子どもも大きくなり、教育費のピークに差しかかるなか、本格的に老後に向けて備え始めなければならない40代。
「今の貯金で足りる?」「これから増やすにはどうしたらいい?」と不安な方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、40代における貯金額の平均や老後に必要な資金の計算方法、今から始められる資産運用について解説します。
資産を増やすためには、早く始めて長く続けることが大切です。この記事を参考に、今からできることを始めましょう。
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40代の貯金額の現状について、平均値や中央値、年収別の貯金額などを紹介していきます。
データを見ながら、自分の資産状況はどうなのか確認してみてください。
まず、今回取り上げる平均値と中央値の違いについて解説します。
平均値とは、データ全てを合計して人数で割った値です。一方、中央値とは、データを小さい方から順に並べて、真ん中に位置する値です。
例えば5人の貯金額が、10万円、15万円、20万円、25万円、100万円だった場合。
平均値と中央値は次のようになります。
平均値
(10万円+15万円+20万円+25万円+100万円)÷5=34万円
中央値
10万円、15万円、20万円、25万円、100万円の真ん中は20万円
平均値は極端に高い数値がある場合、影響を受けて高くなります。中央値は真ん中にある値であるため、平均値よりも実態に近い値と言えます。
平均値が高くても中央値が低いとき、多くの人が平均よりも貯金が少ない状況であることを理解しておきましょう。
ここでは世帯別での貯金額の平均値と中央値を見ていきます。まずは単身世帯からです。
平均値 | 中央値 | 預貯金 | |
金融資産保有世帯 | 1,045万円 | 374万円 | 398万円 |
金融資産保有していない世帯を含む | 657万円 | 53万円 | 250万円 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和4年結果調査」
単身世帯の中央値は374万円となっています。金融資産を保有していない世帯を含むと53万円と100万円を切っています。
下表は臨時収入を含めた年間手取り収入からの貯蓄割合です。
5%未満 | 6.7% |
5〜10%未満 | 8.7% |
10〜15%未満 | 17.8% |
15〜20%未満 | 3.4% |
20〜25%未満 | 9.1% |
25〜30%未満 | 2.4% |
30〜35%未満 | 6.7% |
35%以上 | 15.4% |
貯蓄しなかった | 29.8% |
平均 | 16% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和4年結果調査」
手取り収入からの割合とみると、貯蓄しなかったが29.8%と多く、約3人に一人が貯蓄できていない状況です。
次に2人以上の世帯の平均値と中央値を見ていきましょう。
平均値 | 中央値 | 預貯金 | |
金融資産保有世帯 | 1,132万円 | 500万円 | 489万円 |
金融資産保有していない世帯を含む | 825万円 | 250万円 | 356万円 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
二人以上の世帯を見ると、中央値は500万円、金融資産を保有していない世帯を含めると250万円となっています。働き手が多くなる分、貯金額も増えていることがわかります。
収入からの貯蓄割合も見てみましょう。
5%未満 | 9.3% |
5〜10%未満 | 16.7% |
10〜15%未満 | 21.5% |
15〜20%未満 | 4.2% |
20〜25%未満 | 12.6% |
25〜30%未満 | 1.4% |
30〜35%未満 | 5.1% |
35%以上 | 7.6% |
貯蓄しなかった | 21.5% |
平均 | 12% |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
また、手取りからの貯蓄割合を見ると、「10〜15%未満」「貯蓄しなかった」がそれぞれ21.5%となっており、1割程度できている家庭とできていない家庭に分かれているようです。
40代の年収別での貯蓄割合を見ていきましょう。
単身世帯 | 二人以上世帯 | |||
平均値 | 中央値 | 平均値 | 中央値 | |
収入はない | 229万円 | 0円 | 97万円 | 0円 |
300万円未満 | 297万円 | 1万円 | 258万円 | 5万円 |
