マイホームを購入するにあたって、住宅ローンの選び方がわからない方もいることでしょう。
選び方の基準は複数あるため、総合的に判断して住宅ローンを選ぶことをおすすめします。
ただし、住宅ローン選びは単純に金利が低い商品を選べばいいわけではないため、知識のない状態で選ぶことは難しいかもしれません。そのため、適切な相談先から意見を聞くことも重要です。
この記事では、住宅ローンの選び方を紹介し、選び方で気をつけるべきこと、相談内容に応じた適切な相談先を紹介します。
記事を読むことで、住宅ローンの選び方の基準を理解し、適切に選ぶための相談先がわかるようになるでしょう。
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住宅ローンの選び方の基準となるポイントは以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
金融機関が提供する住宅ローンには、種類があります。住宅ローンの主な種類は、以下のとおりです。
住宅ローン | 内容 |
民間ローン | 銀行、信用金庫など、各金融機関が提供している |
公的ローン | 自治体や公的機関が提供する融資制度(財形住宅融資など) |
フラット35 | 住宅金融支援機構と民間金融機関が提供する全期間固定金利型のローン |
都市銀行、地方銀行、ネット銀行、信用金庫などの民間金融機関が提供している住宅ローンは、民間ローンに分類されます。
自治体など公的機関が融資する制度が公的ローンであり、具体的には財形貯蓄制度のある企業で利用できる財形住宅融資制度が挙げられます。
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利型の住宅ローンがフラット35です。民間金融機関を借り入れの窓口にして、手続きができます。
公的ローン・フラット35を利用する場合を除いて、次で紹介する借入先となる銀行・金融機関選びが必要になるでしょう。
借入先となる銀行・金融機関を選びましょう。住宅ローンの借り入れができる金融機関は、以下のとおりです。
金融機関 | 内容 |
都市銀行 | 全国規模で展開しており、資金力が高く、サービスが充実している |
地方銀行 | 地域密着型で、個人の事情にも柔軟な対応が期待できる |
ネット銀行 | インターネット上でサービスを提供、手続きがオンラインで完結する |
信用金庫 | 地域の中小企業・住民を対象とした協同組織の金融機関 |
金融機関によって提供する住宅ローンやサービスに違いがあります。例えば、都市銀行は全国規模で展開していることから、多くの店舗で相談が可能です。
地方銀行・信用金庫は、大手の都市銀行やネット銀行と比較すると、金利などの条件が悪い場合もありますが、地域と個人に密着したサービスを受けられる安心感が魅力です。
ネット銀行は、基本的に対面でサービスを受けられません。しかし、他の金融機関と比較して金利が低い傾向にあり、手続きもオンライン上で完結させられるため、利便性があります。
ご自身が普段から利用している金融機関を選ぶ方法もいいでしょう。金融機関の特徴をもとに、適切な借入先を選びます。
住宅ローンには複数の金利タイプがあるため、それぞれの特徴を理解して選ぶことが重要です。住宅ローンの金利タイプの種類は、以下のとおりです。
金利タイプ | 内容 |
変動金利 | 市場金利に連動して金利が定期的に見直される |
固定金利 | 契約時の金利が完済まで変わらない |
固定金利期間選択 | 最初の一定期間は固定金利であり、その後は金利タイプを選択できる |
住宅ローンの金利タイプは大きく分けて、変動金利と固定金利の2種類があります。金融機関によっては、固定金利期間選択型の金利タイプを提供している場合があります。
変動金利は固定金利と比較すると初期金利が低いため、選ばれやすい傾向にあります。
しかし、変動金利は市場金利に連動して金利が定期的に見直される性質から、将来の金利上昇リスクがあることを理解しておきましょう。固定金利は、金利上昇のリスクに備えられる金利タイプです。
そのため、どちらの金利タイプを選ぶべきかは、一概に判断できません。金利上昇リスク、返済計画に合わせて適切なタイプを選ぶことが重要です。
フラット35は加入を義務付けていませんが、団体信用生命保険(団信)は多くの民間ローンの契約時に必須になります。
