
参照:日本証券業協会
債券に投資する場合、運用したい債券を自由に選択し、組み合わせることができます。
債券で投資するメリットは、国や企業が破綻しない限りは一定期間後に投資した資金が全額戻ってくることです。
50代におすすめの資産運用の4つ目は、不動産投資です。
不動産投資ではインカムゲインとキャピタルゲインといった2種類の収益獲得方法があります。
インカムゲインは家賃収入などで安定的な収入を得られる方法で、キャピタルゲインは購入した物件を売却する際の売却益で収益を得る方法です。
キャピタルゲインは不動産の売買市場を把握して購入や売却を行わないといけないため、不動産投資をしたことがない人にとっては難しい投資手法となるでしょう。
不動産投資に興味がある人は不動産投資セミナーや、不動産会社に問い合わせをしてみると良いでしょう。
今回の記事では、50代の貯金と投資の割合や、おすすめの資産運用について紹介しました。
50代の手取り収入から貯金できている割合で最も多いのが10%未満であることがわかりました。
しかし、さまざまな制度を活用することで効率よく資産を増やすことができます。
まずは自分のライフプランに合った貯金や投資方法を見つけるためにも、お金のプロに相談してみましょう。