老後の住まいとして、定年後に家を購入しようと考えている方は少なくありません。
定年後でも家を買うことは可能ですが、老後の生活設計を見据えて本当に購入すべきか、慎重な判断が必要です。
この記事では、定年後に家を買うときに知っておきたいポイントと、定年後に家を買うメリット・デメリットを解説します。豊かな老後生活を実現するためにも、ぜひ参考にしてください。
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結論から言うと、定年後に家を買うことは可能です。
しかし、家は中古住宅でも数千万円以上と高額な商品なため、老後の返済能力や資金を考えて慎重に判断しなくてはいけません。
また、住宅ローンを利用する場合は、返済期間や借入額にも注意が必要です。そのため、定年後に家を買う際は自己資金を多く準備するか、短期ローンの活用を検討して無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
定年後に住宅ローンを利用して家を購入する場合は、返済期間が短くなることも多いため、無理のない資金計画が求められます。また、返済中のリスクを考慮し、老後の資金とのバランスをとることも大切です。
ここからは、定年後に家を買う場合の住宅ローンにおける注意点を解説します。
金融機関は返済能力を重視するため、年齢が上がると住宅ローンの審査に通らない可能性があります。特に、収入源が年金だけでは返済能力が低いと見なされるので、借入額によっては審査に落ちてしまうケースも少なくありません。
また、住宅ローンの審査に通っても返済期間が短く設定されるので、月々の返済額が高くなる傾向があります。住宅ローンの審査に通るためにも、なるべく借入額を減らすか、一括で買える家に予算を見直すとよいでしょう。
家を買う年齢によっては、住宅ローンに付随する団体信用生命保険(以降、団信)に加入できない可能性があります。団信とは、ローン返済中に契約者が死亡または高度障害となった場合に、残りのローンを保険金で支払う制度です。
団信に加入するためには、健康であることが条件となります。そのため、高齢者や持病がある方は健康面のリスクが高いと判断され、団信に加入できなかったり、保険料が割高になったりする可能性があるので注意しましょう。
団信に加入できないと、住宅ローンの借入ができない場合もあるので、なるべく早めに決断することをおすすめします。
定年退職後は、主な収入源が年金に限られるため、現役時代と比べて大幅に減少します。住宅ローンは定額での返済が必要なため、毎月の負担が重く感じられやすいでしょう。
さらに、医療費や介護費用などの老後特有の支出も増える可能性があるため、ますます返済が苦しくなる可能性があります。最近では「人生100年時代」との言葉も生まれており、定年退職後の人生もまだまだ長く続きます。
老後の資金が不安な場合は、返済計画を再検討する必要があるでしょう。
「今さら定年後に家を買うメリットってあるのかな? 」と悩んでいる方もいるかもしれませんが、老後に向けて安定した住まいを確保できたり、自分に合った暮らしができたりと、さまざまなメリットがあります。
ここからは、定年後に家を買うメリットを見ていきましょう。自分の理想の老後生活だと感じた方は、家を買うメリットが大きい可能性があります。
老後は家族構成や生活習慣が変わりやすいため、広すぎる家や階段の多い家が負担に感じる方も多くなります。
バリアフリー設計やワンフロアの間取りを選ぶことで、体への負担を軽減し、将来の介護や日常生活の動線を考えた住まいを実現できます。
また、趣味の部屋を設けたり、収納スペースを充実させたりと、自分の希望に応じた家を実現できることも魅力です。生活に合った間取りに住めるので、より快適に過ごしやすくなるでしょう。
賃貸住宅で暮らしていると、収入が年金だけになる老後も家賃を支払い続けなければならないため、家計に大きな負担がかかります。また、家賃は将来的に値上がりする可能性もあるため、安定した収入がない老後生活で暮らすには不安を感じやすいです。
一方、持ち家であれば住宅ローンを完済すると、月々の家賃支出をなくせます。固定資産税や維持費はかかるものの、住居費を抑えた安定した生活を送れるでしょう。
さらに、自分の資産として残るため、万が一の場合には売却などで資金を得る選択肢も持つことができます。そのため、老後の安心感につながる点もメリットです。
高齢になると、階段の上り下りや段差のある生活は転倒などのリスクが高まり、日常の動作が負担になることがあります。
戸建てであれば、段差の少ないバリアフリー設計や手すりの設置、広い廊下やドア幅など、将来的な介護も見据えた安全で使いやすい間取りが可能です。
