「せっかく家を買うなら注文住宅にしたい」と注文住宅に憧れを持つ方は少なくありません。注文住宅は、理想の物件を実現できるのが最大のメリットですが、その反面でデメリットもあるので注意しましょう。
この記事では、注文住宅のメリットとデメリットを解説します。また、分譲住宅との比較も紹介するので、どちらにするか悩んでいる方は参考にしてください。
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注文住宅とは、土地や間取り、室内の設備などを自分で自由に決める一戸建てのことです。注文住宅は、大きく分けて3種類あります。
注文住宅の種類 | 内容 |
フルオーダー住宅 | すべての仕様を自分で決められる |
セミオーダー住宅 | デザインや間取りは決められるが、設備や機能は指定されたものから選ぶ |
規格型住宅 | 用意されたデザインや間取りのパターンから好みのものを選ぶ |
それぞれ、自分で決められる範囲が異なる分、費用も変動するので予算に合わせて選びましょう。
注文住宅は、分譲住宅よりも自分で自由に決められることが多いため、戸建てのなかでも人気が高いです。
そういった憧れの存在である、注文住宅のメリットを見ていきましょう。
注文住宅の最大のメリットは、理想の家が建てられる点です。家の外装や内装、間取りなど自分好みの家が建てられるため、満足度の高い物件を実現できるでしょう。
具体的には、楽器が弾ける防音部屋や映画鑑賞が楽しめる地下室などです。自分の趣味や好みに合わせた部屋がつくれるのは魅力的ではないでしょうか。
また、自分の生活スペースに合わせて決められるので、毎日の洗濯や料理などの家事動線に配慮した間取りが設計できます。内装のデザインや間取りまで自由に選べるのは、注文住宅の大きな魅力でしょう。
注文住宅は、あらかじめ用意されている分譲住宅とは異なり、自分でデザインを決めるので、家を建てるパートナーも選べます。注文住宅を建てる際のパートナーは「ハウスメーカー」「工務店」「設計事務所」の3種類から選ぶことが可能です。
パートナーの種類 | メリット | デメリット |
ハウスメーカー | ・規格化しているの品質が安定している ・保証やアフターサービスが充実している |
・自由度が低い ・コストが高め |
工務店 | ・間取りやデザインが自由に選べる ・コストを抑えられる |
・職人の技術に差が出やすい ・保証やアフターサービスが不十分である |
設計事務所 | ・デザイン性が高い物件を建てられる ・独自性のある間取りも叶えられる |
・設計費や監査代などのコストがかかる ・要望に合った設計士を探す必要がある |
それぞれ、メリットとデメリットがあるので、気になったパートナーを何件か比較して、後悔のない選択をしましょう。
注文住宅は、自分で自由に決められるため、予算に合わせた物件が建てられるのがメリットです。細部までこだわりたい方や、独自の部屋を持ちたい方は、予算をかけられるでしょう。
逆に、自分にとって必要のない備品は予算をカットできるので、お金をかける部分とそうでない部分をはっきりさせられるのもポイントです。
注文住宅を選ぶと、どうしても気合が入ってしまい予算をオーバーしがちですが、こだわりが少ない部分は安く抑えられます。そのため、予算が調整できるのは嬉しいポイントではないでしょうか。
注文住宅は、購入した土地に一から家を建てるので、実際に建築している現場の確認ができます。土台となる基礎部分や骨組みなどの工事現場に立ち会うことで、自分の目で物件に不具合がないかチェックできるのは大きなメリットです。
もし、疑問点や気になる点があれば直接工事現場のスタッフに質問ができるので、より納得した物件に住めるのは嬉しいですね。徐々に建物ができあがっていく様子は、気分も上がることでしょう。
また、いつでも見に行ける状況は、施工業者にとってよいプレッシャーになるので、手抜き工事が減る可能性があります。小まめに確認すれば、住宅の欠陥を減らせるメリットも考えられるでしょう。
注文住宅を建てる際に、自分で間取りや設備を決められますが、何十年も住み続ける以上は途中で要望が出てくるケースも少なくありません。その場合でも、リフォームやリノベーションに対応できるのはメリットです。
例えば、自分が年を取り、バリアフリー化された物件にしたい場合や、親と同居して二世帯住宅にしたい場合にも柔軟に対応できます。注文住宅は、増築にも対応しやすい点もポイントでしょう。
