2022年の平均給与は458万円(※)となっており、年収600万円は生活に余裕があるように感じられます。
しかし、それは家族構成や家計の状況によって大きく変わります。
今回は、年収600万円の貯金事情をはじめ、節税方法や家計の見直しポイントを解説します。
「やりくりしているつもりだけど、思うように貯金ができない」「子どもが2人いるけど、これからの教育費が不安」といった方はぜひ参考にしてみてください。
※出典:厚生労働省「令和4年分民間給与実態統計調査」
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年収600万円といっても、社会保険料や税金が引かれるため、手取り額は少なくなります。
年収600万円の方の手取りはどれくらいなのでしょうか。また、貯金をどれくらいしているのでしょうか。
ここでは年収600万円の方の貯金事情を見ていきます。
年収600万円の手取りは、約430万〜470万円で、ひと月あたり約35〜39万円となります。
しかし、同じ年収でも家族構成や収入状況によって手取りが変わります。それは、扶養家族がいる場合や配偶者が働いている場合などによって、控除額が異なるためです。
例えば、配偶者や16歳以上の子どもがいる場合、扶養控除があるため、税金の負担が軽くなり、手取りが増えます。
しかし、配偶者が働いていて、収入が一定額ある場合には、控除額が減り、結果として手取りも減ってしまいます。
年収600万円の方はどれくらい貯金をしているのでしょうか。年収500〜750万円未満の方の貯金額を見てみましょう。
貯蓄額 | 単身世帯 | 二人以上世帯 |
100万円未満 | 7.6% | 10.0% |
100~200万円未満 | 7.6% | 8.9% |
200~300万円未満 | 7.1% | 5.6% |
300~400万円未満 | 5.9% | 7.1% |
400~500万円未満 | 6.5% | 5.8% |
500~700万円未満 | 6.5% | 9.7% |
700~1000万円未満 | 4.7% | 9.4% |
1000~1500万円未満 | 8.2% | 10.6% |
1500~2000万円未満 | 11.2% | 7.0% |
2000~3000万円未満 | 8.8% | 9.2% |
3000万円以上 | 21.8% | 13.5% |
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 」
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」」
単身世帯、二人以上の世帯ともに3,000万円以上が一番多く、それぞれ21.8%、13.5%となっています。
しかし、中央値を見ると、単身世帯が600万円、二人以上の世帯が500万円です。
中央値とは、データの数値を小さい順に並べ、真ん中に来た数値のことで、平均値よりも実態を表していると考えられます。年収600万円の方の貯金額は500〜600万円ほどのようです。
貯金額を見てきましたが、給与からどれくらい貯金に回しているのでしょうか。これもデータがあるので、見ていきましょう。
年収からの貯蓄割合 | 単身世帯 | 二人以上の世帯 |
5%未満 | 1.8 | 6.2 |
5〜10%未満 | 10.6 | 14.7 |
10〜15%未満 | 17.6 | 21.4 |
15〜20%未満 | 4.1 | 4.5 |
20〜25%未満 | 10 | 12.7 |
25〜30%未満 | 2.9 | 2.1 |
30〜35%未満 | 5.9 | 6.3 |
35%以上 | 27.6 | 7.9 |
貯蓄しなかった | 19.4 | 24.2 |
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 」
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」」
単身世帯では収入から35%以上を貯金に回している方が多く、27.6%となっています。
一方、二人以上の世帯では貯蓄しなかった割合が24.2%と一番多く、次に10〜15%未満を貯金に回している方が21.4%となっています。
なお、これはボーナスを含めた収入からの割合のデータです。単身世帯では余裕がありますが、二人以上の世帯では工夫をしなければ貯金が厳しくなってしまうと言えそうです。
家族構成やローンの有無などによっても変わりますが、最低でも1割は目指したいところです。手取りから計算すると約3万5,000円〜3万9,000円となります。
貯金は、金額ではなく割合で決めるようにしましょう。なぜなら、給与や支出は月によって変動するため、金額で決めてしまうと貯金が厳しくなるときもあるからです。
貯金は細く長く続けることが大切です。給与の10%やボーナスから20%など、割合で決めるようにしましょう。
税金を抑えると手取りを増やすことができます。ここでは節税方法を2つご紹介します。
医療費控除とは、自己負担した医療費が10万円を超えた場合、10万円を超えた額を所得から控除できる制度です。
例えば、1年間の医療費の合計が20万円、保険金などで補てんされる金額が3万円だった場合は次の額が控除されます。
(20万円ー3万円)ー10万円=7万円
自分だけでなくても、配偶者や子どもなど家計を一つにしていれば、その医療費も含められます。
また、病院にかかっていなくても、薬局やドラッグストアなどで特定一般用医療薬品などを購入した場合には、1万2,000円を超える部分の金額を控除できるセルフメディケーション税制もあります。
ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらかしか適用できないため、注意しましょう。
ふるさと納税はその名の通り、自身の故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。寄付した金額のうち、2,000円を超えた部分について、所得税・住民税から控除されます。
また、寄付した自治体からお礼として、お肉やお米などの特産品が送られてくることもあります。
年収600万円の場合の控除限度額は7万7,000円となるため、大きな節税になるでしょう。
