「そろそろマイホームを考えているけれど、予算ってどれくらいで考えたらよいのだろう」
住宅ローンの支払いは、今後の生活を左右すると言っても過言ではありません。もし、支払い能力に合わない物件を購入した場合、あっという間に返済不能に陥るケースも考えられるでしょう。
この記事では、マイホームの予算の決め方を解説します。年収別に紹介するので、ご自身の収入と比較してご参考いただければと思います。
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まずは、マイホームを購入する場合、どれくらいの価格になるのか見ていきましょう。
物件ごとの価格相場は以下の通りです。
物件の種類 | 物件の平均価格 |
土地付き注文住宅 | 4,694万円 |
建売住宅 | 3,719万円 |
中古戸建 | 2,704万円 |
マンション | 4,848万円 |
中古マンション | 3,157万円 |
引用:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」
いずれにせよ、マイホームを手に入れるのであれば、目安として3,000万円前後はかかることを覚えておきましょう。
また、あくまで物件の価格のため、住宅ローンを借り入れする場合は金利がプラスされます。金利の返済額を含めてマイホームの予算を決めるのをおすすめします。
物件は高額な買い物のため、住宅ローンを借り入れして購入するのが一般的です。
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」の結果をもとに、マイホームを手に入れた方の平均借入額を見ていきましょう。
物件の種類 | 購入資金 | 借入金 | 年間返済額 |
注文住宅(土地付き) | 5,436万円 | 3,772万円 | 174万円 |
分譲戸建住宅 | 4,214万円 | 3,054万円 | 126.6万円 |
分譲集合住宅 | 5,279万円 | 3,020万円 | 148.1万円 |
中古戸建住宅 | 3,340万円 | 1,908万円 | 106.7万円 |
中古分譲住宅 | 2,941万円 | 1,492万円 | 101.3万円 |
引用:国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査法報告書」
この結果を踏まえて、年間返済額が自分にとって現実的かどうかが、予算の決め方の指標になります。
現実的だと感じた方や、もう少し返済できそうだと感じた方はマイホームの予算を拡大できる可能性があるでしょう。逆に、返済が難しいと感じた方は、予算を平均より低めに設定すると返済に苦しむリスクが減ります。
では、ここからはもっと詳しく予算の決め方を見ていきましょう。
住宅ローン返済額の無理なく返済できる返済負担率は25%以内とされています。
返済負担率とは、年収に対して1年間の住宅ローンを返済額に充てる割合のことです。
例えば、年収が500万円の場合、25%だと年間125万円を住宅ローンに充てることができます。月で計算すると、1カ月あたり10.4万円の返済です。
人によってライフプランが異なるため、夫婦共働きや一人暮らしでマイホームを購入する場合は問題ないかもしれません。
しかし、子どもがいる場合など毎月の支払いに余裕がないと感じるのであれば、返済負担率を20%に引き下げて1カ月あたり8.3万円の返済に変更するのも一つの方法です。
ご自身の年収とライフプランを踏まえて、毎月の返済額を決めるとよいでしょう。
マイホームを購入する際は、住宅ローンを借入する予算だけではなく、手元に残しておくお金も忘れてはいけません。
手元に残しておく必要がある理由は、初期費用として頭金と諸費用がかかるからです。諸費用は、物件の購入申し込みや不動産の取得にかかる税金などが挙げられます。
また、病気やケガで収入が減ったときや家電が故障したときなど、万一の際に対応できるよう、残しておく必要があります。
最近では、住宅ローン金利が低いため、頭金を払わず住宅ローンに含めるプランを利用するケースもありますが、諸費用は現金で支払わなければいけません。そのため、少なくとも諸費用の支払い分は手元に残しておく必要があります。
諸費用の目安は、物件価格の3%〜9%が相場です。以下は、物件価格別の諸費用の目安をまとめました。こちらも参考にして予算を決めておくとよいでしょう。
