一定の収入があり、客観的に考えても貯金できる余裕がある場合でも、毎月の貯金額が0円となってしまう人はいます。
貯金ができない人には共通する特徴があり、人によってはお金に対する意識から変える必要がある場合もありますが、これらを理解すれば毎月一定の貯金を積み重ねることが可能になるでしょう。
また、ご自身の資産を効率よく積み重ねていくのであれば、貯金とともに資産運用を並行して始めるのもおすすめです。
この記事では、貯金ができない人の特徴と貯金するために意識したいことを解説し、貯金ができない人でも始めやすい資産運用も紹介します。
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貯金ができない人の特徴は5つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
収入の大小が貯蓄のしやすさに影響を及ぼすことは間違いありませんが、年収が客観的に見て高い水準であっても貯蓄できない人はいます。
それは収入に見合う生活レベルをしておらず、現在の生活を維持するために収入をすべて使用してしまっているケースです。
例えば、月30万円の収入がある方であれば、家賃は月収の3分の1である10万円以内に収めることが望ましいと考えられます。
しかし、30万円の月収で大きい家に住みたいという理由で、家賃を月収の2分の1以上である15万円以上に設定してしまうと、家賃だけで半分以上の支出となり、そこから貯金する余裕が生まれにくくなります。
生活レベルの意識は月収の額が問題ではなく、60万円の月収であっても、15万円の月収であっても、収入に見合った生活レベルをしていなければ同様に貯金はできません。
ほかにも収入に見合っていない贅沢を日常的におこなっていれば、貯蓄どころか毎月の収支がマイナスになってしまう可能性もあるでしょう。
収入に見合う生活レベルをしていない場合は、収入がいくらあっても貯金はできないため、自分にとって必要であることを取捨選択したうえで生活レベルに対する意識から改善する必要があります。
もしも、自由に使えるお金が10万円あったとして、その一部を貯金に回すことを考えたとき、貯金できる人は最初に1万円や3万円など具体的な貯金額を決めて残りのお金を自由に使うことを考えます。
一方で、貯金できない人は余ったらその額を貯金しようと考え、使えるだけ使ってしまうため、お金が余ることはなく貯金ができません。
貯金できない人は手元にお金がある限りは使うことから、お金に対する意識を改める必要があります。
毎月の収入で自由に使えるお金を考えた場合、無意識に一定額を手元に残そうと考える人は貯金ができるため、10万円あったら3万円を手元に残すといった考え方をするようにしましょう。
そもそも家計簿などをつけておらず、収支を把握していないため、貯金できているかどうかわからない人もいることでしょう。
収支がわかっていないことから、貯金ができていると考えていても通帳を確認すると1万円も増えていないケースや、気づいたら減っているケースなども考えられます。
家計の収支を把握していない状況は、具体的な収入や支出がわかっておらず、改善点を見つけることができない状態です。
貯金ができていないと感じており、これから貯金をしたいと考えている場合は、家計の収支を把握するところから始めましょう。
貯金に限らず、なにかを継続的におこなうには目標が必要であるため、漠然と貯金がしたいと考えて、貯金を始めても目標を定めていなければ長続きしにくいです。
目標を定めていないと最初の月は貯金ができていても、翌月以降につながらず、途中で貯金をやめてしまうケースが考えられます。
貯金をするなら目標の設定が重要であり、具体的に毎月10万円の貯金をする、5年以内に600万円貯めるなどの短期から長期にわたる目標を設定します。
目標を立てると貯金のモチベーションの向上につながるだけでなく、長期的な目標を達成するための具体的な貯金計画が立てられるようになります。
貯金ができない人のなかには、節約を長続きさせられない人もいます。
例えば、前月に無理のある節約をおこない、貯金額を大幅に増やすことに成功します。
しかし、節約を長続きさせられない人は、浪費を繰り返してしまい、前月の貯金も使用してしまいます。
貯金は長期的に無理なくおこなう必要があるため、短期的に努力するものではありません。
長続きさせられない節約をおこなうのではなく、無理のない範囲で効率的に持続できる節約を考えることが重要です。
貯金ができない人の特徴を踏まえたうえで、どれくらいの人が貯金ができているのか、データに基づいて考えてみましょう。
年代別の貯金額の平均値・中央値のデータを単身世帯と二人以上の世帯でまとめました。
【単身世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)】
年代 | 平均値 | 中央値 |
20代 | 176万円 | 20万円 |
30代 | 494万円 | 75万円 |
40代 | 657万円 | 53万円 |
50代 | 1,048万円 | 53万円 |
60代 | 1,388万円 | 300万円 |
70代 | 1,433万円 | 485万円 |
平均 | 871万円 | 100万円 |
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)』より筆者作成
【二人以上の世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)】
年代 | 平均値 | 中央値 |
20代 | 214万円 | 44万円 |
30代 | 526万円 | 200万円 |
40代 | 825万円 | 250万円 |
50代 | 1,253万円 | 350万円 |
60代 | 1,819万円 | 700万円 |
70代 | 1,905万円 | 800万円 |
平均 | 1,291万円 | 400万円 |
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)』より筆者作成
平均値だけを見るなら、どの年代も貯蓄できていると考えられますが、平均値と中央値の乖離がどの年代でも激しいことがわかります。
この現象は上位に位置するほど貯蓄ができている人の貯蓄額は平均値を大きく上回る額であると考えられますが、反対に貯蓄が0円に近い人がどの年代でも一定数存在することが予想されます。
