「20代後半で他の人はどれくらい貯金しているのか?」
「20代後半で貯金を増やすにはどうすればいいのかを知りたい」
このように考えている方もいらっしゃることでしょう。
20代後半であれば、結婚や住宅などのライフイベントを控えている方も多く、将来的に考えているライフイベントに対してどれくらいの貯金額が必要になるのか気になるところです。
この記事では、20代後半の平均貯金額や年収・支出などのデータを紹介したうえで、貯金を増やす方法や20代後半から始められる資産運用を解説します。
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はじめに、20代後半の平均貯金額を考えていきましょう。
金融広報中央委員会では、家計の金融行動に関する世論調査をおこなっており、金融資産(株式や投資信託)を含めた貯金額の平均を調査しています。
調査対象は20代~70代となっており、こちらの調査では20代後半のみを対象としたデータはないため、20代と30代のデータをまとめました。
年代 | 単身世帯 | 二人以上の世帯 |
20代 | 176万円 | 214万円 |
30代 | 494万円 | 526万円 |
「金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」より筆者作成
20代の平均貯金額はと30代の平均貯金額を比較すると倍以上の差があることがわかります。
20代後半であれば25歳~29歳の方が対象になりますが、平均貯金額で考えるならご自身の年齢を考えて最大5年以内に30代の平均貯金額を意識して超えられるように計画して貯金するのはひとつの指標になるため良いでしょう。
一方で、20代の平均貯金額に届かなかった方は、現在の状況を理解したうえで、これから貯金を増やしていく方法を考えることが重要です。
平均貯金額はあくまで目安であり、ご自身の将来にあわせた貯金をすることが重要であるため、上記のデータだけを参考に一喜一憂することなく貯金を増やす方法を考えていきましょう。
毎月、安定して貯金をしていくのであれば、貯金に回せる額の理想を考えていくことが重要です。
まずは、20代後半の平均年収と、年間の収入から貯蓄に回す割合を提示したうえで、具体的にどれくらいの額を貯金に回せるのかを考えていきます。
20代後半(25歳~29歳)の平均年収は国税庁が発表する『民間給与実態統計調査結果(令和3年)』では370万円でした。
手取り年収は会社員の場合、約290万円~約310万円前後と推測できるため、手取りは300万円と仮定します。
手取り年収から貯金に回す割合の平均データは下記のとおりです。
年代 | 単身世帯 | 二人以上の世帯 |
20代 | 16% | 16% |
30代 | 15% | 14% |
「金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」より筆者作成
手取り年収から貯金に回す割合は、20代と30代では大きな変化はないようです。
今回は20代の16%を基準に20代後半の平均年収から貯金に回す額の目安を求めていきましょう。
よって、20代後半の方が年間で貯金する目安となる額は48万円になり、月単位に直すと毎月4万円です。
年収は人によって異なるため、ご自身の手取りの年収を参考に上記の計算をすれば、ご自身にとっての目安となる貯金額が算出できます。
20代後半の方が貯金をする目的で重要になるのは、今後に控えているライフイベントの費用を賄えるようにするための資金です。
20代後半の方が将来に備えるための費用には、結婚式費用、出産費用、住宅購入費用などが考えられます。
加えて病気や事故など、さまざまなトラブルに備えて最低でも半年分の生活費を貯蓄しておくことをおすすめします。
今回は生活費が15万円であると仮定し「15万円×6ヶ月=90万円」を予備資金と考え、以下にライフイベントに必要な費用をまとめました。
ライフイベント | 費用 |
結婚式(挙式、披露宴・ウエディングパーティーの総額) | 約304万円 |
出産 | 約47万円 |
住宅購入(建売住宅の頭金+諸費用) | 約558万円 |
予備資金 | 約90万円 |
合計 | 約999万円 |
『ゼクシィ 結婚トレンド調査2022調べ』『出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について』『フラット35 利用者調査 2022』より筆者作成
住宅購入では、建売住宅の平均所要資金が約3,719万円であったため、頭金と諸費用の割合を15%と仮定し、住宅ローンを組んで住宅を購入するために必要な資金を下記のとおりに計算しています。
ただし、住宅の購入資金は住宅の種類や購入する地域によって異なるため、優先したい条件をもとに住宅の所要資金の相場を把握し、予算を決めるのがいいかもしれません。
上記の条件をもとにすべてのライフイベントに備える前提で貯金を準備する場合は、約999万円の貯金が必要になります。
一部のライフイベントを迎える予定がないなどの理由で貯金が余る場合は、子どもの教育資金や老後の生活費用など、より将来に向けた貯金をすることをおすすめします。
20代後半で貯金を増やす方法は以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
貯金を増やすために最初にやるべきことは、家計簿をつけて全体の支出を把握することです。
無駄な出費やより安くできる費用を見つけ出し削ることにより、支出を減らすことで貯金を増やします。
支出を総括して把握することで、ご自身にとって必要のない出費を視覚化できるため、整理しやすくなります。