300〜500万円未満 | 652万円 | 157万円 | 304万円 | 100万円 |
500〜750万円未満 | 1,308万円 | 450万円 | 756万円 | 350万円 |
750〜1,000万円未満 | 1,832万円 | 1,085万円 | 1,244万円 | 700万円 |
1,000〜1,200万円未満 | 4,532万円 | 3,900万円 | 2,247万円 | 1,004万円 |
1,200万円以上 | 1,837万円 | 12万円 | 2,949万円 | 850万円 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
単身世帯でも2人以上の世帯でも、年収が上がるにつれて貯蓄額も増えていくのがわかります。単身世帯の方が中央値が高いのを見ると、教育費などの大きな出費がない分、貯めやすいと言えそうです。
1000万円以上貯蓄している人の割合は、単身世帯で10%、二人以上の世帯で12%だいたい10%前後で、10人に1人いることになります。
また、「老後2000万円問題」と世間で騒がれていた2000万円貯蓄している人の割合はさらに少なくなり、単身世帯で6.3%、二人以上の世帯で7.1%です。あと20年でどれくらい貯められるかがキーポイントになります。
一時期「2,000万円問題」と騒がれていましたが、実際に老後生活にはどれくらいの金額が必要なのでしょうか。ここでは、具体的な計算方法をご紹介します。次の手順で計算していくと求められます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まず退職したあとの生活費を見積りましょう。具体的にどれくらいかかるのか、参考までにデータを見てみます。
65歳以上の単身無職世帯 | 65歳以上夫婦のみの無職世帯 | |
食費 | 3万7,485円 | 6万7,776円 |
住居 | 1万2,746円 | 1万5,578円 |
光熱・水道 | 1万4,704円 | 2万2,611円 |
保健医療 | 8,128円 | 1万5,681円 |
交通・通信 | 1万4,625円 | 2万8,878円 |
教養娯楽 | 1万4,473円 | 2万1,365円 |
その他消費支出 | 3万1,872円 | 4万9,430円 |
社会保険料 | 5,625円 | 1万8,945円 |
消費支出合計 | 14万3,139円 | 23万6,696円 |
可処分所得 | 12万2,559円 | 21万4,426円 |
黒字 | −2万580円 | −2万2,270円 |
抜粋:総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」
単身世帯で約14万円、夫婦のみの世帯で約23万円となっています。
また、公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4年度)生活保障に関する調査」によると、ゆとりある生活費(夫婦の場合)は約38万円となっています。2019年の調査と比べて1.1万円増加しており、今後も増えていくと考えられます。
老後の生活費は、個人のライフスタイルや健康状態によって異なります。そのため、上記の金額はあくまでも目安として考えましょう。
退職後にどのような収入があるかを確認しましょう。多くの方にとって年金や退職金がおもな収入源になります。
毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で、年金額がいくらかを把握しましょう。参考までに令和3年度の給付額は下記のとおりです。
参考:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
他にも個人年金保険などに加入していれば、それを含めます。年金の給付額は年々変わるため、あくまで目安にしておきましょう。
老後生活がどれくらい続くかも老後資金を計算するためには必要な数字です。平均寿命をもとに、計算してみましょう。
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、男性は81.05歳、女性は87.09歳です。
もし65歳で退職をしたとすると、男性は約16年、女性は約22年の老後生活を送ることになります。
今まで計算した要素を使って、必要な貯金額を計算してみましょう。必要な貯金額は次の式で求めることができます。
ここで大切なのが、物価の上昇率です。物価が上がればその分、必要な老後資金も増えることになります。
例えば、現在の物価上昇率は約2%とされています。このまま推移した場合、どのように生活費が増えていくのかシミュレーションしてみると次のようになります。
