「マイホームが欲しいけれど、家計が厳しくならないか心配……」
近年の物価高や光熱費の高騰などの影響もあり、お金の支払いに対してネガティブな声も少なくありません。これから一戸建ての購入を考えている方は、毎月かかるお金が心配になるのではないでしょうか。
この記事では、一戸建てで毎月どれくらいお金がかかるのかを解説します。あらかじめ、毎月の費用を知っておくことで、生活プランが立てやすくなるので、ぜひ参考にしてくださいね。
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一戸建てに住む場合、毎月必ずかかるお金は「住宅ローンの返済」と「水道・光熱費」の2つです。特に、住宅ローンの返済は高額になる傾向があり、賃貸物件で支払っていた家賃よりかさむ可能性もあるでしょう。
では、それぞれどれくらいのお金がかかるのかを解説します。
一戸建てに限らず、家を購入する際は住宅ローンを借入するのが一般的です。住宅ローンは35年程度を目安に完済を目指すため、長い道のりになるでしょう。
住宅ローンは毎月返済する必要があるため、確実に支払える金額を設定しなくてはいけません。返済不能に陥った場合は、購入した一戸建てが差し押さえられてしまいます。そのため、毎月の返済額は、確実に返済するうえで、非常に重要なポイントです。
では、国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」の結果をもとに、住宅ローンを組んでいる方の平均返済額を見ていきましょう。
物件の種類 | 毎月の返済額 | 年間返済額 |
注文住宅(土地付き) | 14.5万円 | 174万円 |
分譲戸建住宅 | 10.55万円 | 126.6万円 |
中古戸建住宅 | 8.89万円 | 106.7万円 |
引用:国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査法報告書」
住んでいる地域や土地の広さによっても異なりますが、毎月の返済額が現実的かどうか確認してみてください。もし、返済が厳しいと感じた場合は、物件の種類を変更するか一戸建ての購入予算を減らす必要があります。
賃貸物件と同じく、一戸建ても水道・光熱費がかかります。
総務省の「家計調査報告」の調査では、2023年の水道・光熱費の平均支出は下記の結果でした。
電気代 | 1万2,265円 |
ガス代 | 5,209円 |
そのほかの光熱 | 1,275円 |
水道代 | 5,106円 |
合計金額 | 2万3,855円 |
引用:総務省「家計調査報告」
※二人以上の世帯の支出
家族が多い場合や在宅勤務をしている場合は、さらに高額になる可能性もあります。水道・光熱費は支払いの優先度が高い項目です。水道・光熱費を考えた上で、住宅ローンの返済プランを立てましょう。
一戸建ての場合、毎月必ずかかるお金は「住宅ローンの返済」と「水道・光熱費」の2つだけなので、非常にシンプルです。しかし、毎月の支払いはなくとも、1年を通すと税金や保険料など高額な出費がかかります。
毎月、住宅ローンと水道・光熱費の支払いに精一杯でお金を積み立てられない状況が続くと、いざ支払いが必要になったときに困ってしまうでしょう。
特に、税金は納税の義務があるため、支払いができないと差押えになってしまいます。必ず支払いできるよう、毎月お金を積み立てておきましょう。
税金は「固定資産税」と「都市計画税」の2種類があり、それぞれ年に1回支払う必要があります。1回で支払うのが厳しい場合は、4回に分割して支払うこともできるので、必ず滞納しないようにしましょう。
固定資産税と都市計画税の金額を求める計算式は下記の通りです。
固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%
都市計画税額=固定資産税評価額×0.3%
新築戸建ての固定資産税は、毎年10~15万円程度なので覚えておきましょう。都市計画税がない地域もあるので、お住まいの地域が対象か確認しておくとよいです。
保険料とは、火災保険や地震保険などの保険に支払うお金です。火災保険は加入を義務付けられている場合が多く、必ずかかるお金といってよいでしょう。
火災保険にかかるお金は、1年で2万円〜3万円が目安です。地震保険がセットになっている保険だと、1年で7万円〜8万円と高額になります。地震保険や水害補償の付帯(加入)は任意になるため、お住まいの地域のリスクと毎月の固定費を考えた上で加入を検討する必要があるでしょう。
一戸建ての保険料は、一般的にマンションよりも高額になる可能性が高いです。特に、床面積が広い物件や被害に遭いやすいエリアの建物は、災害が発生したときの被害が大きくなりやすいので保険料が高額になります。
保険料は、複数年で契約をして長期一括契約をすれば安くなるので、手持ちに余裕がある場合はおすすめです。一括で支払えない場合は、毎年支払いが必要になるので覚えておきましょう。
修繕費とは、外壁や屋根などの外装部、トイレやお風呂などの設備を修繕するための費用のことです。築年数が経つごとに修繕箇所が増えるので、一戸建てに住む多くの方にとって最大の出費になるでしょう。
修繕費は、修繕箇所によっても異なりますが、1回の修繕で50万円〜100万円かかります。また、修繕だけではなく耐震補強工事やエコリフォームをする場合は、さらに費用がかかるので覚えておきましょう。
自治会費とは、居住地域の自治会に支払う年会費のことです。町会費と呼ばれることもあります。自治会への加入は任意ですが、長年住み続ける地域のため加入するのが一般的です。
自治会費の相場は地域によっても異なりますが、年間5,000円程度が相場です。しかし、なかには2万円以上かかる自治会もあり、年間といえど手痛い出費になる場合があるでしょう。
