「マイホームの購入に向けて貯金をはじめたいけれど、初期費用っていくら用意したらよいのだろう?」
家を購入するときの初期費用は、今後の住宅ローンの支払い額に関係します。そのため、いくら用意すべきか気になる方も多いのではないでしょうか。
初期費用は、頭金と家を購入するときの諸費用の二つがあり、それぞれ物件価格の10%程度が必要です。
この記事では、家を購入するときの初期費用の内訳を解説します。これから家の購入に向けて、プランを立てたい方はぜひご参考ください。
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家を購入するときの初期費用は、購入しようと思っている家の物件価格が関係します。
物件価格のいくらかを初期費用として支払うため、物件価格が高ければ初期費用は高額になりますし、逆に物件価格が安ければ初期費用を抑えることができます。
物件価格の平均は、以下の表をご参考ください。
物件の種類 | 物件の平均価格 |
土地付き注文住宅 | 4,694万円 |
建売住宅 | 3,719万円 |
中古戸建 | 2,704万円 |
マンション | 4,848万円 |
中古マンション | 3,157万円 |
引用:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2022年度)」
どの物件にせよ、住宅ローンを組んで支払うことが一般的ですが、そもそも初期費用が払えるかどうかを視野に入れて予算を組むことをおすすめします。
では、ここからは具体的に初期費用をいくら用意したらよいのか見ていきましょう。
頭金の相場は、物件価格の10%〜20%です。
例えば、4,000万円のマンションを購入する場合は、400万円〜800万円が必要になるでしょう。
もし、手持ちのお金に余裕があれば、できるだけ頭金を多く払っておくことをおすすめします。
なぜなら、頭金が多ければ多いほど、金融機関が「滞納リスクが少ない顧客」と判断するため金利を下げるケースがあるからです。
また、頭金を多めに支払うことで、今後の住宅ローンの支払いが減るため、毎月の負担を軽減できるメリットもあります。
諸費用とは、家の申し込みにかかる初期費用や税金などを指します。
諸費用の相場は、物件価格の3%〜9%です。
4,000万円のマンションを購入する場合は、120万円〜360万円が必要になるでしょう。
諸費用は、物件の種類によっても異なり、一戸建てや中古マンションの方が、諸費用が高い傾向があります。諸費用を抑えたい場合は、土地付き注文住宅や新築マンションを検討するのも一つでしょう。
全体の諸費用は、物件価格の3%〜9%が相場です。
では、具体的にはどのような費用がかかっているのか内訳を見ていきましょう。
物件の購入申し込みをするときに、売主に「申込証拠金」と「手付金」を払います。
申込証拠金は、購入の意思を示すためのお金で、およそ2万円〜10万円程度が相場です。
このまま契約を進め、契約成立となった場合は、支払った申込証拠金の一部を手付金に充てられます。
手付金は物件価格の5%〜10%が相場で、頭金と同じく物件の購入費用として扱われることが多いです。
住宅ローンを組むときに「融資手数料」や「印紙代」「保険料」がかかります。
物件は非常に高額な買い物のため、融資を受けて家を購入するのが一般的です。この、融資を受けるために必要なのが融資手数料となります。
さらに、万が一住宅ローンが返済できない場合、金融機関が家を売って融資した分を回収できるように「抵当権設定登記」をします。こちらも費用がかかるので注意しましょう。
ほかには、住宅ローンの保証料や保険料などがかかります。
保険料は、複数年契約が多いため住宅ローン返済に含まれる場合が多いです。
不動産を購入したら「所有権保存登記」や「所有権移転登記」をします。
所有権保存登記や所有権移転登記は、家の所有者が誰であるかを記録する手続きです。
登記は、司法書士への依頼が一般的で、登録免許税と司法書士への報酬を支払う必要があります。
ほかには、契約書に貼付する印紙にかかる「印紙税」や、不動産を購入したときにかかる「不動産取得税」などの税金がかかり、購入する物件によって金額が変動するので確認しておきましょう。
物件購入後も、毎年「固定資産税」や「都市計画税」がかかるため、無理のない予算を立てることが大切です。
そのほかの初期費用として「地盤調査費用」や水道やガスを引くための「工事費用」などがかかります。
土地を購入して家を建てる場合、地盤の調査をするための地盤調査費用がかかり、さらに改良が必要な場合は地盤改良工事費用も必要です。
地盤改良工事費用は50〜100万円が相場のため、土地も購入する場合は多めに諸費用を用意しておきましょう。
ここまで、家を購入するときの初期費用を解説しましたが、予想よりも初期費用がかかることがわかり、困っている方も少なくないかと思います。
初期費用が払えない場合でも、初期費用を抑えて物件を購入する方法もあるので検討するとよいでしょう。
ここからは、初期費用を抑える方法をご紹介します。
初期費用を払えない場合は、諸費用の一部を住宅ローンに含めて融資を受ける方法があります。
住宅ローンとまとめて払うことで、初期費用を抑えて家の購入ができるため、負担を軽減できるでしょう。
また、物件によっては頭金不要で購入できるプランもあるので、併せて利用すれば初期費用を大幅に抑えられます。
ただし、初期費用を抑えることで住宅ローンの借入額が増えるため、返済プランをよく立ててから購入するようにしましょう。
家を購入するときに、不動産会社を通して家を購入した場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は不動産の売買金額ごとに決まっており、3,000万円を超える物件になると100万円以上の仲介手数料がかかるため、決して安くない価格でしょう。