最低日常生活費 | ゆとりある生活費 | |
現在 | 23.2万円 | 38万円 |
10年後 | 28.2万円 | 46.3万円 |
15年後 | 31.1万円 | 51.1万円 |
20年後 | 34.3万円 | 56.4万円 |
※物価上昇率が期間中一定で推移したと仮定してシミュレーション
※小数点第2位を切り捨てて計算した金額を表示
あくまで毎年2%ずつ上昇した場合としてシミュレーションしていますが、最低日常生活費でも15年後には30万円を超えます。ゆとりある生活費にいたっては、15年後には50万円を超える計算です。貯金だけでまかなうことは難しいでしょう。
貯金だけでは老後資金を備えるのは難しくなっています。早くから資産運用を始めることで、物価上昇率にも耐えられる資産を形成できます。
具体的な方法として次の3つが挙げられます。
・NISA・つみたてNISA
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・実物資産
それぞれ詳しくみていきましょう。
NISA・つみたてNISAは、投資初心者の方でも始めやすいよう作られた制度です。通常、運用した利益は約20%の税金がかかりますが、NISA・つみたてNISAではかかりません。
例えば100万円の利益が出たとき、約20万円が税金で引かれてしまいますが、NISA・つみたてNISAではそのまま手元に残ります。非課税で運用できるため、効率よく資産形成がおこなえます。
来年から新NISAが始まりますが「始まってからでいい」と考えるのは実は損です。投資の成績は個数×株価の成績で決まるため、個数が多いほど成績が上がっていきます。
早く始めるとその分個数を多く買え、一時的に株価が下がったとしても、長期的な目線で見れば上がります。ただし、投資には元本割れのリスクがあることも理解しておきましょう。
iDeCoはまさに老後資金を備えるために作られた制度です。確定拠出とは自分で決めた金額を払っていくという意味です。
iDeCoには拠出時、運用時、受け取り時の3つで税制上のメリットがあります。
1つ目は拠出時、つまり掛金を払っているときで、掛金全額が所得控除の対象となります。例えば、掛金を2万円としていた場合、年間24万円を所得から引かれ、その分税金が安くなります。
2つ目は運用時で、iDeCoもNISA・つみたてNISAと同様、運用益は非課税です。運用益がそのまま手元に残るため、効率よく資産を増やしていけます。
3つ目は受け取り時で、一時金として受け取るときには「退職所得控除」、年金として受け取るときには「公的年金等控除」が適用されます。
資産を増やせるだけでなく、節税にもなるため、40代なら加入しておきたい制度です。
実物資産とは、実体として存在し、それ自体に価値がある資産のことです。例えば不動産や金銀などの貴金属がこれにあたります。
弊社では、実物資産の運用商品として、ウイスキーカスクやアンティークコインを扱っています。
カスクとは木樽のことで、ウイスキーカスクでは、ボトル詰めされる前のウイスキーの原酒が入っている木樽(カスク)が投資対象です。
熟成が若いうちに購入し、年数が経って価値が上がったタイミングで売ることで利益を得ます。
過去10年の平均リターン率は540%と、他の商品とは比較にならないほどの高さです。弊社では複数の木樽の管理会社と契約しており、なかには1週間も経たずに完売するほど人気が高まっています。
ご興味のある方は弊社までお気軽にお問い合わせください。
アンティークコインとは、古い時代のコインのことです。アンティークコインを購入し、購入価格よりも高く売ることで利益を得ます。
昔に造られたコインのため、希少性が高いことから価値が上がりやすく、値下がりも滅多にありません。
例えば、1839年 イギリス ヴィクトリア女王即位記念「ウナとライオン」 5ポンド金貨の場合。2011年には400~500万円だったのが、2018年には5,000~6,000万円にまで上がりました。
多額の資金が必要かと思われるかもしれませんが、安いものでは数百円〜数千円で購入できるものもあります。
今回は、40代の貯金の平均額をもとに、いくら貯金があれば安心なのかを解説しました。物価の上昇を考えると、貯金だけでまかなうことは到底できません。
早くから資産運用を始めることで、負担をかけることなく資産を増やしていくことができます。弊社では株式投資や投資信託だけでなく、実物資産も取り扱っております。
「貯金だけでは心配だけど何から始めていいかわからない」「実物資産について詳しく知りたい」など、資産運用に関するご相談がありましたらぜひお気軽にお問合せください。