「貯金は給料の何割が理想?」
「みんな貯金にどれくらい回してるの?」
気にはなるけど、聞きづらいお金の話。 貯金しなきゃいけないとはわかっていても、どうしたらいいかわからずそのままにしている…という方も多いのではないでしょうか。
今回は、平均のデータを参考にしながら、貯金は給料の何割がいいのか、貯金率を上げるコツを解説していきます。
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貯金は給料の何割するべきか、正解はありません。なぜなら、家族構成や収入、生活スタイルによって、貯金のしやすさは変わるからです。
例えば、同じ収入でも、お子さんがいる3人家族と、実家で暮らしている独身の方では、ひと月に使う金額や貯金できる金額に差があるのはおわかりかと思います。
また、家でゆっくり過ごすのが好きな方と外に出かけるのが好きな方でも、変わってくるでしょう。
この記事では、総務省統計局による調査のデータを取り上げますが、参考程度にして、無理のない範囲で貯金を続けましょう。
総務省統計局の「家計調査(家計収支編)」によると、勤労者世帯の平均貯蓄率は35.3%となっています。
給料の3割を貯金に回していることになります。
この平均貯蓄率は、貯蓄額÷可処分所得×100で求められます。平均貯蓄率を求めるのに使われている所得や貯蓄額は次の通りです。
可処分所得 43万5,001円
貯蓄額 15万3,343円
計算式 15万3,343円÷43万5,001円×100
「そもそも給料がかけ離れている」 「そんなに貯金に回せない」と思った方もいるでしょう。
この数字はあくまでも平均です。1つでも高い数値があれば、平均値も引き上がります。参考程度に留めましょう。
年代別に貯蓄の割合を見ていきます。
年代 | 平均貯蓄率 |
20代 | 47.8% |
30代 | 42.0% |
40代 | 36.2% |
50代 | 32.3% |
60代 | 25.9% |
70代 | 32.6% |
総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2022年 世帯人員・世帯主の年齢階級別より筆者作成
20代が一番高く、47.8%となっています。一番貯めやすい年代と言えそうです。
次が30代で42.8%です。子どもが生まれると教育費がかかるようになるため、生まれるまでが貯めどきとなります。
40代と50代は、子どもが大きくなり、教育費が高額になる年代です。また、親の介護も負担しなければならない場合もあります。貯金する割合が減る家庭が多くなるようです。
60代が一番低く、25.9%となっています。退職したり、再雇用で給料が下がったりと収入が減る傾向にあります。そんな中でも、少しでも貯金しようとする姿が伺えます。
70代でも32.6%と約3割を貯蓄に回しています。人生100年時代と言われている今、わずかでも余裕があれば貯金に回す方が多いようです。
20代の独身時代が一番の貯めどきと言えるでしょう。
年間収入別の貯蓄割合を見ていきましょう。
年間収入 | 平均貯蓄率 |
〜374万円 | 28.9% |
374万円〜520万円 | 33.2% |
520万円〜672万円 | 34.1% |
672万円〜890万円 | 35.2% |
890万円〜 | 38.7% |
総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2022年 年間収入五分位・十分位階級別より筆者作成
キリが悪い収入の区切りになっているのは、各収入における世帯数を合わせるためです。
年間収入が890万円以上の場合、38.7%と4割近くを貯蓄に回しているのがわかります。やはり年収が高いほど、貯蓄の割合も高くなると言えそうです。
年間収入が374万以下の場合は28.9%と3割を切っていますが、できる範囲で貯金しているのがわかります。
年間収入によって多少の差はあるものの、約3割を貯金に回すのが一般的なようです。
生活スタイル別の貯蓄割合は、下記の表の通りです。
世帯人数 | 平均貯蓄率 |
1人 | 40.8% |
2人 | 31.5% |
3人 | 35.3% |
4人 | 35.3% |
5人 | 29.2% |
総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2022 世帯人員・世帯主の年齢階級別より筆者作成
この表からも、独身時代が一番貯めやすい時期と言えます。
