2024年から始まった新NISAには、成長投資枠とつみたて投資枠があります。特に、つみたて投資枠を利用する場合では、毎月いくら積み立てるべきか気になる方もいることでしょう。
毎月の積立金額の設定次第で、最終的な運用成果が左右されます。そこで、できる限り大きな資産を築くために上限まで設定したいと考えるかもしれません。
しかし、身の丈にあわない金額に設定すれば、積み立てを続けられなくなるでしょう。適切な金額に設定して、無理なく続けることが重要です。
本記事では、「NISAは毎月いくら積み立てるか?」という疑問に対して、年収別の平均購入金額、積立金額別に期待できる運用成績を紹介して、年代別におすすめな積立金額を解説します。
記事を読むことでNISAの積立金額を決めるための情報と、基本的な考え方がわかるようになるでしょう。
コンテンツページ
積立金額を考える前に、NISAで毎月いくらまで積み立てられるのか、上限を押さえておきましょう。NISAには年間投資枠の上限があるため、年間投資枠から積立金額の上限もわかります。
まずは、年間投資枠を含めたNISAの基本情報を以下にまとめました。
内容 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
非課税期間 | 無期限 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
総投資枠(全体) | 1,800万円 | |
総投資枠(個別) | – | 1,200万円 |
投資対象 | 金融庁の基準を満たす投資信託 | 株式・投資信託など |
対象年齢 | 18歳以上 |
年間投資枠は、つみたて投資枠では120万円、成長投資枠では240万円です。つみたて投資枠のみで考えるなら、毎月の積立金額の上限は10万円です。
また、成長投資枠を利用して、つみたて投資枠の商品を購入することも可能です。成長投資枠の毎月の積立金額の上限は、20万円になります。
よって、つみたて投資枠の10万円と成長投資枠の20万円で、最大で30万円を積み立てられるでしょう。
投資枠の利用 | 毎月の積立金額の上限 | 最短積立期間 |
つみたて投資枠 | 10万円 | 15年 |
つみたて投資枠 + 成長投資枠 | 30万円 | 5年 |
上限まで積み立てた場合に、総投資枠の1,800万円を使い切るまでの最短の積立期間は、つみたて投資枠のみの場合で15年、つみたて投資枠と成長投資枠を併用した場合は5年になります。
総投資枠に上限があるため、積立金額を増やすほど、積み立てられる期間も短くなることを理解しておきましょう。
NISAの毎月の積立金額を決めるうえで、周りはどれくらい積み立てているのか気になるところです。
自身の年収に近い人達がどれくらい積み立てているのかわかれば、積立金額の参考になるでしょう。
つみたて投資枠の年間平均購入金額から、毎月の平均積立金額を年収別に算出して以下にまとめました。
年収 | 年間平均購入金額 | 平均積立金額 |
年収300万円未満 | 35.2万円 | 2万9,333円 |
年収300万円~年収500万円未満 | 45.3万円 | 3万7,750円 |
年収500万円~年収700万円未満 | 54.4万円 | 4万5,333円 |
年収700万円~年収1,000万円未満 | 65.6万円 | 5万4,666円 |
年収1,000万円以上 | 80.6万円 | 6万7,166円 |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
日本証券業協会の新NISAの資料をもとに、それぞれの年収の積立金額について詳しく解説します。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 25.3% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 12.6% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 16.3% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 15.5% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 8.9% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 4.5% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 3.2% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 4.1% |
120万円 | 10万円 | 9.7% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
年収300万円未満は、年間平均購入金額が35.2万円であり、毎月の積立金額は約2万9,333円になりました。
しかし、割合としてもっとも多かった購入金額が5万円未満(約4,100円未満)であり、全体の25.3%です。
よって、資金を確保できない場合は、平均値を参考に約3万円を積み立てる必要はありません。
無理なく続けられることを優先して、毎月5,000円程度の少額から始めてもいいでしょう。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 13.4% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 10.2% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 15.1% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 20.2% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 11.8% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 7.2% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 3.6% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 5.0% |
120万円 | 10万円 | 13.4% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
年収300万円~年収500万円未満の場合は、年間平均購入金額が45.3万円になり、3万7,750円を積み立てられる計算です。
購入金額の割合も20万円~40万円(約1万6,000円~約3万3,000円)未満が20.2%ともっとも高いため、平均購入金額と大きなずれはありません。
