マイホームを購入するためにはどれくらい貯金をすればいいのか、将来的に持ち家が欲しい方は必要な目安を知りたいと考えることでしょう。
マイホームを現金一括で購入する場合は、数千万円以上の資金が必要になります。しかし、住宅ローンを利用することで、自己資金を抑えて住宅を購入できます。
たとえ、住宅ローンを利用する前提であっても、住宅ローンの頭金・諸費用を支払わなければならず、マイホームの購入後にも出費が発生しやすいものです。貯金額が多いほど、実際にマイホームを購入する際には安心できるでしょう。
この記事では、マイホーム購入における貯金の目標額の目安と、目標額を決めるための必要な考え方を総合的に紹介します。
記事を読むことで、マイホームの購入に必要な貯金額を具体的に理解できるようになり、効率的に目標を達成する道筋も見えることでしょう。
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マイホームを購入するための貯金の目標額は、結論からいうと物件価格の10%~30%程度が目安になります。
目安となる割合の幅が広い理由は、住宅ローンは金融機関によって柔軟に組める可能性があり、返済に対する考え方によって必要な貯金額が変わってくるからです。
マイホームの購入資金と必要な貯金額の目安を以下にまとめました。
マイホームの購入資金 | 10% | 20% | 30% |
1,000万円 | 100万円 | 200万円 | 300万円 |
2,000万円 | 200万円 | 400万円 | 600万円 |
3,000万円 | 300万円 | 600万円 | 900万円 |
4,000万円 | 400万円 | 800万円 | 1,200万円 |
5,000万円 | 500万円 | 1,000万円 | 1,500万円 |
6,000万円 | 600万円 | 1,200万円 | 1,800万円 |
7,000万円 | 700万円 | 1,400万円 | 2,100万円 |
物件価格の10%以下の低い割合を目安に、マイホームの購入の目標額を設定すると、貯金に対する苦労は減ります。しかし、住宅ローンの返済負担が重くなります。
一方で、30%を超える高い割合を目安に目標額を設定すると、住宅ローンの返済負担が軽減されます。しかし、貯金の目標到達に時間がかかるため、マイホームの購入が遅れます。
そのため、適切なバランスを考えて貯金の目標額を決める必要があるでしょう。
貯金額の目標を適切に決めるには、目安を確認するだけでなく、具体的に貯金額を決定するための考え方を理解することが重要です。
マイホーム購入の貯金額の決定に必要な考え方を以下にまとめました。
まず、購入するマイホームの物件価格の目安を確定することで、貯金の指針を立てられるようになります。
すでに購入する物件が具体的に決まっている場合は、該当する物件を基準に目安を決めれば問題ありません。具体的に決まっていない場合は、マイホームの購入価格の平均を参考にするといいでしょう。
以下に住宅の種別ごとにマイホームの購入資金の全国平均をまとめました。
住宅の種別 | 購入資金の平均 |
注文住宅(新築) | 5,811万円 |
注文住宅(中古) | 5,745万円 |
分譲戸建住宅 | 4,290万円 |
分譲マンション | 4,716万円 |
中古戸建住宅 | 2,983万円 |
中古マンション | 2,793万円 |
国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査報告書』より筆者作成
具体的な物件が決まっていなくても「マイホームは新築がいい」「マンションの一室を想定している」「価格の安い中古住宅にしたい」など、マイホームに対する希望条件は決まっていることでしょう。
希望する物件の種類が決まれば、物件価格の平均を参考に、マイホームの購入金額の目安が決められるはずです。
次に、住宅ローンを組む際に支払う頭金の目安を考えてみましょう。頭金はマイホーム購入の出費において大部分を占める項目です。
住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」を参考に、頭金の平均額と住宅の購入額に対する頭金の割合を以下にまとめました。
住宅の種別 | 頭金の平均額 | 頭金の割合 |
注文住宅 | 699万円 | 18.1% |
土地付き注文住宅 | 473万円 | 9.7% |
建売住宅 | 294万円 | 8.2% |
マンション | 1,188万円 | 22.7% |
