近年は住宅価格や生活費の上昇が続いており、家を購入するには今まで以上に慎重な判断が求められます。
「自分の収入でマンションなんて無理かも」と感じている方も多いと思いますが、正しい知識を持ち、適切な資金計画を立てることで、年収500万円でも安心してマンションを購入することが可能です。
この記事では、年収500万円の方が、マンションを購入する際の予算の立て方を解説します。住宅ローンの借入額の目安や、フルローンで購入するときのポイントなど、夢のマイホームを実現するための参考にしてください。
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年収500万円でマンションを購入することは十分に可能です。ただし「買える」ことと「無理なく返済できる」ことは別問題です。収入の安定性や家計の支出バランス、将来のライフイベントなど、さまざまな要素から考える必要があります。
特に、住宅ローン審査では「返済負担率」が重要視されることを把握しておきましょう。返済負担率とは、年間返済額が年収に占める割合のことで、無理なく返済できる割合は20%とされています。
年収500万円の場合、年間100万円、月額にすると約8万3,000円です。この範囲に収まる返済額であれば、審査にも通りやすく、日常生活に支障をきたすリスクを抑えられます。
借入可能額の目安は年収の5〜7倍と言われており、年収500万円の場合、2,500万円〜3,500万円程度が一つの目安です。頭金を用意できれば、さらに高額な物件も視野に入るでしょう。
では、以下の前提条件をもとに、適切な購入価格帯を見てみましょう。
・金利:1.5%(全期間固定)
・ボーナス返済:なし
・返済方式:元利均等返済
・年収に対する年間返済額:20%〜30%程度
借入額 | 返済期間 | 毎月返済 |
2,500万円 | 35年 | 約7万6,000円 |
3,000万円 | 35年 | 約9万1,000円 |
3,500万円 | 35年 | 約10万6,000円 |
4,000万円 | 35年 | 約12万2,000円 |
※百の位以下を切り捨て
現在の家賃や支出と照らし合わせながら、無理のない範囲で予算を立てることが大切です。
マンションの購入では本体価格だけではなく、さまざまな費用が発生します。予算を立てる際は、初期費用や頭金、引越し費用などを含めて予算を立てましょう。
では、年収500万円でマンションを購入する際の予算の立て方を解説します。
初期費用の目安は、新築マンションの場合は物件価格の3~5%程度、中古マンションの場合は物件価格の6~8%程度です。マンションの物件価格によって、初期費用の目安が異なります。
新築マンションの物件価格 | 初期費用の目安 |
3,000万円 | 90万円〜150万円 |
4,000万円 | 120万円〜200万円 |
5,000万円 | 150万円〜250万円 |
中古マンションの物件価格 | 初期費用の目安 |
3,000万円 | 180万円〜240万円 |
4,000万円 | 240万円〜320万円 |
5,000万円 | 300万円〜400万円 |
初期費用の中には、登記費用や手付金、火災保険料などが含まれます。また中古マンションの場合は、不動産会社に支払う仲介手数料が含まれるため、初期費用が高額になる傾向があります。
いずれも、マンションの購入手続きに必要なため、頭金が用意できない場合でも必ず用意しましょう。
住宅ローンの審査に通過するには、返済負担率の基準を守ることが前提です。金融機関の基準では30%〜35%でも通りますが、無理なく返済するためには20%以内に収めるといいでしょう。
年収500万円の場合、年間100万円、月額約8万3,000円に収めると理想的です。
返済額から、将来のライフプランや返済期間を考慮したうえで、無理のない借入額を逆算しましょう。
頭金とは、マンションの価格から住宅ローンの借入額を引いたお金です。
年収500万円で4,000万円の住宅ローンを借り入れる場合、毎月約12万円の返済が発生します。頭金で500万円を支払うと、借入額を3,500万円に抑えられるため、毎月約10万円に軽減できます。