毎月の積立金額を高く設定する場合は約4万円、低く設定する場合は2万円程度にするといいでしょう。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 8.1% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 8.6% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 12.7% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 17.8% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 14.3% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 10.1% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 4.7% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 5.7% |
120万円 | 10万円 | 17.9% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
年収500万円~年収700万円未満は、つみたて投資枠の平均購入金額が54.4万円、平均積立金額が4万5,333円になります。
購入金額のもっとも高い割合は、つみたて投資枠の投資枠を使い切る120万円であり17.9%です。
ただし、年収300万円~年収500万円未満と同様に、20万円~40万円の割合も高く、17.8%とわずか0.1%差になりました。
十分に貯蓄があり、投資枠を使い切ることに無理がない場合は、毎月10万円を投資してもいいでしょう。
しかし、毎月の収入から10万円を捻出することが難しい場合は、平均積立金額を参考に3万円~5万円に設定するといいでしょう。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 6.0% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 5.2% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 9.9% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 15.4% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 12.1% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 11.2% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 7.8% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 9.4% |
120万円 | 10万円 | 23.1% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
年収700万円~年収1,000万円未満では、年間の平均購入金額は65.6万円から平均値が5万4,666円になり、積立金額の平均が5万円を超えています。
年収500万円~年収700万円未満と同様に、購入金額でもっとも高いのは120万円であり、23.1%の割合になりました。
40万円~60万円(約3万3,000円~5万円)の割合が12.1%、60万円~80万円(5万円~約6万6,000円)の割合が11.2%と平均値に近い割合にも分布しています。
毎月の積立金額は5万円以上に設定しやすく、上限まで積み立てたいなら10万円に設定しましょう。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 2.7% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 4.8% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 8.4% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 8.7% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 9.0% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 8.1% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 9.6% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 9.0% |
120万円 | 10万円 | 39.6% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
年収1,000万円以上は、年間平均購入金額が80.6万円、平均積立金額が6万7,166円です。
しかし、120万円を積み立てた人の割合が39.6%ともっとも多くなっています。
十分に余裕があるなら、毎月10万円の積み立てをおこないましょう。
年収が1,000万円以上であれば、成長投資枠を利用して積立金額を最大で30万円に設定する選択肢もあります。
NISAは積立期間を意識する必要があるため、年代によっても適した積立金額が変わってきます。
例えば、20代は資金に余裕がなくても長期的に積み立てられることから、少額でも十分な効果を期待しやすいです。
一方で、50代の場合は、長期的に積み立てることが難しいため、積立金額をできる限り高く設定したほうがいいでしょう。
20代から50代までの年間平均購入金額から平均積立金額をまとめました。
年代 | 年間平均購入金額 | 平均積立金額 |
20代以下 | 39.6万円 | 3万3,000円 |
30代 | 45.6万円 | 3万8,000円 |
40代 | 46.8万円 | 3万9,000円 |
50代 | 50.1万円 | 4万1,750円 |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
年代が上がるほど積立金額は上昇する傾向にあるものの、積立金額の平均値の差は大きくありませんでした。