2人以上の世帯は、独身時代よりも出費が多くなる傾向にあります。具体的には、結婚式や出産費用、子どもの教育費などです。 そのため、独身時代と比べ、貯蓄率が下がる傾向にあります。
もし、共働きの場合は、貯蓄率を高められるでしょう。 子どもの成長に合わせ、負担も大きくなります。 家庭の状況にもよりますが、少しでも多く貯金に回すようにしましょう。
ライフイベントでかかるお金を把握しておきましょう。あくまでも平均ですが、目安として覚えておくと、貯金の目標が立てやすくなります。
結婚費用
(挙式、披露宴、ウェディングパーティー総額平均) |
303.8万円 | |
出産費用 | 46.7万円 | |
教育費 | 幼稚園から高校が
全て公立の場合 |
574万円 |
幼稚園から高校が
全て私立の場合 |
1,838万円 | |
住宅購入費 | 3,605万円 | |
老後費用 | 最低限の生活費 | 23.2万円 |
ゆとりある生活費 | 37.9万円 |
データ引用元は記事下部に記載。表は筆者が作成。
なかでも、子どもの教育費、住宅購入費、老後費用は、 人生における三大支出とも言われています。
教育費でも全て公立の場合と全て私立の場合とでは、大きな差があるのがわかります。 ご家族でよく話し合い、どういう人生を送りたいのかを考え、目標の貯金額を決めましょう。
貯蓄率を上げる3つのステップをご紹介します。貯金をする上で大切なのが「続けること」です。
無理をしてしまうと、今の家計が破綻してしまったり、家族関係が悪くなってしまったり、 貯金する理由を見失うことになります。
無理のない範囲で貯蓄率を高めるには、下記の順番で家計を見直すのがおすすめです。
ここから一つひとつ、具体的に見ていきましょう。
収入と支出を正確に把握しましょう。正確に把握することで、収支のバランスや支出の傾向がわかります。また、貯金の成果も実感しやすくなります。
特に確認すべきポイントは、支出に無駄がないかどうかです。サブスプリクションやゲームやアプリの課金など、本当に必要かどうか見てみましょう。
「正確に」とは言いましたが、1円単位できっちりする必要はありません。手元にある現金とズレたときにストレスが溜まり、家計簿をつけるのが嫌になってしまうからです。
100円単位でつけるのがいいでしょう。誤差も少なく、ストレスも溜まらないため、無理なく続けられます。
今は家計簿アプリが数多く出ています。銀行口座と連携できるものもあり、自動的に反映されるため、自分で入力する必要もありません。
自分に合った使いやすいものを選びましょう。
収入と支出を把握したら、固定費を見直しましょう。
固定費とは、家賃や通信費、保険料といった毎月決まった金額がかかる項目のことです。
固定費を見直すメリットは、一度で済み、効果が長く続くところです。 例えば月8,000円のスマホ料金を、2,000円の格安SIMに変更するだけで、月々6,000円の節約になります。年間にすると7万2,000円です。大きな金額を節約でき、無理なく貯金に回すことができます。
保険に関しては、過不足のない、本当に必要な保障になっているかどうか判断がしづらいと思います。ぜひ、弊社までお問合せください。家族構成や現在の資産状況を確認しながら、最適なプランをご提案いたします。
固定費を見直したら、変動費も節約できるところがないかチェックしてみましょう。
変動費とは、食費や水道光熱費など、月々によって変動する項目のことです。
最初から変動費の節約に取り組むと、生活に潤いがなくなってしまい、ストレスが溜まります。固定費を見直してから、無理のない範囲で取り組むことが大切です。
具体的な方法として、お弁当や飲み物を持参する、お風呂の追い焚きをやめる、安い電力会社に乗り換えるなどがあります。
「将来のために!」と生活を切り詰めてまで貯金に回そうとすると、今の生活における楽しみがなくなってしまいます。できる範囲で続けるようにしましょう。
「貯金を給料の何割すべきか」に答えはありません。家族構成や収入、生活スタイルによって変わります。平均のデータを参考にしながら、貯金をするようにしましょう。
大切なのは、無理のない範囲で続けることです。「家計で無駄な支出がないか知りたい」「保険が適切なものか知りたい」といったご相談にも、ファイナンシャルプランナーがお答えします。今の生活を大切にしながら、できることを一緒に考えていきましょう。
出典
出産費用 厚生労働省保険局「出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について」
教育費 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します 」