最近は頭金なしのフルローンも可能ですが、その分毎月の返済負担が増え、審査も厳しくなるため注意しましょう。頭金を用意できれば、金利や総返済額の負担が軽減できるため、可能であれば頭金を支払うことをおすすめします。
マンションの購入後もマンションの管理費や修繕積立金、駐車場代などが毎月発生します。住宅ローンの返済だけではなく、毎月の住宅コストがいくらになるかを事前に把握しておきましょう。
例えば、以下の場合、住宅ローンの返済額に加えて月々4万円程度の負担が発生します。
・管理費・修繕積立金:毎月2万円
・駐車場代:毎月1万円
・固定資産税:年12万円(1カ月あたり1万円)
返済負担率の目安となる金額ギリギリまで住宅ローンを借り入れた場合、毎月の住宅コストを含めるとオーバーする恐れがあります。ローンの返済を滞納しないためにも、余裕を持った予算を立てましょう。
年収500万円の場合、毎月の住宅ローン返済額の目安は、約8万3,000円です。この範囲に収まれば、急な出費や将来のライフイベントにも対応しやすく、余裕を持てる返済計画を立てられるでしょう。
では、以下の前提条件をもとに、年収500万円の方が無理なく返済できる返済期間を見てみましょう。
・金利:1.5%(全期間固定)
・ボーナス返済なし
・元利均等返済
・年収に対する年間返済額が30%程度
なお、ボーナス返済を利用する場合は、必ず「ボーナスが出ない年」の想定も入れて計画を立てることが大切です。
返済額 | 月々の返済額 |
1,700万円 | 約8万2,000円 |
2,000万円 | 約9万6,000円 |
2,300万円 | 約11万円 |
2,500万円 | 約12万円 |
※百の位以下を切り捨て
20年ローンは、短期返済による利息の軽減が大きなメリットです。返済総額を抑えたい方や、早期に住宅ローンを終わらせたい方には有効ですが、一方で月々の返済負担は重くなります。
年収500万円で返済期間20年を選ぶ場合、共働きや副収入のある家庭、または他の支出を抑えられる方に向いています。
返済額 | 月々の返済額 |
2,400万円 | 約8万2,000円 |
3,000万円 | 約10万3,000円 |
3,300万円 | 約11万3,000円 |
3,500万円 | 約12万円 |
※百の位以下を切り捨て
30年ローンは、返済負担と期間のバランスが取れており、教育費や老後資金と並行して返済していきたい場合に現実的な計画です。
また、繰り上げ返済を前提に組むことで、当初は無理のない返済を維持しつつ、将来的に返済総額を減らす戦略も取れます。子育て中や、収入変動が予想される方におすすめの返済期間です。
返済額 | 月々の返済額 |
2,700万円 | 約8万2,000円 |
3,200万円 | 約9万7,000円 |
3,500万円 | 約10万6,000円 |
4,000万円 | 約12万2,000円 |
※百の位以下を切り捨て
35年ローンは、月々の返済額を抑えられるため、高額物件も視野に入れやすいメリットがあります。ただし、完済が定年後になる可能性が高いため、老後資金とのバランスが課題となるでしょう。
可能であれば、繰り上げ返済の目標を立て、返済期間を短縮する意識を持つことが理想です。余裕があるときに積極的に返済することで、金利負担を減らせます。
結論から言うと、頭金なしでもマンションの購入は可能です。
ただし、金融機関の審査はより厳しくなります。なぜなら、頭金がないと借入額が増えるため、住宅ローンの審査基準も自然とハードルが上がるからです。
よって、頭金なしで購入を検討する際は、事前に十分な情報収集と準備が欠かせません。では、頭金がない中でもマンションを購入するための対策を紹介します。
住宅ローンの審査で重視されるポイントが、信用情報です。
過去にクレジットカードや携帯電話料金の支払い遅延があると、審査で不利になります。まずは自身の信用情報を把握し、延滞や未払いがないよう注意しましょう。