仲介手数料は、不動産会社を通さずにハウスメーカーから直接家を買うことで発生しなくなるため、購入する物件によっては100万円以上の初期費用を抑えて購入できます。
火災保険や地震保険などの各種保険料は、月払い・年払い・5年間一括払い・10年間一括払いなど、支払い方法を選べます。
支払い方法を10年間一括払いに設定すれば、各種保険料の支払いを住宅ローンに含められるので、初期費用を抑えられるでしょう。
ただし、住宅ローンに各種保険料を含むと返済の総額が増えるため注意が必要です。
初期費用が払えないからといって、すべて住宅ローンとまとめてしまうと返済が長期化してしまい、支払い不能に陥るおそれがあります。
初期費用を抑えて購入する場合は、今後の負担が大きくなることも考えて物件の予算を決めましょう。
初期費用を抑えて家の購入はできますが、今後の住宅ローンの返済や固定資産税などの支払いを考えると、初期費用を多めに払っておくに越したことはありません。
購入した家にほぼ一生住むことを考えると、途中でライフステージが変わる可能性も考えられます。病気や事故に遭ったり、人によっては家族が増えたりと、将来的に住宅ローンの支払いが厳しくなるおそれもあるでしょう。
今後の自分のためにも、できるだけ初期費用を先送りしないことをおすすめします。
ここからは、新築一戸建てを購入する場合の頭金と諸費用を含めた初期費用をご紹介するので、物件の予算に合わせて支払いをシミュレーションしましょう。
頭金 | 200万円〜400万円 |
諸費用 | 100万円〜180万円 |
初期費用の合計 | 300万円〜580万円 |
新築一戸建ての諸費用の相場は、5%〜9%といわれています。そのため、2,000万円の戸建の場合は100万円〜180万円の諸費用を用意しておくとよいでしょう。
初期費用が払えない場合は、住宅ローンに含むことで初期費用を200万円前後に抑えることも可能ですが、今度の住宅ローンの負担がネックになっている場合は「ローコスト住宅」も検討するとよいでしょう。
ローコスト住宅は、事前に用意されたプランに沿って建築するため1,000万円台で建てられる場合があります。全体の予算を抑えるのであればこちらも考えてみてはいかがでしょうか。
頭金 | 300万円〜600万円 |
諸費用 | 150万円〜270万円 |
初期費用の合計 | 450万円〜870万円 |
3,000万円の戸建の場合は、頭金の相場が300万円からになるため、初期費用の負担も一気に上がります。
どうしても目当ての家を購入したい場合は、住宅ローンに組み込んで支払えないか交渉するのも一つの方法です。
予算を3,000万円と決めている場合は、ハウスメーカーから購入すれば仲介手数料を抑えられるため、その分頭金として補填するのも有効的でしょう。
頭金 | 400万円〜800万円 |
諸費用 | 200万円〜360万円 |
初期費用の合計 | 600万円〜1,160万円 |
4,000万円の戸建の場合は、合計額が1,000万円以上と高額になるケースもあります。
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査」によると、戸建て住宅を購入する平均年齢は38歳との結果がわかりました。
この結果をもとに、39歳の方が65歳を定年として、25年間のローンを組んだ場合のシミュレーションをしましょう。
約4,000万円の住宅ローンを支払う場合、利息を含めて毎月約16万円の支払いになります。
一方で、頭金を支払って約3,000万円の住宅ローンを支払う場合、毎月約10万5,000円の支払いに抑えることが可能です。
毎月5万円以上も下がることを踏まえると、初期費用をどれだけ払えるかによって、毎月の負担を大幅に減らせることがわかるのではないでしょうか。
4,000万円の家でも、初期費用を抑えれば300万円前後の手持ちで購入も可能です。しかし、毎月の返済額が現実的ではないと思ったら、購入予算を再度見直しましょう。
家を購入するときは、初期費用も大切ですが、この先何十年も毎月住宅ローンを返済しなくてはいけません。
もし、途中で返済不能に陥った場合は、金融機関から家を差押えられてしまい、競売にかけられてしまいます。競売にかけられた物件は、所有者が購入した人に移るため引っ越さなくてはいけません。
購入したマイホームを手放すことがないように、家を購入するときは年収に見合った予算を決めることが大切です。
物件の購入の目安は、年収の3〜5倍の物件を選ぶと、毎月無理なく返済しやすいでしょう。
なかには、年収の5倍〜7倍といわれることも多いですが、数十年の間に予想外の出費が発生する可能性を考えると余裕を持つことをおすすめします。
各物件価格の年収の目安は、以下の通りです。
物件価格 | 年収の目安 |
2,000万円 | 300万円〜650万円 |
3,000万円 | 430万円〜1,000万円 |
4,000万円 | 570万円〜1,300万円 |
5,000万円 | 720万円〜1,600万円 |
パートナーと一緒に返済する場合は、より予算拡大も可能ですが、万が一、パートナーに何かあったときでも一人で返済できるようにご自身の年収に合わせた物件価格がよいでしょう。
この記事では、家を購入するときの初期費用を解説しました。
最近では、初期費用を抑えて購入できるプランも登場していますが、家は何十年とかけてローンを返済していく非常に高額な買い物です。
早くマイホームを手に入れたい気持ちが先行して、初期費用を考えずに購入すると、あとから住宅ローンの返済に苦しむリスクがあります。
家を購入するときは、初期費用を含めた購入プランを立てるようにしましょう。
住宅を購入することはゴールではなく、スタートです。理想のマイホームでの生活を送れるよう、弊社では住宅購入前後に特化してお金の相談を承っております。
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