団信は、借入者が死亡または高度障害になった場合に、ローン残債を保険金で完済できる仕組みです。近年では、死亡・高度障害以外の保障が適用される団信も増えています。
基本の保障に加えて、以下の特約がついているかを確認しましょう。
団信の特約 | 内容 |
がん保障 | がん(上皮内がんなど一部を除く場合あり) |
三大疾病特約 | がん、 急性心筋梗塞、脳卒中 |
八大疾病特約 | がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎 |
特約がついている場合は基本の保障に加えて、上記の状態に陥った場合もローン残債が完済されます。
一方で、どのような状態の場合に保険金が支払われないのか、免責事項も必ず把握するようにしてください。
また、保障が充実するほど保険料が金利に上乗せされるため、実質的な支出は増加します。各金融機関で団信の内容が異なるため、比較検討して、自分に合った保障内容を選択しましょう。
住宅ローンを組む際には、諸費用と呼ばれる手数料が発生します。金融機関によって各諸費用・手数料が異なる場合もあるため、内容を把握しておきましょう。
住宅ローンにかかる主な諸費用を、以下にまとめました。
諸費用 | 内容 |
融資手数料 | 金融機関が融資をおこなう際に徴収する手数料 |
ローン保証料 | ローン残高を保証する保証会社に支払う費用 |
印紙税 | ローン契約書に貼付する収入印紙代 |
登録免許税 | 抵当権設定登記時に課される税金 |
司法書士報酬 | 登記手続きを代行する司法書士への報酬 |
物件調査手数料 | 物件の評価や調査をおこなう際に発生する費用 |
保証料・印紙税など、諸費用のなかにも契約する金融機関と契約方法によってはかからない手数料もあります。
諸費用は物件価格の6%~10%程度かかることが一般的です。住宅ローンでは、諸費用・手数料も比較しておくといいでしょう。
金融機関は借入可能額を、借入者の年収と勤続年数、勤務形態、返済負担率などから算出します。正確な借入可能額は、実際に審査を受けなければわかりません。
各金融機関では、年収・希望する借入期間から借入可能額を算出するシミュレーションを提供しています。シミュレーションを利用すれば、借入可能額の目安を把握できます。
ただし、借入可能額と返済可能額はイコールではないため、借入可能額の上限を参考に住宅ローンを組むことは危険です。
最終的には「いくら借りられる」ではなく、「無理なく返済できる」を重視して、返済計画を立てるようにしましょう。
住宅ローンには主に2つの返済方法があります。
返済方法 | 内容 |
元利均等返済 | 毎月の返済額が一定となる返済方法 |
元金均等返済 | 毎月のローン元金の返済額が一定となる返済方法 |
元利均等返済は、完済まで毎月の返済額が一定になります。しかし、元金均等返済はローンの元金を基準に返済額を一定にするため、残高に応じた利息によって毎月の返済額が変動します。
そのため、毎月の返済額が一定となる元利均等返済のほうが、返済計画を立てやすいでしょう。
また、返済期間は長いほど毎月の返済負担が軽くなりますが、総返済額は増えます。返済期間を長く設定するほど完済時年齢が上昇しやすく、完済は収入が減少する定年後になるリスクもあります。
将来の収入見込みや生活費、老後資金などを考慮して、無理のない返済期間を選ぶことが重要です。
将来的に繰り上げ返済をおこなうことを想定している場合は、金融機関ごとに設定されている繰り上げ返済の条件を確認しましょう。
繰り上げ返済は、毎月の返済額とは別にまとまった資金を返済することで、支払う利息を大幅に軽減させる効果を期待できます。
繰り上げ返済にも種類があり、それぞれ異なる効果を持っています。
種類 | 内容 |
返済期間短縮型 | 毎月の返済額はそのままに、返済期間を短縮する |
返済額軽減型 | 返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす |
返済期間短縮型のほうが利息軽減の効果が高いことから、人気のある繰り上げ返済の方法です。
繰り上げ返済では手数料が発生しますが、金融機関によっては無料の場合もあります。繰り上げ返済ができる最低返済額も、金融機関によって異なるため確認しましょう。
将来的に余裕資金ができた場合、繰り上げ返済は総返済額の減少や返済期間の短縮に効果を発揮します。住宅ローンの契約前に調べるようにしましょう。
住宅ローンの選び方の基準となるポイントを8つ紹介しました。ここからは、住宅ローンを実際に選ぶうえでの注意点を解説していきます。