中古戸建住宅 | 219万円 | 8.7% |
中古マンション | 529万円 | 17.4% |
住宅金融支援機構『2023年度 フラット35利用者調査』より筆者作成
頭金の平均額と割合は住宅の種別によっても異なりますが、10%~20%程度が目安となります。平均的な頭金の割合を理解しておくと、具体的な貯金の目標額を決定しやすいです。
マイホームの購入で住宅ローンを組む場合は、頭金とは別に諸費用がかかります。マイホーム購入のための貯金では、諸費用も考慮することが必要です。
住宅ローンでかかる諸費用の例は、以下のとおりです。
諸費用 | 内容 |
融資手数料 | 金融機関に支払う住宅ローン申し込み手続きの手数料 |
ローン保証料 | 住宅ローン返済を保証する保証会社に支払う費用 |
印紙税 | 住宅ローン契約書や売買契約書に貼付する印紙代 |
登録免許税 | 抵当権設定登記や所有権移転登記の際に発生する税金 |
司法書士報酬 | 登記手続きを依頼する際の報酬 |
物件調査手数料 | 物件の検査や評価をおこなう際の費用 |
これらの諸費用を合わせた支出は、物件価格の6%~10%程度が目安とされています。頭金と足し合わせた割合が、貯金の目標となるでしょう。
例として、物件価格が5,000万円の注文住宅で、頭金の割合を18%、諸費用を10%に想定した場合を考えてみましょう。この場合、頭金が900万円、諸費用が500万円、合計で1,400万円を貯金すればいいことがわかります。
以上の3つの手順をもって、マイホームの貯金の目標額を具体的な根拠をもって決めることができます。
マイホームは購入前だけでなく、購入したあとにも費用がかかります。注意点としては、必ずしもマイホームの購入後にかかる費用を、事前に貯金しておく必要はないということです。
マイホームの購入後にかかる費用を以下にまとめました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
現在の居住地から新居となるマイホームに移動する引越しの費用が必要になります。
引越し費用は、移動距離、荷物の量、利用する引越し業者、繁忙期・閑散期などのシーズンといった要因により大きく変動します。複数の業者から見積もりを取ることで、事前にコストを把握できるでしょう。
マイホームを購入して居住するにあたって必要な費用であるため、購入のための貯金と並行して準備しておきたい費用です。
新居での生活を始める際には、家具や家電、そのほかの生活用品が必要です。
購入する製品のブランドや仕様、量により総額は大きく異なりますが、こだわる場合や新規に一式揃える場合は費用がかさみやすくなります。
新居に必要な家具・家電をリストアップして、優先順位を決めるようにしましょう。
引越しの際に事前に用意できる家具・家電を準備しておく、優先度の低いものは後回しするなどして、費用の負担がかかるタイミングを分散させることも選択肢の一つです。
住宅ローンを組んでマイホームを購入すると、住宅ローンの返済が毎月続くようになります。事前に返済額をシミュレーションしておくことが重要です。
以下の条件をもとに、住宅ローンの返済額をシミュレーションしました。
内容 | 金額 |
毎月の返済額 | 13万2,505 円 |
総返済額 | 5,565万1,862 円 |
利息分 | 1,565万1,862 円 |
毎月の返済額に関しては貯金を貯めて解決するのではなく、毎月の収入から安定して返済できるように計画を立てます。マイホームの購入は、長年続く返済のことも考えて決める必要があります。
マイホームを所有すると、固定資産税・都市計画税などの税金を支払う必要があります。
固定資産税は、不動産の所有に対して毎年課される税金です。都市計画税は、地域のインフラ整備などのために課されます。
これらの税金は、物件の所在地や評価基準により割合が変動するため、物件購入前に目安となる金額を確認しておくと良いでしょう。
火災保険・地震保険などの災害に備えるための保険料は、マイホームの購入後にも保険期間に応じてかかります。
火災保険は、火災だけでなく、そのほかの災害にも備えられる保険です。建物や家財の価値、補償内容に応じた保険料が設定されていることが特徴です。
一方で、火災保険では地震による被害は補償されません。そのため、地震保険とセットで加入する形が多くなっています。
マイホームに必要な補償を提供してくれる最適な保険を選んで、ご自身の貯金状況に適したプランで保険料を支払うようにしましょう。
マイホーム購入の貯金で気になる3つのポイントを以下にまとめました。