さらに、ふるさと納税をした場合は確定申告をしなければなりませんが、1年間に寄付した自治体が5つ以内であれば、確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が利用できます。
なお、控除限度額は家族構成によっても異なるため、シミュレーションサイトを利用して確認しましょう。
貯金ができていない場合には、家計に問題があるかもしれません。ここでは家計を見直す際の具体的なポイントを解説します。
家計を見直す前に、まずは目標を決めましょう。目標を決めることで、貯金をするための具体的な計画が立てやすくなります。
また、モチベーションを維持しやすくなり、継続できるようになります。
将来どういったライフプランを送りたいかを考えてみましょう。例えば、住宅の購入費や子どもの教育費、老後資金など、必要となる資金を洗い出します。
弊社では住宅購入前後に特化して、お悩みを受けております。
「これから住宅ローンを組むけど返していけるか不安」「いくらまでなら無理なく住宅ローンを返せる? 」などご心配なことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
貯金の目標を決めたら、収支を正確に把握しましょう。貯金をするためには「収入−貯金=支出」にする必要があります。
支出が収入を上回っていれば、当然貯金はできないでしょう。また、支出に無駄がないかも確認してみましょう。
外食費や交際費など、項目に分けてチェックすることで、家計の傾向が見えてきます。
固定費とは、毎月必ず支払う費用のことです。例えば、保険料や通信費、子どもの習い事の月謝などがあたります。
固定費は一度削減できると、効果が長く続き、成果としても見えやすいため、ぜひ取り組んでみましょう。
下記に見直したい固定費をまとめてみました。
一つひとつは小さな額かもしれませんが、まとめると大きな金額となります。
特に通信費は家族でまとめて見直してみましょう。通信会社によっては家族でデータ量を分け合えるところもあります。
また、クレジットカードは作った年は年会費が無料でも、2年目からは必要になる場合が一般的です。使っていないものは解約しましょう。
項目ごとに予算を立てましょう。予算を立てると、支出を意識しやすくなり、無駄な支出を抑えやすくなります。
例えば、食費を5万円、外食費を1万円などといった形です。
特に食費は週ごとで予算を立てるようにしましょう。月で管理をすると、前半で予算を使いすぎた場合、後半が苦しくなってしまいます。
週ごとに予算を立てれば、管理もしやすくなるでしょう。
また、光熱費も予算を組んでみましょう。季節によって変動が大きいため、月ごとではなく、年間で管理します。
例えば、電気代を1万5,000円、水道代を8,000円、ガス代を9,000円と予算を立て、合計額である3万2,000円を毎月口座に入金します。
ガス代がかかる冬はマイナスになるかもしれませんが、夏にはプラスになるでしょう。
「年間でプラスになればよし」とする管理の仕方です。予算はギリギリで組むのではなく、物価の上昇も考慮して、多めに見ておきましょう。
いろいろやってみたけど効果がないという場合は、収入を増やすことも考えましょう。収入が増えれば、貯金できる金額も増やせます。
具体的には、会社での昇給や昇進を狙う、副業を始めるなどの方法があります。
パーソル総合研究所の「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」によると、副業することで「何らかの効果があった」と回答した方は7割弱で、「視野が拡大した」という方は30.4%います。
また、本業先での「継続就業意向」や「上昇意向」にプラスの影響を与えることもわかりました。
新たな収入が得られるだけでなく、自身の成長機会にもなるようです。
しかし、身体を壊しては元も子もありません。無理のない範囲でチャレンジしてみましょう。
貯金だけでなく、同時に資産運用もおこないましょう。「貯金もままならないのに……」と思うかもしれませんが、早くから始めることで資産を効率的に増やせます。
ただし、資産運用にはリスクが伴うため、無理のない範囲でおこないましょう。
おすすめの資産運用方法の一つがNISAです。NISAは投資が初めての方でも、安心してできるような制度になっています。
例えば、取り扱われている商品は、長期の積み立て・分散投資に適したものです。
また、通常は株式や投資信託の運用益に対して約20%の税金がかかりますが、NISAは非課税となっています。
さらに2024年から始まる新NISAは、非課税の期間が無期限化され、まとまった資金が必要なタイミングで引き出しやすくなりました。
一部の証券会社では100円といった少額から購入できるようになっています。投資とはどういったものか勉強するために、購入するのも一つでしょう。
iDeCoは個人型確定拠出年金の愛称で、自分で掛金を払い、年金を運用するものです。
掛金は全額所得控除が受けられるため、節税にもなります。こちらもNISAと同様、運用益は非課税のため、効率よく資産を増やせます。
また、年金を受け取る際にも控除が受けられるため、税金の負担が軽くなり、老後資金の助けとなるでしょう。
実物資産とは、実体として存在し、そのものに価値がある資産のことです。具体的には不動産や金・銀などの貴金属が挙げられます。
弊社では、実物資産の運用商品として、ウイスキーカスクやアンティークコインを扱っています。
ウイスキーカスクとは、熟成が若いウイスキーをカスク(木樽)で購入し、価値が上がったタイミングで売却して利益を得る投資です。
平均リターン率が高く、過去10年の率は540%となっています。
アンティークコインとは、古い時代のコインを購入し、購入したときの価格よりも高く売ることで利益を得る投資です。
希少性が高いことから価値が上がりやすくなっています。
繰り返しになりますが、資産運用にはリスクが伴います。無理のない範囲で始めましょう。
今回は、年収600万円の方の貯金事情や家計の見直しポイントなどを解説しました。
貯金のコツは長く続けることです。無理をしてしまうと、生活も味気ないものとなってしまいます。
住宅も購入することがゴールではなく、スタートです。弊社では、住宅を購入したあとの生活がより豊かなものになるよう、サポートしております。
住宅は大きな買いものとなるため、今後のライフプランを考えた上で購入することが大切です。
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