貯金ができている人とできていない人で二分化していることが予測できるため、貯蓄が平均値に届いていないことが問題ではありません。
すでに貯金ができている人は、より効率的に貯金をして貯金額を伸ばしていくことが目標になります。
しかし、貯金ができない人の最初の目標は、データから存在すると考えられる貯金が0円に近い層から抜け出し、貯金を始めることです。
貯金ができない人が貯金をするために意識したいポイントを3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
貯金をするなら目標を立てることが重要ですが、目標を立てるうえで目安になる指標が貯蓄率です。
貯蓄率とは、手取りの収入に対する貯金額の割合であり、自由に使えるお金をどれくらい貯蓄に回せているかどうかを計る指標になります。
貯蓄率の理想は30%~50%といわれており、仮に手取りの収入が30万円であったとき、30%の貯蓄率になるように貯金するには9万円の貯金が必要です。
目標とすべき貯金額をどのように決めるべきかわからないかたは、貯蓄率を参考に決めてみましょう。
そして、貯蓄率によって毎月9万円の貯金を目標とするなら、年間で108万円の貯金が可能であり、5年あれば貯金500万円の達成が目標として見込めます。
毎月の具体的な貯金額の目標を立てることで、長期的な貯金の目標も決定できるため、まずは目標を決めることから始めてみましょう。
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現状の収支を把握するために、家計簿は必ずつけるようにしましょう。
家計簿をつけると家計における収入と支出が整理され、収支の全体像を把握できるようになります。
整理した出費は自分のなかで節約できない必要な出費もあれば、節約可能な無駄と考えられる出費もあることでしょう。
家計簿をつけるメリットは、性質の異なる出費を整理できる点です。
節約可能な出費を書き出して整理し、改善していけば支出が減少し、貯金をする余裕が生まれます。
家計簿をつけて出費を整理しますが、そのなかでも優先順位をつけると、なにから始めればいいのかわかりやすくなり、行動しやすくなります。
出費のなかでも節約において効果が高いといわれているのが固定費であり、固定費から順番に節約をおこないます。
固定費は電気・ガス・水道費、携帯料金、サブスクリプションの支払いなどが該当し、一度節約できれば翌月以降も節約の効果が続くため、最初に見直したい費用です。
契約している会社やプランによっては今もよりも安くなる場合もあり、利用していないサブスクリプションの整理は大きな節約につながります。
固定費を見直した後に、不必要な浪費や外食の頻度などを見直し、節約を実行していくことがおすすめです。
効率的に貯金をして資産を増やしていくためには、少額から始められる資産運用を検討することをおすすめします。
貯金ができない人で貯金が0円の状態であっても、始められる資産運用は存在します。
まとまった金額を必要としない毎月の貯金の一部を資産運用に回して運用できる投資方法を選べば、貯金がまったくない人でも資産運用を始めることは可能です。
資産運用は貯金が貯まってからと考える人もいるかもしれませんが、貯金を効率的に進めるためにも貯金と同時進行でおこなうことがおすすめです。
貯金ができない人でも始めやすい毎月少額から積み立てて始められる資産運用を3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
投資信託は、数ある投資商品のなかでも気軽に始めやすい少額から運用できる資産運用です。
商品によっては100円から積み立て可能であり、購入する証券会社によっては対応するポイントで投資信託を購入できるため、ポイントがあれば投資に自己資金が不要な場合もあります。
毎月の貯金額の一部を回すだけでなく、獲得したポイントを使って投資できることから、貯金が0円の状態でも始められる投資方法です。
投資信託は、株や債券や不動産といった投資対象に少額から分散投資が可能であり、少額投資でありながらリスクを分散させた運用ができます。
ただし、設定された基準価額が購入時点より下回ると元本割れのリスクもあるため注意が必要です。
そのため、リスクを分散させるために毎月積み立てる形で購入タイミングを分散させる投資方法が推奨されており、貯金がない方でもリスクを抑えた投資ができます。
貯蓄型保険は、毎月の保険料を支払うことで貯蓄と保険の二つの役割を果たす資産運用の方法です。
掛け捨て型保険とは異なり、貯蓄型保険は支払った保険料が累積する仕組みであり、満期を迎えると支払った保険料が返還されるため、保険料を支払うことで実質的に貯金できます。
満期保険金は支払った保険料に一定の利率をかけた利息が支払われることから、利息による利益を目的とした資産運用の手段となっています。
ただし、保険料が支払えない状態になり解約する場合は、解約返戻金が支払った保険料を下回ることもあるため、元本割れのリスクがあるため注意が必要です。
保険であるため万が一のときには保障を受けられ、毎月の保険料を確保して支払う必要があるため、強制的に保険料を貯金できる環境が整えられます。
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iDeCo(個人型確定拠出年金)は、月々5,000円の積み立て額からはじめる、自身で資産運用をして作っていく年金のことです。
iDeCoでは、積み立てた掛金を投資信託、保険商品、定期預金などに出資して、利益や利息を積み立てる形で年金を形成していきます。
利益や利息にかかる税金が非課税になるため、老後が不安で貯金していきたいと考えている方におすすめの制度です。
ただし、リターンやリスクは出資先に依存するため、iDeCoから投資信託に投資するなら元本割れなどのリスクを負います。
月々の掛金を自身で設定して支払うことから、少額から積み立て可能であり、貯金がない方でも始めやすい資産運用です。
貯金ができない人の特徴と貯金するために意識するポイントを紹介しましたが、具体的な貯金に対する目標を立てることができれば、今は貯金ができていなくても多くの人が貯金を実践できるはずです。
効率的に貯金を続けられている人がいる一方で、まったく貯金ができていない人も一定数いるため、まずはそこから脱却することを目標に貯金をしていきましょう。
貯金の目標から効率的な資産運用まで、すべて自分でおこなうことに自信がない場合は、お金のプロに相談して道筋を立ててもらってから実践することがおすすめです。