食費や娯楽費なども無駄遣いがあり、削れるのであれば削ったほうがよいですが、優先的に見直しをすべき点は固定費を中心とした継続的にかかる費用です。
電気・水道・ガス、携帯料金などの費用を会社を変えることを含めて見直し、利用していないサブスクリプションは優先的に解約することをおすすめします。
支出を見直したうえで貯金を増やすことが難しい場合は、副業を始めて収入を増やすのも選択肢のひとつです。
副業の種類は、本業に拘束されない自由時間のなかで始めるアルバイトなどの仕事や、ポイ活などの通勤中などでも気軽にできるものが考えられます。
選ぶ副業は必要な貯金額や本業に支障をきたさない範囲であるなど、必要な条件が考えられるため、ご自身の事情にあわせて考えましょう。
貯金を増やす方法は、支出を減らす、収入を増やすアプローチが考えられますが、今ある資金を利用して貯金額を増やす方法も考えられます。
資産運用は今ある貯金で株や不動産などの金融資産を購入し、長期的に運用することで最終的に貯金額を増やす方法です。
ライフイベントに備えて貯金している場合でも、数年以内に使用する予定がなく、予備資金を差し引いて余剰資金となっている場合は資産運用に回すと良いでしょう。
貯金の一部を積立して始められる資産運用もあるため、余剰資金がない場合でも資産運用は始められます。
20代後半で貯金を増やすなら、支出を減らし、収入を増やし、貯金を運用する3つのアプローチをバランスよく行うことで、効率よく資産を増やすことが可能です。
20代後半で資産運用を始めている人の割合はどれくらいいるのでしょうか。
20代、30代の金融資産の保有状況の調査結果をもとに以下のデータをまとめました。
年代 | 単身世帯 | 二人以上の世帯 |
20代 | 57.9% | 64.3% |
30代 | 67.6% | 76.1% |
「金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」より筆者作成
20代の単身世帯でも57.9%となっており、半分以上の人が資産運用を始めている結果となりました。
30代になれば、二人以上の世帯であれば8割に近い割合で資産運用を始めています。
以上の結果から20代後半であれば、6割程度の人が資産運用をすでに始めていると考えられます。
20代後半から始められる資産運用を3つ紹介します。
貯蓄型保険は、保障を受けられるだけでなく、支払った保険料を積み立てられる性質を持った保険です。
貯蓄型保険は満期を迎えると、支払った保険料の総額を上回る保険金が支払われることがあるため、資産運用の手段のひとつと考えられています。
例えば、結婚や出産のライフイベントの後に必要な子どもの教育資金を確保する目的で、学資保険(こども保険)に加入すれば、子どもの教育資金を確保したうえで、満期時に保険金が受け取れます。
毎月保険料を支払うことで積み立てる方法と、まとまった資金を払い込みする方法があるため、ご自身の貯金の状況にあわせて選択可能です。
満期になる前に解約すると解約返戻金が受け取れますが、解約のタイミングによっては解約返戻金が保険料の総額を下回ることもあるため、元本割れのリスクはあります。
しかし、加入する保険の選択によって保障を受けられるだけでなく、最後まで加入する前提であれば安定した資産運用の方法といえるでしょう。
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投資信託は、ファンドマネージャーと呼ばれる資産運用の専門家にお金を預けて、少額から資金を運用してもらう方法です。
資産運用の知識がない方でも、投資しやすい金融商品となっているため、投資したことがない方でも気軽に始められます。
投資信託にも種類があり、収益を定期的に投資家に還元する分配金を出すものもあれば、分配金を出さずに投資信託の運用成果の最大化を優先するものもあります。
100円から購入できる投資信託もあるため、毎月、決まった額を決めて積み立てる形で投資できるだけでなく、証券会社によっては獲得したポイントを投資信託で運用できるため、余剰資金のない20代後半の方でも投資しやすいです。
ただし、投資信託は基準価額が設定されており、基準価額の上下によっては損失が出る可能性もあるため、元本割れのリスクはあります。
NISAやiDeCoなど、非課税制度の対象となっている金融資産であるため、節税を意識した資産運用も可能です。
株式投資は、企業が発行する株式を保有することで、配当金や優待などのメリットが得られる資産運用です。
企業ごとに決められた基準となる日に株式を保有している状態にあれば、企業ごとに設定された配当金や、投資しした企業にちなんだ株主優待を受け取れます。
株式に設定されている株価の上下によっては、大きな損失が出ることもありますが、20代後半であればリスクを承知したうえで大きなメリットを得られる可能性がある投資方法を選ぶのも選択肢のひとつです。
資産運用として株式投資・投資信託を選ぶのなら、必ず余剰資金の範囲内にとどめ、投資に関する基本的なメリットとリスクを理解したうえでおこなうようにしましょう。
20代後半の貯金の平均額では、結婚式費用、出産費用、住宅購入費用、予備資金などを含めた、将来的なライフイベントに必要な資金を賄える状態にありません。
そのため、出費を減らすことと収入を増やすアプローチを中心に貯金を増やしたうえで、余剰資金を利用して資産運用することで貯金を増やす姿勢が必要です。
控えているライフイベントに対して、資産運用の方法を含めてどのように貯金を増やしていけばいいのかわからない方は、一度お金のプロに相談することをおすすめします。