家を買いたいと思ったとき、ただ住みたい物件を選ぶのはおすすめしません。買った後に後悔しないためには、お金のことや住まいのことなど、注意深くリサーチしましょう。
この記事では、家を買うときに注意すべき項目を解説します。
また、家を買って後悔したケースも紹介するので、どのような家を選ぶか迷っている方はご参考ください。
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家を買うとき、注意すべきポイントは大きく分けて2つあります。
1つ目は、お金に関するポイントです。
希望通りの物件に住むためには、より予算を増やす必要が出てくるかもしれません。しかし、無理をして購入しても途中で返済不能に陥るのでは住み続けるのは不可能です。
よって、家を買う前に同居人とお金のすり合わせをしておきましょう。
2つ目は、住まいに関するポイントです。
お金の面がクリアできても、周りの環境や立地によっては、住んでみて後悔するケースも少なくありません。
「こんなはずではなかった」と高額で購入した家を手放したり、我慢して住み続けたりと残念な結果にならないためにも、どんな家に住みたいのかを確認しておく必要があります。
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査」の結果によると、30年以上ローンを返済する場合が一般的です。
家の種類 | 返済期間 |
注文住宅(建築の借入金) | 32.8年間 |
注文住宅(土地の借入金) | 34.5年間 |
分譲戸建住宅 | 32.7年間 |
分譲集合住宅 | 29.7年間 |
既存(中古)戸建住宅 | 28.4年間 |
既存(中古)集合住宅 | 28.5年間 |
引用:国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査」
家を買うのであれば、30年以上ローンを払い続けながら住まなくてはいけません。
ここからは、1つ目のポイントであるお金の注意点を見ていきましょう。
まずは、家の予算を決めましょう。
家の種類別の平均購入価格は、以下の通りです。
家の種類 | 家の平均価格 |
土地付き注文住宅 | 4,694万円 |
建売住宅 | 3,719万円 |
中古戸建 | 2,704万円 |
マンション | 4,848万円 |
中古マンション | 3,157万円 |
引用:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2022年度)」
予算を決める目安として、年収の3〜5倍が無理のない返済がしやすい価格帯と言われています。もう少し予算額を上げても、年収の5倍〜7倍程度に収めたほうがよいでしょう。
これ以上予算を増やすと、想定外の出費が続いたときに返済が難しくなるので注意が必要です。
30年以上住宅ローンを払い続けられるよう、今後の出費を踏まえて予算を決めましょう。
家を購入したあと、住宅ローン以外にも支払いがあるのを忘れてはいけません。
固定資産税や都市計画税などの税金が毎年かかるだけではなく、住み続けることで経年劣化が見られる箇所には修繕費用がかかります。
「多少節約すれば、毎月なんとか住宅ローンを払えるだろう」など、住宅ローンで精一杯の返済プランを立ててしまうと、税金や修繕費が払えなくなる状況に陥る可能性があるでしょう。
税金が払えない状況が続くと、差押えになり、給料や預金口座の一部が強制的に税金の引き落としに消えてしまいます。よって、連鎖的に住宅ローンが払えず、泣く泣く家を手放してしまうケースも考えられるので注意が必要です。
金利タイプとは、住宅ローンを借入する際の金利のことです。
住宅ローンの金利タイプには、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。
固定金利は、ローン借入時から完済まで金利が固定されたローンです。固定金利は社会情勢などで金利水準が引き上げになっても、借入時に決められた金利から変動しないため、返済額が変わる心配がありません。
よって、金利の変動を気にせず、完済までの返済プランが立てやすいのがメリットです。
一方で、変動金利は、半年ごとに金利が変動するタイプです。ただし、金利が変動しても、一般的に月々の返済額は5年間変わりません。