購入金額の割合を含めて、詳しく解説していきます。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 19.0% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 10.7% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 15.5% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 18.0% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 12.2% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 7.7% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 2.7% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 3.6% |
120万円 | 10万円 | 10.7% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
20代以下の場合は、年間平均購入金額が39.6万円、平均積立金額が3万3,000円です。
もっとも割合が多かったのは、5万円未満で19.0%でした。
次に多かったのは、平均値の39.6万円と一致する20万円~40万円(約1万6,000円~約3万3,000円)の購入金額であり、18.0%です。
同じ20代であっても、つみたて投資枠の積立金額は二極化していることがわかるでしょう。
20代は毎月の積立金額が少額であっても効果を出しやすいため、無理ない範囲で5,000円~3万円程度に設定することをおすすめします。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 14.3% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 10.3% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 15.2% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 18.0% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 11.4% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 8.2% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 4.4% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 4.5% |
120万円 | 10万円 | 13.8% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
30代は、年間平均購入金額が45.6万円、毎月の平均積立金額は3万8,000円と計算できました。
もっとも高いのは20万円~40万円(約1万6,000円~約3万3,000円)のつみたて投資枠の利用であり、18.0%です。
10万円~20万円(約8,300円~約1万6,000円)、40万円~60万円(約3万3,000円~5万円)の割合も多く、平均値に近い割合に集中しています。
よって、おすすめの積立金額は2万円~4万円であり、5万円以上の高額な積立金額を設定する場合は、余裕をもって継続できるかどうか考えるようにしましょう。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 16.5% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 9.2% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 14.8% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 18.0% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 9.2% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 6.6% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 4.4% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 5.4% |
120万円 | 10万円 | 15.8% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
40代は、年間平均購入金額が46.8万円、毎月の平均積立金額は3万9,000円であり、30代と比較して大きな差はありませんでした。
割合も30代と同じ平均値に集中する傾向にあります。しかし、30代と比較すると残されている運用期間が少ないことから、120万円を投資した人の割合が15.8%となりました。
実際の平均購入金額の現状と、30代と比較して積立金額を高く設定したいことを考慮して、おすすめの積立金額は3万円~5万円となります。
年間購入金額 | 毎月の積立金額 | 割合 |
5万円未満 | 約4,100円 | 15.5% |
5万円~10万円未満 | 約4,100円~約8,300円 | 9.5% |
10万円~20万円未満 | 約8,300円~約1万6,000円 | 12.2% |
20万円~40万円未満 | 約1万6,000円~約3万3,000円 | 15.7% |
40万円~60万円未満 | 約3万3,000円~5万円 | 12.1% |
60万円~80万円未満 | 5万円~約6万6,000円 | 7.2% |
80万円~100万円未満 | 約6万6,000円~約8万3,000円 | 4.7% |
100万円~120万円未満 | 約8万3,000円~10万円 | 5.9% |
120万円 | 10万円 | 17.2% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
50代は、年間平均購入金額が50.1万円、平均積立金額は4万1,750円になります。
定年後の資産形成を見据えて始める場合、残された時間は長くないことから、つみたて投資枠を上限まで使用する割合が17.2%となりました。
よって、成果を出すには平均値である4万円の積み立てをしたいところであり、無理のない範囲で上限に近い積立金額を設定しましょう。
NISAの積立金額を設定するにあたって、期待できる運用成績をシミュレーションします。
年間利回りの平均が3%と仮定して、10年~30年にわたって積立投資を継続する場合の運用成績を、積立金額ごとにまとめました。
毎月の積立金額 | 10年 | 20年 | 30年 |
5,000円 | 69万8,707円 | 164万1,510円 | 291万3,684円 |
