社会人となり、念願の一人暮らしをしている方も多いでしょう。
しかし、いざ始めてみると支払いが多く、「思うように貯金ができない」「日々のやりくりで精一杯」という方もいるのではないでしょうか。
今回は一人暮らしの貯金額の平均や貯金を成功させるための方法を解説します。
貯金を成功させるためには、地道にコツコツ続けるしかありません。
すぐ実践できるものばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
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一人暮らしの方々はどれくらい貯金をしているのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)[単身世帯]」によると、年代別に見た貯金額の平均値と中央値は次のとおりです。
なお、平均値とはデータの数値をすべて合計し、データの数で割ったものです。そのため、極端に高い数値があると平均値も上がります。
一方、中央値とは、データを小さい順から並べ、真ん中にきた数値です。より実態に合っていると考えられます。
年代 | 平均値 | 中央値 |
全年代 | 871万円 | 100万円 |
20歳代 | 176万円 | 20万円 |
30歳代 | 494万円 | 75万円 |
40歳代 | 657万円 | 53万円 |
50歳代 | 1,048万円 | 53万円 |
60歳代 | 1,388万円 | 300万円 |
70歳代 | 1,433万円 | 485万円 |
全体での平均値は871万円、中央値は100万円です。年代が若いほど、平均値・中央値ともに少なく、年代が上がるにつれて高くなっていきます。
また、平均値と中央値の差は年齢が上がるにつれて、大きく開いていっています。このことから、貯金ができている人とできていない人の二極化が進んでいるのがわかります。
「貯金がなくても今までなんとかやってこれたし大丈夫」と考える方もいるかもしれませんが、それは危険です。今一度、貯金が重要な理由を確認してみましょう。
一人暮らしで貯金が重要な理由は「万一のときに備えるため」です。万一のときとは、次のようなことです。
・病気やケガで働けなくなる
・失業する
・大地震や台風などの自然災害に遭う
・家電や車などの大きな買い物をする
例えば、会社員であれば病気やケガで働けなくなったときに「傷病手当金」などの給付を受けられます。
1日あたりの支給額は、支給開始日以前12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30日で割り、3分の2をかけたものです。
例えば、標準報酬月額を平均した額が20万円だった場合、支給額は次のようになります。
20万円÷30日×2/3=4,444.4
1日あたり約4,400円を1カ月(30日間)支給されると仮定すると、月に約13万3,000円となります。支給されるのはありがたいですが、それだけでは生活費をまかなうのが厳しいでしょう。
また、失業した場合は「失業給付」を受けられますが、自分の都合で辞めたときは、受け取りまで約2カ月かかります。さらに、支給される期間も90〜150日と限られています。
このようなときに、貯金があれば、生活費などに充てられるでしょう。
老後資金に備えるためにも貯金は重要です。日本の平均寿命は男女ともに延び、物価も上昇しており、老後の生活費はますます増加していくことが予想されます。
現在、老後を送っている方の家計を見てみると、厳しい状況であることがよくわかります。
次の表は総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」による65歳以上の単身無職世帯の家計収支です。
項目 | 金額 |
実収入 | 13万4,915円 |
可処分所得 | 12万2,559円 |
消費支出 | 14万3,139円 |
黒字 | -2万580円 |
消費支出が可処分所得を上回っており、赤字となっているのがわかります。
また、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」によると、金融資産を保有する目的で一番多かったのが「老後の生活費」で48.6%でした。
約2人に1人が挙げており、老後資金への備えはみなさん不安に思っていることだとわかります。
貯金が重要な理由として「常に働かざるを得なくなる」点が挙げられます。
特に一人暮らしの場合、家族の収入に頼ることができないため、常に自分自身の収入で生活費をまかなわなければなりません。
例えば、病気やケガで働けなくなって収入が途絶えたときでも、生活費を稼ぐために働き続けなければなりません。
本来であればゆっくり養生することが大切ですが、「お金がないから」と働き続けることになります。
また、留学をしたい、ワーキングホリデーに行きたいなど、自分の将来を広げるために何かしたいと思っても、貯金がなければできません。
自分の可能性を広げるためにも貯金は重要です。
「貯金したいのは山々だけど余裕がない……」と思う方もいるでしょう。貯金ができない原因は何か、自分に当てはまるものはないかを確認しましょう。
一人暮らしで貯金ができない原因の1つは、固定費がかかることです。固定費とは、毎月必ず支払う費用のことです。
具体的には以下のようなものがあります。
・家賃
・光熱費
・通信費
・保険料
これらの費用は毎月かかるため、収入が減っても払い続けなければなりません。そのため、固定費が高額だと、貯金をする余裕はないでしょう。
支出を管理する人が自分しかいないことも、貯金ができない原因となります。
例えば実家暮らしであれば、家賃や光熱費、食費なども家族が管理をしてくれるでしょう。しかし、一人暮らしの場合、すべてを自分で管理をしなければなりません。
また、家族がいれば「水や電気がつけっぱなしだよ」「お金使いすぎじゃない?」などと注意してくれますが、一人暮らしは自分で注意する必要があります。
貯金の重要性を理解していないことも、貯金ができない原因の一つです。