定期的に金利の改定があるため、固定金利より金利が低く設定されており、金利が上昇しなければ低金利で利用できるのがメリットです。また、金利水準が下がった場合に、返済総額が少なくなる可能性もあるでしょう。
なお、住宅金融支援機構の「2023年10月 住宅ローン利用者調査」の結果では、変動金利を利用している方の割合は74.5%でした。
変動金利を利用している方が多いですが、それぞれメリット・デメリットを比較して、どちらが適切か選びましょう。
初期費用とは、家の諸費用や頭金のことです。
諸費用は、借入の際に必要な「融資手数料」や「保険料」などの住宅ローンにかかる初期費用、購入の意思を示すためのお金である「申込証拠金」などの家の申し込みにかかる初期費用が挙げられます。
そのほかにも、不動産の取得にかかる税金や水道やガスを引くための「工事費用」などもかかるため、ただ住宅ローンを融資してもらうだけでは家を買うことはできません。
また、家の頭金は払えば払うほど、これからの住宅ローンの負担が減るため、最初にいくら払うかを決めておくとよいでしょう。
手元に資金がない場合は、頭金なしで住宅ローンを借入できるプランもありますが、返済額の負担が増えるので注意が必要です。また、諸費用は家の価格によって変動するため、家の予算を決める重要なポイントになります。
家を買うときに注意したいポイントは、お金だけではありません。
モデルルームなどで気に入って購入しても、実際に住んでみると住み心地が悪く、不満を抱えるケースも少なくありません。持ち家は、その土地に数十年住み続けるため、毎日の住みやすさも重要なポイントです。
次は、2つ目のポイントである住まいの注意点を見ていきましょう。
家を買ったあとは、当然ですがその地域で生活をしなくてはいけません。
家そのものは気に入っても、周辺の環境が不便であれば、やがて不満になる可能性があります。
例えば、スーパーやドラッグストアが歩いて行ける距離にあるか、体調が悪いときに診てもらえる病院が近くにあるかは、生活で重要なポイントです。
また、将来家族が増える予定のある方は、通いやすい学校があるかもリサーチしておくとよいでしょう。
長年同じ地域に住み続けていると、地震や台風など、さまざまな災害に遭う可能性があります。
家を買うときは、その地域にどのような災害リスクがあるのかを把握して、対策ができるかを考えなくてはいけません。
例えば、海が近い家であれば地震による津波のリスクが考えられます。また、山が近い家であれば台風や降雪による土砂崩れや雪崩のリスクがあったりと、状況によっては避難を強いられる場合もあるでしょう。
いざというときに慌てないためにも、ハザードマップを確認して災害に遭ったときのことを話し合っておく必要があります。
災害リスクは、国土交通省のホームページから調べられるので、候補の家の周辺を調べておくとよいでしょう。
家の予算がある程度決まったら、どんな家に住みたいのかを決めておきましょう。
家は一戸建てとマンションがあり、それぞれのメリットがあります。
一戸建てのメリット | マンションのメリット |
・騒音トラブルが起こりにくい
・家を自由にリフォームできる ・管理費がかからない ・駐車場代がかからない ・ペットに制限がない ・築年数が経っても土地の資産価値が残る ・庭でガーデニングや家庭菜園など趣味を楽しめる |
・共用部の管理や清掃を管理会社がしてくれる
・エレベーターが付いていて高齢者でも住みやすい ・オートロックや高層階でセキュリティ面で安全 ・居住者同士のコミュニティができる ・高層階は日あたりがよい ・ゴキブリなどの虫が出にくい ・宅配ボックスやゲストルームなど共用設備が使える |
メリットを踏まえた上で、自分は一戸建てが向いているのか、マンションが向いているのか比較しましょう。
一戸建てがおすすめな人 | マンションがおすすめな人 |
・土地も所有したい
・楽器や映画など音を気にせずに楽しみたい ・ガーデニングなど庭も有効活用したい ・犬や猫などのペットを飼いたい ・家族が増える予定がある ・将来はリフォームを考えている ・車を複数台所有したい |
・立地がよいエリアに住みたい
・車よりも公共交通機関の利用が多い ・セキュリティ面を重視している ・ある程度高齢である ・ペットが苦手である ・一人暮らしや夫婦二人で暮らす予定である ・多忙で家の周りを管理しきれない |
また、一戸建てにする場合は、建売住宅にするか注文住宅にするかも決めなくてはいけません。
