自分好みの家を実現できる注文住宅。せっかく一戸建てを購入するならと、注文住宅を希望する方は多いです。しかし、注文住宅は自由度が高い反面、入居までの流れが複雑で長期化しやすいので注意しましょう。
この記事では、注文住宅の購入の流れを解説します。住宅ローンの申し込みや、支払いのタイミングも紹介するため、注文住宅の購入を考えている方は参考にしてください。
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注文住宅は、自分でデザインや間取りを自由に決められる点が大きなメリットです。しかし、決めることが多いため、建売住宅やマンションよりも入居までに時間がかかります。建売住宅とは、完成または完成予定の物件と土地をセットで購入できる住宅のことです。注文住宅と異なり、既にデザインや間取りが決まっています。
注文住宅の購入を決めてから、実際に入居するまでの期間は1年を目安に考えましょう。デザインや設備にこだわりがある場合は、1年半かかるケースも珍しくありません。
入居したいタイミングが決まっている場合は、なるべく早めに手続きを進めるのをおすすめします。
注文住宅の購入を決めてから入居までの流れは、以下の工程があります。
では、順番に注文住宅の購入の流れを見ていきましょう。
まずは、注文住宅の予算を決めましょう。
注文住宅は、建売住宅よりも費用が高額になる傾向があります。
「2022年度フラット35利用者調査」のデータ結果を見ても、注文住宅と建売住宅の費用に大きな差があることがわかるのではないでしょうか。
注文住宅の費用 | 建売住宅の費用 | |
首都圏 | 5,406万円 | 4,342万円 |
圏 | 4,893万円 | 3,713万円 |
東海圏 | 4,694万円 | 3,151万円 |
※1万円未満以下は切り捨て
※注文住宅は土地付き
住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」より筆者作成
満足のいく注文住宅を建てるには、この予算を目安に決めるのがおすすめです。もし、想定していた予算を上回ると感じたら、こだわりが少ない部分の予算をカットして費用を削りましょう。
おおよその予算を決めたら、住みたい家のイメージを決めましょう。建築会社に相談する前に、事前に同居人とイメージや希望条件を決めておくことでスムーズに進みます。
例えば、家の外観のデザインや広さ、部屋数や間取りなどが挙げられるでしょう。もし、将来的に親との同居を考えている場合は、あらかじめバリアフリーにするなどといった設計も考えなくてはいけません。
現時点で具体的なイメージが決められない場合は、建築会社のホームページやインターネット検索での建築実例、施工実績などを見て、好みのデザインをピックアップするとよいでしょう。
土地を購入して家を建てる場合は、住みたい地域の土地を探しましょう。
売り出している土地の情報は、不動産情報サイトに載っているので、予算や希望する立地に合う場所を探していきます。自分で選ぶのが難しいと感じる方は、不動産会社に相談して一緒に探してもらうのもおすすめです。
ただし、土地を購入するには、地盤の調査をするための地盤調査費用がかかります。もし、調査で改良が必要だと判断された場合は、地盤改良工事費用として50〜100万円程度のお金を用意しておかなくてはいけません。予算に余裕がない場合は、土地に充てられる費用も同時に決めておく必要があるでしょう。
家を建てる土地が決まったら、依頼する建築会社を決めましょう。建築会社は「ハウスメーカー」「工務店」「設計事務所」の3種類があり、それぞれ特徴があります。
建築会社の種類 | 特徴 |
ハウスメーカー | ・自由度が低いが安定した品質の家を建ててくれる ・充実した保証やアフターサービスが受けられる ・コストがやや高めである |
工務店 | ・低コストで自由にデザインを決められる ・職人によっては仕上がりに不満が出る可能性もある ・保証やアフターサービスが不十分である |
設計事務所 | ・デザイン性が高く個性的な家を実現できる ・設計監理料がかかる ・センスが問われるので相性のよい設計士を探す必要がある |
予算や施工実績、実際に依頼した人の口コミなどをチェックして、自分に合った建築会社を何件かピックアップしましょう。モデルハウスに見学に行ったり、実際の工事現場を見学したりと、安心して依頼できそうかを確認してから決めるのがおすすめです。
依頼したい建築会社の候補が決まったら、デザインや間取りの相談をしましょう。建築会社によって、アイデアや実績が異なるため、相性のよい建築会社が見つかるまで何件か見て回るのがおすすめです。
ここで、住みたい家のイメージを決めておかないと、自分の要望がうまく伝えられずに時間がかかってしまう可能性があります。せっかく注文住宅で家を建てたのに「建売住宅と変わらない」と後悔しないためにも、自分の理想とする家をしっかりと伝えておきましょう。
相談した建築会社に見積もりを依頼して、おおよその費用を確認しましょう。見積書は、工事費用やプラン、諸経費などが記載されています。建築会社によって、費用や保証制度、アフターサービスが異なるので、見落としがないように比較しましょう。
ただし注意点として、必ずしも見積書に記載されている費用通りにはなりません。今後の建築プランの打ち合わせで、デザインや間取りの変更があった場合は費用がかさむ可能性があります。
また、地盤改良工事の必要がある場合は、工事費用を追加で支払わなくてはいけません。場合によっては、当初よりも高額になることを覚えておきましょう。