物件価格 | 諸費用の目安 |
2,000万円 | 100万円〜180万円 |
3,000万円 | 150万円〜270万円 |
4,000万円 | 200万円〜360万円 |
5,000万円 | 250万円〜450万円 |
この諸費用を踏まえた上で、マイホームの予算を考える必要があります。
マイホームの予算を決めるには、支払いを続けていくために現在の年収が大きな指標となります。
物件の購入の目安は、年収の3〜7倍といわれています。
毎月無理のない返済をしたい方は年収の3〜5倍がおすすめです。もし、今後ライフプランが変わる予定がない方は年収の5倍〜7倍でもよいでしょう。
ここからは、年収別にマイホームの予算の目安をご紹介します。ぜひご自身の年収に合わせて、どれくらいの予算が適切なのかチェックしてみてください。
物件価格(年収の3〜7倍) | 1,200万円〜2,800万円 |
諸費用(物件価格の3%〜9%) | 36万円〜252万円 |
借入限度額の目安* | 30年ローンの場合:1,835万円〜2,273万円 35年ローンの場合:2,051万円〜2,541万円 |
1年の返済額(年収の20%〜25%) | 80万円〜100万円 |
毎月の返済額 | 6.7万円〜8.3万円 |
※借入の金利は固定金利1.91%と仮定
年収400万円の方は、無理のない返済プランを立てたい方は2,000万円台の物件がおすすめです。
もっと費用を抑えたいのであれば、1,000万円台から建てられる「ローコスト住宅」を利用するのもよいでしょう。ただし、ローコスト住宅は建設費用を抑えているため、耐久性が低くメンテナンス費用が高くなるケースもあるため注意が必要です。
また、借入限度額で足が出た場合は、頭金として補填するかペアローンを組まなければいけません。ペアローンとは、1つの物件に対して、夫婦や親子が契約者として住宅ローンを組むことです。
ペアローンを組むと、より予算を拡大できますが、どちらかが支払不能に陥った場合は肩代わりして支払うかマイホームを手放す必要があります。
理想のマイホームを手に入れられないと感じたら、賃貸を検討するのも方法の一つです。
物件価格(年収の3〜7倍) | 1,500万円〜3,500万円 |
諸費用(物件価格の3%〜9%) | 45万円〜315万円 |
借入限度額の目安* | 30年ローンの場合:2,273〜2,848万円 35年ローンの場合: 2,541万円〜3,184万円 |
1年の返済額(年収の20%〜25%) | 100万円〜125万円 |
毎月の返済額 | 8.3万円〜10.4万円 |
※借入の金利は固定金利1.91%と仮定
年収500万円の方は、物件の種類の選択肢が広がります。35年ローンを利用すれば、頭金や諸費用を抑えて家を購入できる場合もあるので、初期費用が足りない方でもマイホームを手に入れられる可能性があるでしょう。
また、今回のシミュレーションは固定金利を採用しましたが、変動金利を利用すれば低い金利で借り入れできる場合があります。もし、借入限度額まで予算を考えている方は金利の種類にも注目しましょう。
物件価格(年収の3〜7倍) | 1,800万円〜4,200万円 |
諸費用(物件価格の3%〜9%) | 54万円〜378万円 |
借入限度額の目安* | 30年ローンの場合:2,739万円〜3,423万円 35年ローンの場合:3,061万円〜3,827万円 |
1年の返済額(年収の20%〜25%) | 120万円〜150万円 |
毎月の返済額 | 10万円〜12.5万円 |
※借入の金利は固定金利1.91%と仮定
年収600万円の方は、平均価格の物件が購入できる可能性があります。注文住宅など、比較的コストがかかる物件も購入できるため、選択肢が広がるのもメリットです。
ある程度、資金に余裕があれば、頭金を多く払って住宅ローンの返済負担を軽減させるのもよいでしょう。
物件価格(年収の3〜7倍) | 2,400万円〜5,600万円 |
諸費用(物件価格の3%〜9%) | 72万円〜504万円 |
借入限度額の目安* | 30年ローンの場合:3,642万円〜4,546万円 35年ローンの場合:4,071万円〜5,082万円 |
1年の返済額(年収の20%〜25%) | 160万円〜200万円 |