マンションの場合でも、管理が必要な場所が少なく、エレベーターで移動できるので、生活の負担を軽減できるでしょう。
老後の暮らしに配慮した設計の家で、無理なく自立した生活を長く続けられる点がメリットです。
持ち家は一生住み続けられるだけでなく、最終的には家族へと引き継げる重要な資産となります。家を資産として残すことで、相続時に家族が住まいに困らず安心して生活を続けられる手助けにつながるでしょう。
また、売却や賃貸に出す選択肢もあるので、将来の選択肢を広げる場合にも有効です。
定年後に家を購入するメリットも多いですが、住宅ローンの不安をはじめとして金銭面での負担が大きいことが気になるでしょう。また、家を買ってみたものの、自分に合わない可能性もあるため、慎重な検討が必要です。
次は、定年後に家を買う場合に考えられるデメリットを見ていきましょう。
定年後は収入源が年金に限られることが多いため、家を購入する費用や住宅ローンの返済が老後資金を大きく圧迫する可能性があります。
特に、購入時の頭金や不動産取得税、引越し費用など、家を買うときには多くのお金が必要です。老後の資金が減少すると、生活費や医療・介護費用が支払えずに滞納してしまう可能性もあるため、資金バランスを考えて慎重な判断をしましょう。
家を長く快適に保つためには、定期的な修繕や掃除、庭の手入れや設備の交換など、さまざまなメンテナンスが必要です。メンテナンス作業は年齢とともに体力的な負担が大きくなるため、自分でするのが難しくなることもあります。
また、外壁や屋根の修理、給湯設備の交換などは大きな費用がかかるため、老後資金からの支出が増えるリスクも考えられます。専門業者に依頼する場合でも、費用負担や業者選びの手間が生じてしまい、気軽に対応できないケースが多いです。
高齢になると健康面の不安が増し、介護が必要になったり、福祉施設への移住をしなければならなかったりする可能性があります。
もし持ち家を購入しても、自宅に住み続けられなくなる場合は、家の売却や賃貸に出す手続きをしなければなりません。想定よりも長く住めずに、空き家になってしまう恐れもあるので注意しましょう。
家を買うと、住んでいた地域や環境から離れなくてはいけないため、心理的にも体力的にも負担になることが多いです。
周囲の施設や交通機関、買い物場所や医療機関などを把握しなければならず、人間関係も一から築く必要があるため、孤立感や不安を感じやすくなります。せっかく購入した家でも、新しい場所での日常生活に慣れるまで労力がかかる点はデメリットです。
定年後に家を購入する場合は、金銭面や生活面など老後の生活に与える影響を踏まえて、慎重に判断しなければいけません。住み心地や将来の生活設計を考えながら、長期的な視点で計画を立てるようにしましょう。
ここからは、定年後に家を買う場合に、押さえておきたいポイントを解説します。
老後は、移動のしやすさや医療機関へのアクセスが生活の快適さに大きく影響します。
買い物場所や病院が徒歩圏内にあるか、バスや電車などの公共交通機関が整っているかを確認するようにしましょう。また、階段や坂が少なくフラットで歩きやすい地域に住むと、日々の生活の負担が軽減されて安全性を高めるポイントになります。
ほかにも、地域のコミュニティや支援体制が整っていれば、助け合いや交流がしやすく、孤立感を防げるので安心です。老後も安心して住み続けられる場所を選んで、快適で充実した生活を送りましょう。
中古住宅は新築に比べて購入価格が抑えられる一方で、築年数が経過しているため、設備や内装が古くなっている場合があります。
そのため、バリアフリー化や断熱性能の改善など、老後の暮らしに合わせたリフォームを視野に入れて選ぶのがおすすめです。事前に修繕が必要な箇所や、どの程度のリフォームが必要かを見極めてリフォーム費用を含めた予算を立てましょう。
老後は年金などの限られた収入で生活するため、高額な住宅ローンを組むと毎月の返済が家計を圧迫して、生活に影響を及ぼす可能性があります。
無理のない返済を維持するためにも、短期間での完済が見込める物件を選ぶことが理想です。予算を少なめに設定したり頭金を多めに用意したりと、購入するときは返済計画をしっかり立てましょう。
定年後に家を購入する場合は、慎重に返済計画を立てる必要があります。
年齢により、住宅ローンの審査が厳しくなるだけでなく返済期間が短くなるため、無理のない返済プランを立てなければなりません。また、老後の生活資金や将来的な医療費も考えながら、総合的な資金計画を練ることが大切です。
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