将来的に、子どもや孫と住むことを考えている方や、親の介護が必要だと考えている方は、注文住宅を選ぶことをおすすめします。
物件自体も予算も自由度が高い注文住宅ですが、一方でデメリットも少なくありません。
ここからは、注文住宅のデメリットを見ていきましょう。
注文住宅は、自分でデザインや間取り、予算を自由に決めるため、入居に時間がかかる点がデメリットです。注文住宅の購入を決めてから実際に入居するまでに、1年から1年半近くかかるケースも少なくありません。
実際の流れをざっくりと解説すると、次の通りです。
1.土地探しをする
2.パートナーを選ぶ
3.デザインや間取りを決める
4.パートナーに依頼する
5.工事がスタートする
6.最終確認
7.入居
これほどの工程があります。特に、デザインや間取りにこだわりがある場合は、期間が長くなるので注意しましょう。この間にも、予算の見積もりや住宅ローンの審査などの事務手続きが必要なため、時間も手間もかかってしまいます。
急いで入居したい場合や、すぐに住宅を手に入れたい方にはおすすめできないでしょう。
注文住宅は、自分の要望を叶えられるのが魅力ですが、その反面でコストがかかるのがデメリットです。
2022年度にフラット35を利用した方のデータ結果をもとに、注文住宅と建売住宅の費用を比較してみました。建売住宅も分譲住宅と同様、すでに完成している住宅を購入します。
しかし、建売住宅は空いた土地に建てるのに対し、分譲住宅は不動産会社が用意した土地を区切って建てます。
注文住宅の費用 | 建売住宅の費用 | |
首都圏 | 5,406万円 | 4,342万円 |
近畿圏 | 4,893万円 | 3,713万円 |
東海圏 | 4,694万円 | 3,151万円 |
※小数点以下は切り捨て
※注文住宅は土地付き
住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」より筆者作成
この結果を踏まえると、建売住宅と比較して、1,000万円以上も価格帯が上がることがわかります。予算オーバーだと感じたら、こだわりが少ない部分を予算カットするなどで対応しましょう。
また、注文住宅では建築家や設計士などのコンサルティング費用やデザイン料が必要になるケースもあります。物件の費用だけではなく、こういった費用も発生する可能性があるので覚えておきましょう。
注文住宅の場合、土地から決める必要があります。当然ですが、空いている土地に物件を建てなくてはいけません。そのため、気に入った場所に土地が見つからない可能性も考えられます。
特に、人気のあるエリアや希望条件に適した土地は競争が激しくなるので、希望の条件に合った土地や予算内で適した土地を見つけるのが難しい場合も少なくありません。
また、家族で住む場合は学校や職場、施設なども考慮する必要があるため、すべて希望通りの土地を見つけるのは厳しいでしょう。最初の段階である土地選びにつまずいてしまい、予定通りに進まない恐れもあるため、期間に余裕を持つことをおすすめします。
注文住宅は、実際に完成した住宅を見てから契約ができないため、完成までのイメージがしにくいのがデメリットです。図面上で家の設計を決定していくのが一般的なため、本当にイメージ通りの家かを想像しながら進めなければいけません。
最近では、設計図を3Dで提案してくれたり、模型図を作ってもらえたりと、完成イメージを想像しやすいよう工夫してくれるパートナーも増えています。パートナーを探す際、その点も確認するとよいでしょう。
注文住宅は理想の物件を実現できる反面、自分で決めなければいけないことが多いため、何度も打ち合わせに参加しなくてはいけません。展示場を訪問したり、分厚いカタログや施工例を何通りも確認したりと、決定までに長い時間がかかります。
また、これから住み続ける物件に関係するので、一緒に住む家族も参加しなくてはいけません。そのため、家族の温度感によっては面倒に感じてしまい、対立するケースもよく見られます。逆に、家族のこだわりが強すぎて、次になかなか進まない場合もあるでしょう。
打ち合わせの回数や決定事項の多さから、時間と労力を必要とするため、あまり時間が取れない方にとっては、デメリットに感じる可能性があります。
戸建ての購入を考えている方のなかには、注文住宅だけではなく、分譲住宅も候補に入っている場合も少なくないでしょう。注文住宅と分譲住宅で迷ったら、それぞれの項目を比較するのがおすすめです。
注文住宅 | 分譲住宅 | |