自治会費が高額な地域にお住まいの場合は、日頃からお金を積み立てておくのをおすすめします。
一戸建ては、毎月かかるお金は少ないものの、年間で考えると高額になります。そのため、毎月お金を積み立てておくのがおすすめです。
では、毎月どれくらいお金を積み立てておくべきなのか見ていきましょう。
戸建てにかかる費用 | 1年間に支払う費用 | 1カ月に積み立てたい費用 | 30年間住んだ場合の費用 |
税金 | 15~20万円 | 2万円 | 240万円程度 |
火災保険料 | 2万円〜3万円 | 2,500円 | 60万円程度 |
修繕費 | – | 1.5万円 | 486万円程度 |
修繕費用は、アットホーム株式会社による「『一戸建て修繕』の実態調査 2023」の結果をもとに算出したものです。合計すると、毎月3万7,500円積み立てておくとよいでしょう。
しかし、この調査によると、修繕費を貯金から支払った方が69.1%と多くの方が貯金を使っており、実際に毎月修繕費を積み立てている方は8.9%と少ない結果でした。しかし、いざというときに貯金を崩さぬよう、高額な費用が発生する事態に備えてお金を積み立てておきましょう。
税金や修繕費などは、一戸建てに住む以上は避けられない出費です。しかし、住宅ローン以外の費用は毎月の出費を抑えられる可能性があります。費用を抑えることで、修繕費などの積み立てに充てられるでしょう。
ここからは、毎月かかるお金を抑えるためのポイントを紹介します。
屋根や外壁、フローリングや壁紙など劣化しやすい箇所は耐久性の高い素材を使用しましょう。例えば、屋根や外壁に陶器瓦やタイルを使用すると耐候性が高くなり、メンテナンス費用を抑えることができます。
また、フローリングや水回りにコーティング素材を使用すると、水垢やカビを防いでくれるので設備の劣化を遅らせることもできるでしょう。初期費用はかかってしまいますが、長く住み続けてもきれいな状態を保ちやすいので、修繕費の節約になります。
光熱費が気になる場合は、省エネ対策ができる設備を取り入れるのがおすすめです。断熱や気密性に優れた設備を取り入れることで冷暖房を効率的に使用できるので、光熱費を抑えられます。
経済的に余裕がある場合は、屋根に太陽光発電を設置するのもおすすめです。最近では、2024年7月から電気代の値上げが発表されましたが、今後も電気代やガス代の高騰が予想されます。今後の支払いのためにも、省エネ対策を始めてみましょう。
自分でできる範囲で、こまめにメンテナンスをすることも大切です。キッチンや浴室などの清掃、屋根や外壁などの確認など、定期的にメンテナンスをすると小さな異変に気づきやすくなります。初期の不具合であれば、少額で修理してもらえる場合が多いので、結果的に修繕費の節約になるでしょう。
特に異変がないとメンテナンスをサボってしまいがちですが、築年数がある程度経ってきたら、こまめにメンテナンスをするのがおすすめです。
固定資産税は、軽減措置を利用すると支払い負担を減らせます。特に、新築の一戸建てを購入する場合は、固定資産税の軽減措置が適用となるケースがほとんどのため、ぜひ利用しましょう。
一戸建ての固定資産税の減税が適用されるためには、次の2つを満たしていることが条件です。
・居住部分の床面積が2分の1以上の住宅であること
・床面積が50m2以上280m2以下であること
この条件を満たしていれば、固定資産税が2分の1に減額されます。減額期間は3年間と長いので、申請して損はないでしょう。
固定資産税の軽減措置の手続きは、令和6年4月1日から令和8年3月31日までの2年間に期限が延長されたので、この期間に一戸建てを購入する方は確認しておくのがおすすめです。詳しくは、国土交通省の公式ホームページをご確認ください。
保険料は、保険会社によって金額が異なります。補償内容やエリアなどの条件が同じでも、保険料が変わるので支払いが負担になっている場合は保険料の見直しをするとよいでしょう。特に、ネット系損害保険会社は人件費をカットしている分、大手損害保険会社よりも費用を抑えられる傾向があります。
また、地震保険や水害補償など任意の保険に加入している場合は、ハザードマップで被災範囲に入っていないのであれば外すのも有効です。
結論からいうと、一戸建ての方が毎月かかるお金が安く済みます。それは、マンションは「管理費」と「修繕積立費」が毎月かかるためです。
管理費は、共用部分の清掃や自動ドア、エレベーターなどのメンテナンスに使われる費用です。共用部分を気持ちよく使用できるよう、管理費を使ってメンテナンスがおこなわれます。
修繕積立費は、マンションの修繕に使われる費用です。マンションの経年劣化による、共用部分の外壁の修理や耐震工事などの大規模な修繕をするために積み立てておく費用になります。
マンションは、一戸建てにかかる費用以外にも、管理費や修繕積立費、お住まいの立地によっては駐車場代がかかります。そのため、毎月かかるお金を抑えたいなら、一戸建てがおすすめです。
一戸建ては、毎月かかる費用は少ないですが、修繕費や保険料など一度にかかる費用が高額になります。そのため、日頃から計画的にお金を積み立てておくことがおすすめです。
住宅ローンの返済に追われていて、税金や修繕費の支払いが厳しくなるケースは珍しくありません。毎月余裕を持つためにも、一戸建てを購入する前に返済プランを立てておきましょう。
弊社では、住宅購入前後に特化してお金の相談を承っております。「毎月の返済プランを立てたい」「一戸建ての購入予算が決められない」など、お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。