貯金は将来の不安を解消するためにも重要なものです。また、将来だけでなく、冠婚葬祭や災害などといった予期せぬできごとにも対応できます。
そういった事態になって「貯金しておけばよかった」と後悔しても、しかたありません。
私たちが想像していないことが起きうるのが人生です。もしものためにも備えておきましょう。
「固定費がかかる」「支出が管理できない」など、一人暮らしでなかなか貯金ができない方に、成功させるための方法を紹介します。
基本的なことばかりですが、貯金には近道はありません。できることから少しずつ始めましょう。
貯金を成功させるためには、収入から支出を引いた金額がプラスになるようにする必要があります。
マイナスになっていれば、いくら節約しても貯金はできません。収入を増やす、支出を減らす、どちらも意識することで、貯金ができるようになります。
収入を増やす方法としては、転職や副業が挙げられます。転職はすぐにできるものではありませんが、長い目で見れば大きく増える可能性があります。
また、副業もクラウドソーシングサイトなどを利用し、探すことができます。一度どういったものがあるか、探してみるといいでしょう。
支出を減らす方法は、「固定費を見直す」の項目で詳しく解説します。
貯金専用口座を作ることも、貯金を成功させるための方法の一つです。専用口座を作ることで、貯金と生活費を切り離し、確実に貯金できるようになります。
また、目に見えて増えていくのがわかるため、貯金をするモチベーションも維持しやすくなります。
お金の情報サイト「まねーぶ」の「【貯金実態調査】貯金1,000万円以上保有者に聞いた、貯まる人の体質とは」によると、貯金額1,000万円達成をした理由として一番多く挙げられているのが「貯金用口座をわけているため」でした。
貯金を成功させるためには、仕組みを作ることが大切です。給与が振り込まれる金融機関の定期預金や自動積み立てを利用してみましょう。
また、ネット銀行の場合、大手銀行よりも普通預金の金利が高いところもあります。比較サイトを利用し、自分に合ったものを探してみましょう。
一人暮らしで貯金を成功させるためには、先取り貯金も方法の一つです。
先取り貯金とは、給与が入ったらすぐに貯金に回し、残りのお金でやりくりする方法です。この方法であれば、毎月必ず貯金ができます。
「残りのお金でやりくりできるか自信がない」という方もいるでしょう。しかし「パーキンソンの法則」というのがあり、人はお金があればあるだけ使ってしまうことがわかっています。
成功させるためのポイントとして、金額ではなく、割合で決めることをおすすめします。5,000円や1万円といった金額にすると、貯金ができなかった場合、モチベーションが下がってしまいます。
割合であれば、給与が少なくても、無理なく確実に貯金ができるでしょう。
お金を下ろすのは月に1回だけにしましょう。貯金する分を先に貯金専用口座に移し、残りはすべて下ろしましょう。
すべて下ろすことで、今手元にどれくらいあるのか、いくら使っているのかが目に見えてわかるようになります。
何回も少額を下ろしていると、結局いくら使っているのかがわかりません。
また、多くの金融機関は手数料無料で引き出せる回数が決まっています。手数料を節約するためにも、月1回だけお金を下ろすようにしましょう。
家計管理に慣れていない方は、できるだけ現金で払うようにしましょう。
今はQRコード決済や電子マネーなどが普及し、現金を使わなくてもお会計ができるようになりました。しかし、これらはお金を払っているという感覚が薄くなるため、必要以上に使ってしまう可能性があります。
もし使う場合には、使った分の金額を封筒によけ、手持ち以上に使うことのないようにしましょう。封筒によける際は、1,000円単位で管理するのがおすすめです。
1,000円単位で管理すると、必ず多めによけることになるため、貯金や趣味に回すなど、余裕が出るようになります。具体的には次のとおりです。
日付 | 実際に使った金額 | 封筒によける金額 |
12月1日 | 500円 | 1,000円 |
12月3日 | 750円 | 1,000円 |
12月9日 | 1200円 | 2,000円 |
合計 | 2,450円 | 4,000円 |
上記の場合、実際に使った金額は2,450円ですが、封筒によけた金額は4,000円のため、1,550円多めによけていることになります。この多めによけた分を貯金に回したり、自由に使ったりできるのです。
手元にないと封筒によけられないため、使い過ぎることもありません。家計管理が苦手な方はぜひ試してみてください。
固定費を見直すことも、貯金を成功させるために有効です。
固定費は支出に対して割合が大きいため、見直すと大幅に削減でき、貯金できる余裕が出る可能性が高まります。
また、一度削減すると、効果が持続するため、モチベーションも高まります。
例えば家賃が高いと感じているのであれば、安いところやシェアハウスなどを探してみましょう。
また、スマートフォンの通信料は、クレジットカードで貯めたポイントを支払いにあてて0円にできる会社もあります。
さらに、あまり利用していないサブスクリプションはないかも見てみましょう。無料体験だけのつもりが、継続して料金を払っているかもしれません。
見直せるところはいろいろあるため、一つずつ探してみましょう。
今回は、貯金ができない一人暮らしの方に向けて、貯金ができない原因や貯金を成功させるための方法を解説しました。
「チリも積もれば山となる」という言葉があるように、最初は少額でも少しずつ貯めていけば大きな金額となります。
先ほども挙げたお金の情報サイト「まねーぶ」の調査によると、貯金額1,000万円達成までの平均期間は11.4年、貯金を続けている期間は平均13.3年となっています。
貯金できる金額に大小はありますが、することは同じです。ご紹介した方法をぜひ試してみてください。
もし「保険を見直したい」「家計管理を見直したい」といった場合にはお気軽に弊社までお問い合わせください。私たちは「お金の習慣を変える」ことを使命に活動しております。