マイホームの購入予算を抑えたい場合に、候補の1つに挙げられるのが中古マンションです。新築よりも購入が現実的なため、地価が高騰している都心を中心に人気が広がっています。しかし、焦って購入すると失敗してしまう恐れがあります。
この記事では、中古マンションの購入の失敗例をケース別に解説します。失敗しないためのポイントを押さえて、後悔しない物件選びをしましょう。
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中古マンションの魅力は、新築マンションよりも価格を抑えて購入できる点が最大のメリットです。
住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」の結果をもとに、新築マンションと中古マンションの平均価格を比較すると、約1,700万円以上の差がありました。
物件の種類 | 物件の平均価格 |
新築マンション | 4,848万円 |
中古マンション | 3,157万円 |
引用:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」
この結果から、新築マンションや戸建では予算オーバーしてしまった方でも、中古マンションであれば購入しやすく、マイホームが手に入りやすいでしょう。
しかし、なかには「中古マンションは買うな」「中古マンションは失敗する」とマイナスのイメージを持つ方も少なくありません。中古マンションの購入に失敗しないためには、価格以外にも考えておくことがあります。
例えば、建物の築年数や維持管理状況などのマンションの状態や、交通の便や周辺環境などの立地面、周辺の施設や治安などの環境面などさまざまな面から中古マンションを購入するか決めなければいけません。
「安いから」とあまり考えずに購入を決めると、失敗してしまう恐れも考えられます。今回解説する購入失敗例をご参考に、買うべき物件なのか考えてみてください。
まずは、お金関連で中古マンションの購入を失敗した例を見ていきましょう。
安さが魅力の中古マンションですが、想定外の出費で失敗するケースは少なくありません。どのようなケースで失敗してしまうのか解説します。
修繕積立金は、将来的に必要となる大規模修繕や設備更新のために毎月積み立てる費用です。住んでいる途中で、建物の経年劣化などの理由により、修繕積立金が値上がりしてしまい、返済が厳しくなったケースが挙げられます。
さらに、修繕が必要な箇所が予想以上に多かった場合や費用が高額になると、修繕積立金の値上がりだけではなく、修繕工事のための特別積立金が必要になる可能性もあるので注意が必要です。
購入前に管理組合の過去の決算や修繕計画、積立金の状況などを調査し、将来の修繕費用や管理費用の見積もりを考えた上で購入を考えましょう。
市場価格を把握せずに判断したり、早く入居を決めたいがために焦ってしまったりして、適切な価格判断ができずに失敗したケースです。
相場よりも高値で購入すると、将来的な売却時に損をする可能性が高くなる恐れがあります。また、ローンを組んで購入した場合、高値で購入すると返済負担が増えるデメリットも考えられるでしょう。
市場調査をして、同じエリアや条件である物件価格の比較が重要です。また、不動産の専門家や仲介業者に相談し、適切な価格設定をアドバイスしてもらうのもよいでしょう。
購入時に自分の収入や支出を十分に考えず、住宅ローンの返済負担が予想以上に大きくなってしまったケースです。
返済が苦しくなると、生活に支障をきたすだけでなく、住宅ローンの返済が滞るリスクが高まります。もし、途中で返済不能に陥った場合は、任意売却や競売によってせっかく購入したマンションを手放さなくてはいけません。
このような失敗を避けるためにも、自分の収入や支出をしっかりと把握し、返済可能な金額を計画するようにしましょう。また、将来のライフプランや予期せぬ出費に備えて、返済負担が軽減できるような余裕を持った計画を立てるのが大切です。
購入時に周辺環境や将来の地域計画など考えず、マンションの価値が下がる要因を見落としてしまい失敗したケースです。
周辺地域が衰退したり、問題のある開発計画が進行している場合、マンションの価値が下がる可能性があります。また、建物自体の老朽化や管理体制の問題、共用施設の状態なども資産価値に影響を与えるため注意が必要です。
資産価値が下がってしまうと、将来的に売却する際に思った以上に利益が出ないため、マンションの住み替えや売却に不利になる恐れがあります。マンションは資産になると思って購入したものの、二束三文の結果で失敗したケースも少なくないです。
次に、設備関連で中古マンションを購入失敗した例を見ていきましょう。
中古マンションは、もともと建てられていて、ほかの人が住んでいた物件のため、のちのち設備面で不満が出るケースは少なくありません。予期せぬ出費がないよう、慎重に判断しましょう。
築年数が経っている中古マンションを購入した場合、建物が地震に強い構造ではない恐れがあります。万が一、地震が起きた際に建物が損傷しやすく、危険な目に遭う可能性が考えられるため注意が必要です。
また、耐震性が不十分な建物は、地震保険の適用が難しかったり、地震による建物の修復や再建が必要だったりと、高額な費用がかかってしまいます。
特に「新耐震基準」が定められた、1981年6月1日以前に建てられた中古マンションは耐震性に問題がある可能性が考えられるため、購入前に建物の耐震性能評価書や耐震診断結果などを確認しましょう。
古い設備は故障や老朽化のリスクが高く、修理や交換が必要になる可能性があります。特に、給湯器やトイレなどの水回りの設備や配線やコンセントなどの電気設備が古い場合は、故障やトラブルが起きやすくなるため、予期せぬ出費が発生しやすいでしょう。