実際に工事を依頼する建築会社を決めたら、工事請負契約を締結します。工事請負契約とは、家などの建築物を建てるときに、依頼人が建築会社と工事や建築の請負契約を結ぶことです。
この契約は本契約と呼ばれ、正式な契約になります。もし、本契約後にキャンセルする場合は手付金などが発生するので、本当にこの建築会社でよいのか慎重に判断しましょう。
工事請負契約を締結したあとは、建築プランの打ち合わせをします。この打ち合わせは、家のデザインや間取りを決めるための最終確認です。ここで決まった設計をもとに建築をしていくので、丁寧に進めましょう。
また、この時点で住宅ローン本審査に通過している必要があります。工事請負契約を締結したタイミングで、住宅ローンの審査を終わらせておきましょう。
同時に、建築を予定している家が法令に抵触しないか、市区町村や民間評価機関に「建築確認申請」を提出します。建築確認申請とは、建築基準法などに適合しているかを確認する申請のことで、建築許可を得るために必要です。
建築許可を得たら、工事が開始されます。工事をする際は、騒音が発生するため、事前に近隣住宅へあいさつをするのが一般的です。もし、あいさつに行くのが難しい場合は、建築会社の現場監督などに依頼するとよいでしょう。入居後に近隣住民と円満な関係を築くためにも、おろそかにするのはおすすめしません。
また、実際に建築している現場の確認ができるので、こまめに様子を見に行きましょう。実際に自分の目で不具合がないかチェックできるので、より安心できます。徐々に家が完成していく様子は、見ていて気分が高まるでしょう。
家が完成したら、いよいよ入居までの最終手続きです。完成された家が建築確認申請の内容通りに建てられているかを確認し、問題なければ検査済証が発行されます。
家の引き渡し前に、完成された家をチェックできるので、もし傷や汚れがあったり、扉や窓の建てつけが悪かったりと、気になる箇所があれば直してもらいましょう。引き渡し後に依頼すると追加の費用が発生する可能性があるので、問題がないか丁寧にチェックしなければいけません。
引き渡し日に、鍵や保証書などの重要書類を受け取ると入居が可能になります。念願のマイホームでの生活がスタートです。
マイホームの購入にあたって、住宅ローンを利用するケースがほとんどです。住宅ローンを利用する場合は、仮審査と本審査の2回、申し込みをする必要があります。
では、住宅ローンを申し込む際のタイミングを見ていきましょう。
建築会社に見積もりを依頼したタイミングで、住宅ローンの仮審査に申し込んでおきましょう。仮審査とは、住宅ローンがどの程度借り入れできるのかを簡易的に審査するものです。
年収や職場、借入希望額などから審査をして、問題なければ仮審査の通過となります。
仮審査に通過したら、工事請負契約を締結したタイミングで住宅ローンの本審査の申し込みをしましょう。本審査は、正式な借入の申し込みになるので、慎重に進める必要があります。
仮審査を通過していれば、本審査も通過する可能性が高いですが、虚偽の申告内容が発覚した場合や収入の状況に変化があった場合は審査落ちする場合もあるので注意しましょう。
注文住宅の購入を決めてから入居するまでに、何回か建築会社に支払いをする必要があります。工事請負契約時や着工時のタイミングで支払うケースが多いです。
ここからは、入居までにどのような支払いがあるのか見ていきましょう。
注文住宅の場合、入居までに3~4回に分けての支払いが一般的です。支払い条件や費用は建築会社によって異なりますが、大体は下記の費用が目安となります。
工事請負契約の締結のタイミング | 工事費用の約5~10% |
着工のタイミング | 工事費用の約30% |
着工から竣工までのタイミング | 工事費用の約30%〜40% |
引き渡しのタイミング | 工事費用の30% |
建築会社によっては見積もり依頼のタイミングで、仮契約としてお金が発生する可能性があります。本契約を急かそうとする建築会社もありますが、焦って決めないようにしましょう。
また、建築会社への支払い以外にも、住宅ローンを組むときに諸費用がかかります。諸費用とは、印紙代や保険料、家の所有者を記録するための所有権保存登記など物件の工事以外にかかる費用です。諸費用は物件価格の3%〜9%が相場になるので、この費用も含めて予算を立てるとよいでしょう。
注文住宅は、入居までに高額なお金がかかります。もし途中で支払いが難しくなった場合は、つなぎ融資を利用しましょう。つなぎ融資とは、住宅ローンの融資が始まるまでの短期間に利用するローンのことです。手元のお金での支払いが厳しい場合に有効な方法で、つなぎ融資の審査に通ると、土地購入代金や着工金、中間金などの支払いに使えます。
住宅ローンの融資が始まると、つなぎ融資を完済して、住宅ローンの返済に移ります。ただし、つなぎ融資は住宅ローンと比較して金利が高めに設定されており、融資期間に応じて日割りで利息がかかるので注意が必要です。
注文住宅は、購入を決めてから入居までの手続きが多く、長期化しやすいです。そのため、流れを把握していないとやるべきことが把握できず、スムーズに手続きができなくなる可能性があります。
注文住宅は、理想のマイホームを実現できるのが大きなメリットです。しかし、その分費用が高額になるので、不安が大きい方も少なくありません。
弊社では住宅購入前後に特化してお金の相談を承っております。「適切な予算を知りたい」「住宅ローンの返済が不安だ」など、お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。