毎月の返済額 | 13.3万円〜16.6万円 |
※借入の金利は固定金利1.91%と仮定
年収800万円の方は、予算にある程度余裕があるため、平均価格の物件よりもワンランク上のマイホームを手に入れられる可能性があります。
毎月の返済額はあくまで目安なので、ライフプランによっては少し物件の予算を減らして、毎日の暮らしや貯蓄に回すのもおすすめです。
物件価格(年収の3〜7倍) | 3,000万円〜7,000万円 |
諸費用(物件価格の3%〜9%) | 90万円〜630万円 |
借入限度額の目安* | 30年ローンの場合:4,546万円〜5,697万円 35年ローンの場合:5,082万円〜6,367万円 |
1年の返済額(年収の20%〜25%) | 200万円〜250万円 |
毎月の返済額 | 16.6万円〜20.8万円 |
※借入の金利は固定金利1.91%と仮定
年収1,000万円の方は、ライフプランやお住まいの地域によっては理想のマイホームを追求できるでしょう。特に、地方在住の方であれば、その地域でもトップレベルの住まいを購入できるかもしれません。
また、都内など立地が高い地域でも、区によっては憧れの新築を手に入れられる可能性があります。ただし、物件が高いと固定資産税がその分かかるため、購入後の費用も踏まえた上で予算を立てましょう。
マイホームは、手に入れたときがあくまでスタートです。購入後に住宅ローンを完済するまでがゴールです。
家そのものの予算を決めても、住み始めてからの出費も考えなければ適切とは言えないでしょう。住宅ローン以外にも生きていく上でさまざまなお金がかかるのを忘れてはいけません。
ここからは、マイホームの予算を決めるときに注意すべきポイントを解説します。
将来的に、親と同居してリフォームを考えている方や、子どもを迎えたい方は、今後の出費も考えて予算を立てなくてはいけません。夫婦共働きを前提にして予算を立てると、どちらかが働けなくなった場合に返済不能に陥る可能性があります。
もし、自分が考えているライフプランがある場合は、夫婦でよく話し合ってから予算を決めましょう。
また最近では、暮らしも多様化しており、友人やパートナーと二人暮らしの方や一人暮らしでマイホームを購入する方も増えています。今後も支出が増える予定がない場合は、理想を追求するのもよいでしょう。
どちらにせよ、今後のライフプランに合わせて予算を立てるのをおすすめします。
住宅関連の出費は、毎月の住宅ローンの返済が大半ですが、ほかにも固定資産税や修繕費がかかるのを忘れてはいけません。
また、暮らしていくうちに家電が壊れたり、トイレや浴槽などの水回りのトラブルが発生したりと出費がかさむ月もあるでしょう。
住宅ローンの返済額を、毎月なんとか払えるギリギリの金額に設定すると、もし予期せぬ出費が発生した場合に滞納するリスクがあります。
もし、税金が払えずに滞納すると、給料や預金通帳が差押えられ、最終的には家を強制的に売らなくてはいけません。
せっかく手に入れたマイホームを手放さないためにも、ある程度余裕を持った予算を立てましょう。
綿密に返済計画を立てて「これなら完済できる」とマイホームを購入しても、病気や事故、家庭や会社の都合など予期せぬ状況によって返済不能に陥る可能性もゼロではありません。
あまり考えたくないものですが、万が一でも払えなくなった場合に、マイホームをどうするか決めておくのも大切です。
住宅ローンが払えなくなった場合は、家を売却して賃貸として住み続ける「リースバック」や、競売よりも高値で売れる「任意売却」などさまざまな選択肢があります。
また、住宅ローンとは別の借金が原因で返済ができない場合は、家を失わずに借金を減額できる「任意整理」や「個人再生」などの債務整理を利用するのも選択肢の一つです。
住宅ローンは、何十年もかけて返済するからこそ、もしものときに備えてあらかじめ考えておきましょう。
マイホームを購入したら、ほぼ一生住み続けるため、できるだけ理想を追い求めたい方がほとんどかと思います。
しかし、支払い能力に見合わない予算を立ててしまうと、毎月の返済が苦しくなり、支払不能に陥るリスクも考えられるでしょう。
この記事で解説したマイホームの予算を参考に、無理のない返済プランを立てるのが大切です。
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