キャッシングや複数のクレジット契約がある場合、マイナス評価につながる恐れがあります。住宅ローンを申請する前に、不要な借り入れを整理し、クレジットカードの利用も控えましょう。
また、継続的な収入や安定した勤続年数は、審査で大きなプラス要素になります。転職を考えている方は、マンションを購入するまで控えるとよいでしょう。
夫婦やパートナーと二人でペアローンを組む方法は、借入可能額を増やす手段として有効です。例えば、一人で3,000万円を借り入れるのではなく、二人で1,500万円ずつ借り入れることで、一人あたりの負担が大幅に軽減します。
ただし、どちらかが働けなくなった場合、もう一人の返済負担が急増するため注意が必要です。団体信用生命保険の加入条件や収入のバランス、将来的なライフプランを踏まえて慎重に判断しましょう。
新築にこだわらないのであれば、中古マンションの検討も現実的な選択肢です。築年数によっては価格が大きく下がることもあり、頭金なしでも手が届く物件が見つかる可能性があるでしょう。
最近は、リノベーション済みの中古マンションも増えており、見た目は新築同様の物件も多くあります。また、同じ価格帯であれば、新築よりも立地条件の良い物件を選べるケースも珍しくありません。
資産価値を見極めながら、利便性や周辺環境も重視して選びましょう。
マンションを購入する際には、マンションの価格や住宅ローンの返済額だけではなく、長期的に発生する維持費や、将来のライフプランとのバランスも見据えておく必要があります。
住宅は「買って終わり」ではありません。住み続ける中でかかるコストや将来のリスクに備えておくことが、安心して暮らし続けるためには不可欠です。
では、年収500万円でマンションを購入する際の注意点を解説します。
マンションは一戸建てと異なり、共用部分も管理が必要なため、毎月管理費と修繕積立金の支払いが発生します。
物件の規模や築年数によって費用が異なりますが、合計で2万円~3万円程度が一般的です。ただし、タワーマンションや大規模なマンションは、管理費がより高くなる傾向があります。
また、築年数が進むにつれて、修繕積立金が増額されるケースが多い点にも注意が必要です。住宅ローンの返済額だけではなく、固定支出も含めた「総住居コスト」を把握して予算を決めましょう。
住宅ローンの返済額が高すぎると、結婚や出産、子育て、親の介護など、人生の節目ごとにかかるお金に対応できなくなる恐れがあります。
また、子どもが私立学校に通うことになった、介護費用の負担が増えたなどの事態が起きた場合、毎月の支払いが足かせになることも珍しくありません。
マンションの購入を検討する際は、今の生活だけではなく5年後、10年後を見据えて、変化に対応できる予算設定が必要です。
マンションは資産になりますが、その価値が将来も維持される保証はありません。
立地が悪い、駅から遠い、周辺に空き家が増えているなどのネガティブな要素があるエリアでは、思ったよりも早く価値が下がるケースもあります。
また、築年数が経過するとともにリフォームや修繕の必要性も出てきます。資産価値を維持するためには、購入時に物件の立地や管理体制、将来の再開発計画などを確認しておくことが大切です。
年功序列や終身雇用が崩れている現代では、将来的に収入が減るリスクも考えなければなりません。
転職や病気、勤務先の業績悪化などで、想定通りの収入が得られなくなる可能性は誰にでもあります。収入が減少しても住宅ローンの返済が滞らないよう、毎月の返済額は単独収入でも返済可能な範囲に設定しておくとよいでしょう。
また、収入減少時の備えとして、生活防衛資金を十分に確保しておくことも、住宅購入時の大切なポイントです。
しっかりと資金計画を立てることで、年収500万円でもマンションの購入が可能です。ただし「買えるかどうか」よりも「買ったあとも安心して暮らせるかどうか」を考えることが大切です。
理想の住まいを手に入れるためには、堅実な資金計画と長期的な視点が欠かせません。収入に見合った選択をし、住まいと生活のバランスが取れた暮らしを目指しましょう。
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