「住宅購入で値引き交渉ができるらしいけれど、注文住宅でもできるのかな? 」
注文住宅は高額な買い物のため、少しでも値引きしたいと考えている方は少なくないでしょう。結論から言うと、注文住宅でも値引き交渉は可能です。しかし、ほかの物件と比較して交渉が難しいため、慎重に進めなくてはいけません。
この記事では、注文住宅の値引き交渉のタイミングと方法を解説します。交渉のポイントを押さえて有利に進めましょう。
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高額になりやすい注文住宅でも値引き交渉は可能です。しかし、値引きが難しい傾向があるので必ずしも成功するとは限りません。
なぜなら、注文住宅は注文を受けてから住宅を建てるため、商品がすでに存在しているものではないからです。建売住宅やマンションのように「売らないと利益が回収できない」「早く売らないと資産価値が下がる」などの懸念がないため、値引きをしてまで売る必要がありません。
また、注文住宅はできるだけ購入者の予算に合わせたプランを立てることが一般的です。そのため、値引きできない可能性があると踏まえた上で交渉を進めましょう。
建築会社によっては値引きをしていないケースも多いです。最初から利益が少ない価格設定をしている建築会社は、値下げをすると利益がなくなってしまうため、値引き交渉ができません。
値引き交渉ができる建築会社かどうかは、ホームページや口コミサイトに記載があるため、必ず確認しましょう。値引き交渉ができないにもかかわらず、しつこく持ちかけると担当者との関係が悪くなるおそれがあります。
どうしても値引き交渉をしたい場合は、交渉を受け付けている建築会社をチェックしましょう。
「実際のところ、どれくらい値引きできるのだろう? 」と疑問に感じる方も多いでしょう。結論から言うと、注文住宅の値引きは、3〜8%程度が相場です。
5,000万円の注文住宅であれば、150万円〜400万円程度と考えてよいでしょう。ただし、依頼する建築会社によっても値引き幅が異なるため、注意が必要です。
具体的に、工務店の場合は値引き率が低い傾向にあります。なぜなら、工務店はもともと価格が安く設定されているため、値引きを受け付けていない場合が多いからです。値引きができたとしても端数をサービスで引いてもらえる程度と考えておきましょう。
一方で、ハウスメーカーは値引き率が高い傾向にあります。ハウスメーカーは、見積もりに広告宣伝費などの費用が含まれているため、値引きしても利益が残りやすいからです。ただし、建材や設備のグレードを下げて値引き対応するケースもあるため、値引き率にこだわりすぎないようにしましょう。
注文住宅の値引き交渉を成功させるためには、タイミングが重要です。極端な例ですが、建築会社に問い合わせた段階で値引き交渉を持ちかけても、値引きする前提の見積もりを出されてしまうため、無駄になってしまいます。
ここからは、注文住宅の値引き交渉をするおすすめのタイミングを3つ紹介します。
1つ目は、契約直前のタイミングです。
注文住宅は、どのような家を建てたいのかプランを決めて、見積もりを提示してもらった上で、建築会社と契約をします。実際に建築会社に相談してから契約するまでに数カ月かかるケースも少なくないでしょう。
担当者からすると、契約を見送られると数カ月かけて担当してきた時間が水の泡となってしまうため、できるだけ契約してもらえるように積極的に動いてくれます。そのため、契約直前は値引き交渉を持ちかけやすいタイミングでしょう。
2つ目は、注文住宅が売れにくい閑散期のタイミングです。
住宅は売れにくい時期が存在するため、このタイミングを狙って値引き交渉をする方法も有効でしょう。令和4年の国土交通省のデータ結果によると、1月が閑散期であるとわかりました。
月 | 住宅着工戸数 |
1月 | 1万8,130件 |
2月 | 1万9,258件 |
3月 | 2万246件 |
4月 | 2万1,040件 |
5月 | 2万1,314件 |
6月 | 2万3,196件 |
7月 | 2万2,430件 |