また、設備の老朽化や故障によって、生活に影響を及ぼす恐れがあります。購入前に建物の設備の状態を確認し、必要に応じてリフォームや修理の検討をしましょう。
失敗を避けるために、建物の設備など不動産会社の意見を聞いて、将来的なメンテナンス費用やリフォームの必要性を考えた上で購入を決めるのがおすすめです。
建物の老朽化から、住んでいるうちにトラブルが発生して失敗したケースです。
結露が続くと、カビやシロアリが発生する恐れや、建物の老朽化や健康被害の原因となる可能性があります。また、水漏れは物の構造物や設備にダメージを与えるだけでなく、階下の住戸や隣接する住戸にも被害を及ぼすため近所トラブルのある恐れがあるでしょう。
これらのトラブルは、建物の老朽化やメンテナンス不足、不適切なリフォームが原因となるケースが多いです。購入前に、建物の構造や設備の状態を調査し、管理組合や専門家による定期的な点検やメンテナンスをしているか確認しましょう。
最後に、環境関連で中古マンションを購入失敗した例を見ていきましょう。
中古マンションは、空き部屋を購入して住むため、すでに隣に誰かが住んでいるケースがほとんどです。また、前の人が売却した理由によっては、同じ理由で引越しをしなくてはいけない可能性もあるでしょう。
「こんなはずではなかった」と失敗しないためにも、念入りなリサーチが必要です。
マンションにもともと住んでいた近隣住民とトラブルになるケースがあります。例えば、騒音やゴミの不始末など、生活環境に関する問題などが挙げられるでしょう。
また、マンションの年齢層によっては落ち着いて生活がしたいシニア層とにぎやかなファミリー層で対立し、トラブルになる可能性もあります。そのため、購入前には、物件周辺の環境や共用部の状況を詳しい調査が重要です。
また、管理組合や自治体のルールや規則を確認し、住民同士のトラブルが少ないかどうかもチェックしましょう。中古マンションはすでに人が入居しているため、リサーチしやすいのがメリットです。実際に内見の際に問い合わせてみるのもよいでしょう。
景観や日当たりの悪化など生活環境に影響を与える出来事が発生し、中古マンションの購入を失敗したと感じる方も少なくありません。
実際に、日当たりや景色が気に入って購入したものの、あとから環境が変わってしまったらガッカリしますよね。このような状況を避けるためにも、建設予定地や周辺の土地利用計画を事前に調査しましょう。
また、不動産会社や管理会社に建設予定の有無や計画を確認するのも大切です。将来的な景観や日当たりの変化を予測し、購入の際に慎重に検討しましょう。将来的な価値の変化の予測もできるため、資産価値として手に入れたい方もチェックして損はないです。
買い物や通勤、通学など日常生活に必要な施設や設備が不足していたり、交通アクセスが悪かったりして失敗するケースです。
実際に住んでみたら不便で「結局住み替えることになった」など、残念な結果にならないように、事前に必ず住む地域の調査をしましょう。具体的には、公共交通機関の利便性や近隣の商業施設、教育施設などの有無や距離を確認しておく必要があります。
また、現在は便利な立地でも、将来的に施設が移転・閉鎖されるなどの可能性もあるため、購入前に将来の見通しを立ててから購入を決めましょう。
中古マンションの購入で失敗しないためにも、重要なのは念入りなリサーチと物件周辺の確認です。仕事や家事が忙しく、時間が取れないからと勢いで決めてしまうと、失敗してしまう恐れがあります。
今後、住み続けるマンションのため、念入りにリサーチするに越したことはないでしょう。せっかくのマイホームの購入で失敗しないためにも、これから解説するポイントを踏まえて、確認しておくのがおすすめです。
周辺環境が住みやすいかは、快適な生活を送る上で大きな影響を与えるため、念入りにリサーチしましょう。
公共交通機関のアクセスや駅からの距離、最寄りのバス停や駅からのバスの本数などの確認や、近隣のスーパーやコンビニ、病院、学校などの施設の確認が重要です。近くにない場合は、車を利用したり、エリアを変える必要があるでしょう。
また、治安や近隣の住環境も確認しておくのがおすすめです。子どもや女性が一人で歩けない地域では、安心して住める地域とは言えないため、忘れずに環境をチェックしましょう。
物件がいいかどうかや、自分の生活に適しているかどうかをより深くチェックできるため、何度も内見に足を運ぶのも大切です。1回だけの内見では見落としてしまう可能性がある部分も、複数回の内見で確認すれば見逃さずに済むでしょう。
また、異なる時間帯や曜日に内見に行くことで、周辺環境やマンション内の様子も変化する場合があります。夜間や週末など、普段の生活の様子に近い状況で物件を見ることで、より具体的なチェックが可能です。
もし、内見時に気になるポイントがあれば、不動産会社や売主に対して積極的に質問し、建物や周辺環境に関する疑問点や気になる点を解消して、購入後に失敗しないようにしましょう。
中古マンションは、設備が古い場合やバリアフリー化に対応していないケースが多いので、自分が住みやすいようにリノベーションできるかを確認しておきましょう。
また、設備や配管などが古くなっている場合、リノベーションの際に大幅な費用がかかる可能性があります。リノベーションが可能だった場合は、事前にしっかりと費用の見積もりをし、返済シミュレーションを立ててから申し込みをしましょう。
中古マンションは、新築よりも価格を抑えて購入できるため、都心を中心に人気が高まっています。しかし、早くマイホームを手に入れたいからと勢いで購入してしまうと、住んでから失敗したと感じる可能性があるでしょう。
後悔しないためにも、この記事で紹介した失敗例を参考に、慎重に判断する必要があります。
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