建売住宅とは、土地が付いた建物のことで、不動産会社などが土地を仕入れて建設した物件です。間取りが変更できない分、入居までのスピードが早く、費用を抑えられます。
一方で、注文住宅は、土地を自分で買ってから建設する物件です。建売住宅よりも自由な設計が可能が可能な反面、入居までに時間がかかる面もあります。
自分はどちらが相性がよいのか、それぞれ紹介するのでご参考ください。
建売住宅がおすすめな人 | 注文住宅がおすすめな人 |
・土地を持っていない
・すぐに家を買いたい ・特に内装にこだわりがない ・ある程度決められた選択肢があるほうが選びやすい |
・土地を取得している
・ある程度予算に余裕がある ・外観や内装デザインにこだわりがある ・特殊な設備を導入したい ・家づくりを依頼するメーカーが決まっている |
家によって同じ予算でもできることが限られてくるため、同居人とどのような家を理想としているのかよく話し合っておきましょう。
家を買うときは、治安やセキュリティ面にも注意しましょう。
「周りに飲食店が多く、駅からも近い」といって購入したものの、夜中でも騒音が目立ち、酔っ払いや夜の店などの治安が気になるケースは珍しくありません。
周辺に店が多いと、便利な反面で多くの人が出入りするため、治安やセキュリティ面が気になる可能性もあるでしょう。
特に、子どもがいる方は大きくなるにつれて、部活や塾など夜まで外出する機会が増えるかと思います。安心して住み続けるためにも治安やセキュリティに問題ないかチェックが必要です。
数十年も住み続けているうちに、金銭的な事情やライフステージの変化など予期せぬ出来事が訪れて、家を買ったことを後悔する可能性もゼロではありません。
後悔しながら住み続けると、今後の住宅ローン返済のモチベーションにも大きく影響するでしょう。あらかじめ後悔するかもしれないケースを想定し、同居人と話し合っておくとリスクを減らせます。
最後に、家を買って後悔したよくあるケースを見ていきましょう。
1つ目は、住宅ローンと税金が負担になるケースです。
どうしても手に入れたい物件があり、無理をして購入したものの、住宅ローンや税金の支払いが負担になり、日々の生活が苦しくなるケースは珍しくありません。
給料が入っても大半は住宅関連の費用に消えるので、娯楽やちょっとした贅沢も楽しめない状態が続き、働くモチベーションを失ってしまう原因にもなります。
「多少の予算オーバーなら」と奮発して購入した結果、後悔しないためにも支払い計画には余裕を持って決めましょう。
2つ目は、中古物件を選んで失敗するケースです。
中古物件は、新築と比較すると安価で購入できる場合が多いですが、築年数や構造、耐震性など物件の状態を確認する必要があります。
特に、耐震性は非常に重要なポイントで、新耐震基準が施行された1981年6月より前に建築している物件は、旧耐震基準を採用しており、新耐震基準をクリアしていない可能性が考えられるでしょう。
もし、大きな地震に遭った場合、倒壊の原因につながるため、注意が必要です。
2024年1月の能登半島地震では、多くの家屋の倒壊被害がありましたが、新耐震基準を満たした住宅の割合は50%前後と古い木造住宅が多い地域でした。
地震などの災害は決して対岸の火事ではありません。安さに飛び付いたものの、結局修繕費が必要以上にかかるケースもよくあります。中古物件を購入する際は、よくリサーチしてから決めましょう。
3つ目は、周辺環境や立地が合わなくなったケースです。
将来子どもが増えたときに、周りに学校がなく遠方まで登校しなければいけなくなったり、過疎化が進んで施設がなくなり生活が困難になったりと、不便を強いられるケースがあります。
地域の将来性や、ライフプランを考えずに家を買ってしまうと、住んでいるうちに予期せぬ問題が生じてしまう可能性もあるでしょう。
家を買うと、その地域に半永住する場合がほとんどです。後悔しないためにも、地域の将来性をリサーチし、同居人とライフプランをよく話し合ってから家を買いましょう。
この記事では、家を買うときの注意点をケース別にご紹介しました。
家は非常に高額な買い物のため、購入後に後悔してもすぐに住まいを変えるのは現実的ではありません。後悔しないためにも、お金と住まいの2点を、よく話し合った上で納得して買うのが大切です。
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