それぞれマイホーム購入の貯金をするにあたって気になる問題と考えられるため、詳しく解説します。
収入における貯金全体の割合の目安は、20%~30%程度が理想とされています。そのため、マイホームの貯金額は収入の10%~20%を目標にして貯金するといいでしょう。
より具体的に貯金額を決めるなら、必要な貯金額と達成期間を設定して、貯金額を算出する方法があります。例えば、1,500万円の貯金額を5年で目指す場合は、毎月25万円程度の貯金が必要になる計算です。
上記の目安を参考に、達成できない場合は達成期間を延ばすなどして、無理なく貯金できる毎月の貯金額を設定しましょう。
また、マイホームのための貯金で合理的な方法として、購入したい住宅を想定して住宅ローンの返済シミュレーションを組み、想定される毎月の返済額をそのまま貯金に充てる方法があります。
長期的に貯金ができるようであれば、実際に返済が始まったとしても返済を続けられる自信にもつながるため、毎月の貯金額の設定に有効です。
マイホームの購入時に、すべての貯金を使ってしまうことは避けるようにしましょう。購入後の生活に備え、最低でも生活費の半年分の貯金を手元に残すのが一般的な目安です。
貯金がなくなると、急な出費や事故、病気などの予期せぬライフイベントに対応できなくなります。加えて、教育費など将来的に想定される大きな出費がある場合は、貯金を残す際に考慮しましょう。
そのため、具体的にいくら残すべきかは人によって異なります。しかし、マイホーム購入後も安心して生活を続けるために、十分な資金の確保が重要です。
頭金がゼロでもフルローンを利用すれば住宅ローンを組めるため、理論上は貯金がなくてもマイホームを購入することは可能です。
ただし、貯金がない場合、借入金額が大きくなるため、毎月の返済額や金利負担が増えます。
また、諸費用など頭金以外にも現金で支払う必要がある費用も存在するため、貯金がない状態での住宅の購入はリスクが高いといえるでしょう。ある程度の貯金を確保して購入することが望ましいです。
最後に、マイホームを購入するために貯金を始めるにあたって、効率的な方法を紹介します。
マイホーム購入のため貯金を効率的に増やす方法を3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
通常使用している銀行口座と、マイホーム貯金のための銀行口座は分けておくことをおすすめします。
専用の貯金口座を作ることで、普段の生活費と区別されるため間違って使用することがなく、目標額に向かって計画的に貯金を進めることができます。
金融機関によっては提供している自動積立などの機能を活用すれば、手間をかけることなく資金管理をしやすくなるでしょう。
家計簿などで毎月の収入と支出を正確に把握することで、無駄な出費が明らかになり、マイホーム貯金に回せる金額が増えます。
生活費や固定費を見直し、不要なサブスクリプションを解約するなどして、削ることができる出費は減らすようにしましょう。
マイホーム貯金を機会に家計簿をつける癖をつけて、生活コストを見直すことが貯金を効率的に進める基本です。
貯金に関する一般的なやり方と知識を身につけたい方は、こちらの記事をチェックしてください。
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マイホームを購入するにあたって適切に貯金をして、その後も住宅ローンを安定して返済することに不安がある場合、専門家への相談をおすすめします。
ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、ご自身の収支やライフプランに合った最適な住宅購入計画を立てられます。
住宅の購入に限らず、お金の相談や人生設計なども相談できることから、理想的な形でマイホームを購入しやすくなるでしょう。
プロから効率的に貯金を増やす方法を教えてもらえるため、効率を重視するなら専門家への相談が最適です。
マイホーム購入に向けた貯金計画を立てるためには、住宅ローンの頭金や諸費用を中心に住宅の購入でかかる費用を理解するところから始めましょう。
さらには、購入後の生活費や各種出費に備えた資金も考慮する必要があります。よって、効率的な貯金を考えるにはさまざまな要素があることから、難しく感じるかもしれません。
ファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談も検討したうえで、効率的に貯金を進めて目標額への到達を目指しましょう。