8月 | 2万2,302件 |
9月 | 2万2,258件 |
10月 | 2万1,834件 |
11月 | 2万1,511件 |
12月 | 1万9,768件 |
国土交通省「新設住宅着工戸数の推移(月別・利用関係別)」より引用
この時期は、購入者が少ないことから、担当者は契約してもらうため、値引きに応じる傾向があります。住宅購入の時期にこだわりがない方は、閑散期を狙うことをおすすめします。
3つ目は、決算時期のタイミングです。
決算時期は、もっとも営業ノルマが課せられる時期のため、1件でも多く契約を獲得したいと考えている建築会社が多いです。そのため、交渉次第で大きく値引きしてもらえるチャンスとなります。
建築会社のなかには、ホームページやパンフレットで決算時期をアピールしていたり、オプションをサービスしたりする場合があります。そのため、普段よりも値引き交渉を持ちかけやすい時期です。
ただし、値引きしてもらえたからと焦って契約をすると失敗につながります。決算時期以外でも値引きしてもらえる可能性はあるため、納得いくまでじっくりと検討しましょう。
注文住宅の値引き交渉のタイミングを解説しましたが、いざ交渉をしようと思っても、どうやってすべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
ここからは、注文住宅の値引き交渉のやり方を3パターン紹介します。それぞれ、自分に当てはまるケースに合わせて交渉をしてみましょう。
1つ目は、他社と比較して交渉する方法です。
注文住宅を建てるとき、複数の建築会社を比較して決めるケースがほとんどでしょう。その場合は、「他社と迷っていて契約を決めかねている」と伝えることで値引き交渉をしましょう。
もし、他社と比較して金額がやや高めであった場合、他社の金額に合わせて値引きに応じてくれる可能性があります。他社の見積もりを見せて交渉すると、より具体的な数字がわかるため有利になるでしょう。
ただし、他社と比較して上のランクの材質や設備を採用している場合もあるため、金額以外の内容も含めた上で判断するよう注意が必要です。
2つ目は、予算がネックだと伝えて交渉する方法です。
予算オーバーのため、値引き交渉ができないか相談することも方法として考えられるでしょう。注文住宅はできるだけ予算に合わせてプランを立ててくれますが、材質や設備の関係で予算をオーバーしてしまうケースも少なくありません。
多少予算オーバーした場合は、予算内まで値引きできないか交渉してみましょう。ただし、値引きできる可能性があるのは値引き相場内の範囲です。値引き相場を大幅に超えてしまった場合は、プランの見直しをする必要があります。
3つ目は、値引きを契約の決め手にして交渉する方法です。
ただし、契約を確約することを条件に値引き交渉をするため、住んでも後悔しない物件の場合に使いましょう。値下げしてもまだ迷ってしまうような物件の場合、契約を見送ったときに担当者との関係が悪くなるため、別の方法を使うのがベターです。
また、値引き交渉の際は、具体的にいくら値引きをしたら契約するのかを伝えましょう。例えば、他社の見積もりと比較して100万円高い場合は、100万円の値引き交渉をするなど、金額を明確化すると成功しやすいです。
注文住宅は、理想の家を実現したい思いから予算がオーバーしやすいというデメリットがあります。そのため、なんとか予算内に収めようと値下げ交渉に躍起になってしまい、失敗してしまうリスクも考えられるでしょう。
ここからは、注文住宅の値引き交渉をするときの3つの注意点を紹介します。
1つ目は、無理な値引き交渉をしないように注意しましょう。
値引きは、あくまで建築会社の厚意です。担当者も人間なので、しつこく値引き交渉をされると嫌な気持ちになるでしょう。契約を前向きに考えていても、担当者との関係が悪化し、途中で契約を断られるリスクも考えられます。
契約の有無に限らず、最後まで気持ちのよいやり取りをするためにも、値引きを断られたら引き下がるのがベストです。
2つ目は、契約を急がないように注意しましょう。