1万円 | 139万7,414円 | 328万3,020円 | 582万7,369円 |
2万円 | 279万4,828円 | 656万6,040円 | 1,165万4,738円 |
3万円 | 419万2,243円 | 984万9,060円 | 1,748万2,107円 |
4万円 | 558万9,657円 | 1313万2,080円 | 2,330万9,475円 |
5万円 | 698万7,071円 | 1,641万5,100円 | 2,913万6,844円 |
少額の積立金額であってもNISAで長期的に運用すれば、まとまった資金を形成できることがわかります。
また、NISAで毎月5万円を積み立てる場合は、30年後に総投資枠の1,800万円を積み立てられる計算です。NISAの積立金額が5万円を超えると、30年以上継続して積立投資をおこなうことはできません。
つみたて投資枠の上限である10万円を運用する場合は、15年後に積み立てが終了し、30年後まで売却せず運用する場合は積み立てをせずに保有を続けることになります。
運用期間中は最後まで積み立てを続けたい場合は、積立が終了するタイミングを考える必要があるでしょう。
ただし、NISA内の金融商品を売却した場合は、当時の購入金額に応じた総投資枠が復活するため、積立投資の再開が可能です。
最後に、NISAの積立金額を決める際のポイントをまとめました。
NISAにおける購入資金は、預金・給与所得・年金を原資にして投資している人が74.9%ともっとも高い割合になりました。
NISA利用者の7,610人のうち5,700人が預金・給与所得・年金から投資したと回答しています。
購入資金の原資 | 割合 |
預金・給与所得・年金 | 74.9% |
配当金・利息から得た資金 | 18.3% |
旧NISAの保有銘柄の売却資金 | 12.8% |
課税口座の保有銘柄の売却資金 | 11.2% |
相続による資金 | 6.0% |
MRFに入金していた資金 | 5.9% |
退職金 | 5.3% |
その他 | 1.4% |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
よって、積立金額を設定する基準は多くの場合、毎月の給与の余剰資金から支払える金額の範囲内になるでしょう。
NISAの積立金額を決める際は、収入に対して無理のない金額に設定しましょう。収入から生活費を差し引いた余裕資金の範囲内で積立金額を決定します。
また、継続して投資をおこなう場合は、最低でも生活費の6カ月分の予備資金を必ず確保するようにしましょう。
急な支出、病気・ケガなどのアクシデントがあった際に、積み立てた資金を目標期間より早い段階で取り崩すことを防ぐためです。
給与所得の余裕資金の範囲内で無理のない積立金額を決定して、予備資金を確保することで、安定して積み立てを続けられるようになります。
毎月の積立金額の設定では、ゴールである目標金額を明確にすると、逆算して積立金額を設定しやすくなります。
例えば、30年後に2,000万円の資金を形成したい場合の積立金額を考えましょう。年利3%で目標金額である2,000万円に到達する積立金額は3万4,321円です。
よって、達成できると考えられる積立金額は3万5,000円、余裕をもって毎月4万円に設定すると、安定して目標金額への到達が期待できます。
目標金額に対して余裕をもって達成できるようにシミュレーションすることで、最適な積立金額がわかるでしょう。
積立投資のシミュレーションツールは、金融庁をはじめ、各証券会社などで公開されているため、自身で簡単に計算可能です。
積立投資は長期間にわたっておこなうため、続けるうちに年収が変化して、より多くの資金を積み立てられるようになるかもしれません。
年代が上がるほど年収の増加により、積み立てに回せる資金が増加しやすいため、積立金額を増やすことも検討しましょう。
特に20代で5,000円~1万円の少額から積立投資を始めた場合、30代になって余裕ができたなら2万円~4万円の範囲内で再設定することもおすすめです。
一方で、ライフステージの変化により、住宅ローン、子どもの教育費などで固定費が増加し、現在の積み立ての維持が困難になった場合は減額も検討できます。
積立金額は頻繁に変更すれば、一定の金額を定期的に購入する積立投資の運用成果に悪影響をおよぼす可能性が考えられます。
しかし、絶対に最初から最後まで変更してはならないわけではないため、年収・ライフステージの変化にあわせた変更も検討しましょう。
年度の途中からNISAを始めたことで、毎月10万円を投資しても投資枠を使い切れない場合は、ボーナス設定をおこないましょう。
ボーナス設定は、年2回まで使用できる通常の積立投資に加えて、積立金額を増額する機能です。
つみたて投資枠の120万円を使い切りたいと考えており、最終的に40万円が不足する場合は、2回のボーナス設定でそれぞれ20万円ずつ購入すれば不足分を補えます。
ボーナス設定を利用すれば、毎月の積立金額とは別に、つみたて投資枠で金融商品を購入できるようになります。
NISAで金融商品を購入した7,610人のなかで、つみたて投資枠と成長投資枠の利用者の割合は以下のとおりです。
投資枠 | 利用者の割合 | 人数 |
つみたて投資枠 | 78.9% | 6,008人 |
成長投資枠 | 71.1% | 5,408人 |
全体 | 100% | 7,610人 |
日本証券業協会『新 NISA 開始1年後の利用動向に関する調査結果』より筆者作成
つみたて投資枠だけでなく、成長投資枠を重視してNISAを活用したい方もいることでしょう。
つみたて投資枠と成長投資枠はそれぞれあわせて1,800万円まで運用できる仕組みですが、成長投資枠には1,200万円の上限が設定されています。
成長投資枠を中心にNISAを活用したいと考えたとき、総投資枠を最大限に活用するためのつみたて投資枠の配分は「1,800万円(総投資枠)-1,200万円(成長投資枠の上限)=600万円」です。
600万円を超える資金を積み立ててしまうと、成長投資枠を利用できる上限が1,200万円未満になってしまいます。
そのため、成長投資枠を中心にNISAを活用したい場合は、つみたて投資枠の積立金額が600万円を超えないように調整が必要です。
NISAの積立金額に関するさまざまなデータから、適切な金額に設定するための情報を紹介しました。しかし、積立金額の設定でもっとも重要なことは、少額であっても継続できる金額にすることです。
10年以上、長い場合は30年以上かけて続けていく投資になるため、無理をして積立金額を高く設定して、積み立てを続けられなくなることがあれば本末転倒です。
期待できる運用成果の最大化と無理のない積立金額を適切に両立するなら、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談しましょう。現在の収支状況と将来のライフプランから適切なNISAの投資計画を提案してくれます。