購入にかかる費用 | 分譲住宅よりも費用がかかりやすい | 比較的安価で購入できる物件もある |
入居までの時間 | 完成まで1年以上かかるケースもある | 購入後はすぐに入居できる |
家の設計 | 自分好みの家を実現しやすい | もともと決まっている場合が多い |
物件選びの手間 | 決めることが多く長期化しやすい | 決まったデザインなので選びやすい |
物件の仕上がり | 完成までイメージがしにくい | 完成されたものを確認して購入できる |
どちらもそれぞれメリットがあるため、自分の生活はどちらの戸建てが向いているかチェックしてみてください。
注文住宅が向いている人の特徴は、自分の理想や要望に合った家を建てたい人です。
「趣味の部屋をつくりたい」「子どもが遊べるスペースをつくりたい」などの要望がある方は、間取りや設備が決まっている分譲住宅だと叶えられない可能性があります。その点、注文住宅は間取りや設備などを自由に設計できるため、理想の物件を建てやすいでしょう。
また、将来的に親との同居を考えている方や大家族で住みたいと考えている方も、リフォームやリノベーションに対応しやすい注文住宅が向いています。すでにライフプランが決まっている場合は、建てる時点で将来のリフォームに対応できるよう設計が可能なのもメリットです。
分譲住宅が向いている人の特徴は、手間や時間を節約したい人です。
分譲住宅は、建築済みの物件を購入するため、建築や設計にかかる手間や時間がかかりません。そのため、すぐに住み始めたい方や、忙しくて時間が取れない方に向いているでしょう。
また、分譲住宅は外装や内装のデザイン、設備などの選定がほとんど必要ありません。そのため、間取りやデザインにこだわりが少ない方や、建築やデザインに詳しくない方は分譲住宅が楽だと感じるケースも多いです。
注文住宅は決めることが多いので、分譲住宅よりも手間と時間がかかりますが、やはり自分好みの間取りやデザインの物件に住めるのは注文住宅の醍醐味です。
しかし、注文住宅が完成して、いよいよ新生活スタートのタイミングで「失敗した……」と後悔するケースも少なくありません。
では、ここからは注文住宅で失敗したケースを見ていきましょう。
1つ目の失敗は、仕上がりが想像と違うケースです。
仕上がりが想像と違ってしまう理由として、コミュニケーション不足やミスマッチが原因である場合が多いです。建築会社や設計士とのコミュニケーションが円滑でなかったり、要望や希望がうまく伝わっていないと、想像と異なる仕上がりになる恐れがあります。
失敗を防ぐためには、自分の要望をはっきりと伝え、理解しているかを確認しながら進めることが大切です。また、工事が始まったら進捗状況を確認して、気になる点や変更点があれば早めに伝えるようにしましょう。
2つ目の失敗は、動線が悪く住みにくいケースです。
間取りや配置が思ったより使い勝手が悪かったり、生活動線がスムーズでなかったりと、いざ住み始めたら不便に感じることも少なくありません。
動線が悪いと、家の中の移動距離が長く、家事負担を強いられてしまいます。特に、洗濯動線が悪いと、重い洗濯物を運ぶのに時間がかかってしまい、ストレスにつながるので注意が必要です。例えば、1階に設置した洗濯機から2階のベランダに干すとなると、水を含んだ洗濯物を持って階段を上らなければいけません。
後悔しないためにも、住んだあとの生活をイメージしながら間取りを決めるようにしましょう。
3つ目の失敗は、収納スペースが少なかったケースです。
衣類や季節用品、書類などを整頓するスペースが十分に確保されていないと、部屋が乱雑になってしまい見栄えが悪くなる恐れがあります。物が散乱して、使いたいものがすぐに見つからなかったり、家族と収納スペースの取り合いになったりと、細かなストレスを感じる場合もあるでしょう。
戸建ての収納スペースの割合は、13%前後が平均といわれています。今後、物が増えていくことを考えると、収納スペースは多いと感じるくらいでちょうどよいでしょう。
この記事では、注文住宅のメリット・デメリットを紹介しました。
注文住宅の最大のメリットは、自分好みの間取りやデザインを決められるので、理想の物件を実現できる点です。一方で、決めることが多いため、時間と手間がかかることを覚えておく必要があります。
注文住宅のメリット・デメリットを比較して、自分好みの物件を実現しましょう。
弊社では住宅購入前後に特化してお金の相談を承っております。注文住宅の費用に悩んでいる方や、注文住宅と分譲住宅の費用を比較したい方はお気軽にお問い合わせください。