担当者から「この時期のみの値下げです」「期日内に契約をしないと値上がりします」など、契約を焦らせるような発言があっても、別の建築会社に心残りがあるまま契約をすることは危険です。
うまい言葉に乗せられて契約したものの、別の建築会社のデザインや設備が魅力的で忘れられずに後悔しているケースは少なくありません。注文住宅は、自分の理想の家を実現できる点が大きなメリットです。価格にこだわりすぎて、自分の気持ちが二の次になってしまうことは本末転倒でしょう。
3つ目は、値引き額だけで決めないように注意しましょう。
複数の建築会社が値引きしてくれた場合、値引き額で比較して契約することはやめた方がよいです。値引き額が高くても、他社よりも設備が劣っていたり、材質がグレードの低いものに下がっていたりする場合もあります。
安価な設備や材質の場合、メンテナンス費用や修繕費用が将来かかるリスクを踏まえて慎重に判断しましょう。値引き額はあくまで参考にして、快適な住まいを提供してくれる建築会社を選ぶことがおすすめです。
注文住宅は、予算に合わせてプランを立てていくため、値引きができないケースも少なくありません。値引き交渉に失敗した場合は、別の方法で価格を下げる方法を考えましょう。
では、値引きができない場合に検討すべき方法を紹介します。
値引きをしないと予算が厳しい場合は、そもそも注文住宅の予算が合っていない可能性があります。物件の購入価格の目安は、年収の3〜7倍です。一度、年収に対しての予算が合っているかを見直しましょう。
住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、2022年度の土地付き注文住宅の平均価格は4,694万円でした。平均価格の注文住宅を購入する場合は、最低でも年収600万円以上が必要になるでしょう。
年収が低い場合でも、住宅ローンを40年に設定したり、夫婦や親子でペアローンを組んだりなど、購入する方法はあります。しかし、無理がある返済プランはリスクが高いため、おすすめできません。
住宅ローンを最後まで払い続けられる予算に再設定しましょう。
注文住宅のプランを決めるとき、すべてのポイントでこだわりを持ちすぎている場合があります。不要なオプションや必要以上の設備により、予算を圧迫していないかを確認しましょう。
どの部分が高額になっているのかがわからない場合は、担当者と一緒にプランを見直すことがおすすめです。予算内に収めたい場合は、設備や材質のグレードを下げたり、オプションを外したりと徐々に合計金額を下げていきましょう。
建築会社によっては、紹介制度やモニター制度を設けている場合があります。
紹介制度とは、注文住宅を建てた人が建築会社に別の人を紹介することで、紹介された人が割引やオプションなどのサービスを受けられる制度です。知人や親戚に同じ建築会社で建てた人がいれば、安く注文住宅を建てられる可能性があります。
モニター制度とは、完成した自分の家がモニターになることで割引を受けられる制度です。完成後は、住宅見学会で見本として公開されたりパンフレットやホームページなどに掲載されたりするため、条件を確認して家族の同意が得られたら検討してもよいでしょう。
予算を抑えたい場合は、セミオーダーを検討しましょう。セミオーダーとは、いくつかのパターンからプランを選ぶ方法です。
建売住宅のように、間取りや設備がすべて決まっているわけではなく、好きな間取りや設備などを選べるため、ある程度の自由度は確保されています。
ある程度は決めたいけれど、住宅のすべてにこだわりを持っているわけではない方は、セミオーダーも視野に入れて検討するとよいでしょう。
注文住宅の値引き交渉は可能ですが、必ずしも成功するとは限りません。成功しやすいタイミングや時期を見て、信頼関係を築いた上で慎重に進めましょう。
値引き交渉は、あくまで契約を後押しするきっかけです。値引きにこだわらずに、さまざまな視点から建築会社を比較しましょう。
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