住宅ローンの選び方で気をつけるべきことを3つまとめました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
住宅ローンの選択において、金利は非常に重要な要素です。しかし、金利の数値が低いという理由だけでローンを決定するにはリスクがあります。
住宅ローンが低金利であっても、契約に伴う諸費用や手数料が高い場合、結果的に他の金融機関と比較して総返済額が増加してしまうことも考えられるでしょう。
金利タイプの選択では、金利の低い変動金利を選択した結果、将来的な金利上昇により、返済額が大きく増加してしまう可能性もあります。
そのため、金利を重視するのではなく、ローン契約全体で想定されるコストをシミュレーションすることが重要です。
シミュレーションをしたうえで、総合的にパフォーマンスのいい住宅ローンが優れているといえるでしょう。
各金融機関が提供する住宅ローンは、審査基準、金利、諸費用、サービス内容が大きく異なります。そのため、一社だけに絞らず、複数の金融機関を比較検討することが重要です。
比較する金融機関を増やすほど、少しでもいい条件の商品が見つかりやすくなるため、理想の住宅ローンが組みやすくなるといえるでしょう。
最初から一社に絞ることなく、複数の金融機関に目を向けて、比較検討して選ぶようにしてください。
住宅ローンは人生における最大の借入契約であり、各金融機関のサービス内容の判断、適切な返済計画の組み立ては、知識のない個人には複雑で難しいものです。
金融機関の担当者に頼ることも選択肢になりますが、必ずしも中立的な意見が得られるとは限りません。
そのため、住宅ローン選びにおいては銀行などの窓口だけでなく、独立したファイナンシャルプランナーなどの第三者の立場を含めた、複数の専門家に相談することをおすすめします。
相談相手が一人である場合は、相談相手の意見に誤りがあるケースや、偏ったものであるケースも判断することが難しいため、相談先は複数にすることが効果的です。
住宅ローンを適切に選ぶためには、個人の力だけで努力するよりも、複数の専門家に相談するほうが効率的であるといえるでしょう。
最後に、相談する事柄を含めて住宅ローン選びにおいて適切な相談先を紹介します。
住宅ローン選びにおける適切な相談先の例は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
住宅ローン商品の詳細、審査の流れや必要書類などの手続きの方法を知りたい場合は、金融機関の相談窓口に相談しましょう。
金利、手数料、申し込み方法など細かい条件について説明を受けられるため、具体的な住宅ローンの商品性を理解することができます。
窓口では実際にシミュレーションをおこなってもらえる場合も多く、提供している住宅ローンの返済計画や将来の支出について、具体的なプランを提案してくれる場合もあります。
商品の内容や条件など住宅ローンを比較検討するうえで有益な情報を得るなら、住宅ローンを提供している金融機関の相談窓口を利用します。
住宅ローンを提供する金融機関とは異なる立場にある中立的な意見が欲しい場合は、独立したファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
ファイナンシャルプランナーに相談することで、金融機関に勤務する営業担当者では難しい客観的な住宅ローンの比較・検討がおこなえます。
そのうえで、中立的かつ具体的なアドバイスを受けることができるため、安心して将来にわたる住宅ローンの契約を進めるための強力なサポートとなります。
ファイナンシャルプランナーは、住宅ローンだけでなく家計全体やライフプランを含めた総合的なアドバイスを受けられるため、住宅ローン以外のお金の悩みを持っている方にもおすすめといえるでしょう。
住宅ローンについて専門家の客観的な意見・アドバイスを受けたい方は、ファイナンシャルプランナーに相談してください。
住宅ローンを選ぶ際には、金利のみを重視するのではなく、さまざまな要素を総合的に判断することが重要です。
金融機関ごとの特徴や金利タイプ、返済方法など、慎重に比較検討したうえで、自分に最適なローンを選びましょう。
ローン選びに迷った際は、専門家に相談することを強くおすすめします。
複数の意見を取り入れることで、より安定した返済計画を立てることができ、安心してマイホーム購入の一歩を踏み出すことができるでしょう。